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「鎌倉愛」が音楽祭に 世界的オーボエ奏者の吉井瑞穂

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NIKKEI STYLE

「私の鎌倉愛は誰よりも強い!」。ベルリンに本拠を置く腕利き集団、マーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)で長く首席オーボエ奏者を務める吉井瑞穂(44)は2017年3月、25年間のドイツ暮らしに終止符を打ち英国人声楽家の夫、当時4歳の息子とともに故郷の鎌倉市(神奈川県)へ戻ってきた。通信・交通手段の発達を生かして年に3分の1は欧州で演奏を続け、残りの時間は鎌倉からの音楽発信と子育てに専念。15年に立ち上げた音楽祭「レゾナンス〈鎌倉の響き〉」は今年、4回目を迎える。

実家は鶴岡八幡宮の参道、若宮大路の「二の鳥居」のすぐそば。「ご近所さん」で98歳まで健筆を振るった音楽評論家の吉田秀和をはじめ、「鎌倉文化人」が行き交う姿を普通に見て育った。「海に近く、自然が身近にある。鎌倉幕府時代からの歴史の蓄積が放つエネルギー、200カ所前後の神社仏閣……。私にとっては、鎌倉の街全体がパワースポットなのです」。40歳で出産後、「どうしても息子は鎌倉で育てたい」との思いが強まり、欧州でのキャリアの安定を見極めた上で、帰国を決意した。「国際電話やファクスの時代は時差の障壁も大きかったけど、今はEメールで瞬時に片が付く」

オーボエの力量は傑出している。02年9月に仏エクス・アン・プロバンス国際音楽祭日本公演の歌劇「フィガロの結婚」(モーツァルト)の管弦楽をMCOが担い、フランスの指揮者マルク・ミンコフスキとともに日本を訪れたとき、誰もが吉井のソロに耳を奪われた。MCOの創立者でイタリアの指揮者、クラウディオ・アバドが03年に高松宮殿下記念世界文化賞を受けた際、「ミズホ・ヨシイはどうですか?」と質問すると、いつも寡黙なマエストロ(巨匠)が「ベリー・グッド!」と叫び、相好を崩した。帰国後はNHK交響楽団などに客演する機会も増えているが、今後も活動の重点はあくまでMCOをはじめ、欧州に置く。最近はスウェーデンのエーテボリ交響楽団まで、吹きに出かける。

大好きな鎌倉ではあるが、帰ってきて一つ、気になることがあった。「文化人は大勢いるし、文化の材料もたくさんあるのに、活用するパワーがない」。欧州では音楽に限らない多様なアーティストたちが、それぞれ地元を活性化させるイベントを立ち上げ、互いに行き来して滞在しながら、一緒に盛り上げている。「なら私は鎌倉の地場が持つ力を借り、自分の音楽を提供し、文化・芸術の波紋を少しずつ広げていこう」。こう考えた吉井は仲間の演奏家だけでなく、鎌倉在住のデザイナーやITのエキスパート、建築家、商店主らをボランティアベースで巻き込んで「レゾナンス実行委員会」を組織。これが主催する音楽祭を毎年4月、開くことにこぎ着けた。

第4回の今年は4月5日と11日に鎌倉生涯学習センターホール、7日に鎌倉歴史文化交流館、15日に覚園寺(かくおんじ)と、4公演を打つ。吉井の他の出演者も吉野直子(ハープ)、鈴木大介(ギター)、波多野睦美(メゾソプラノ)、清水真弓(トロンボーン)、佐藤友紀(トランペット)ら豪華な顔ぶれ。もちろん夫のアリスター・シェルトン=スミス(バリトン)も歌うし、お寺での公演にはダンサーの和田淳子、三味線の荻江寿慎が加わる。「とにかく聴いて、見て、幸せと思ってくださる人が増えていけば、街全体が変わっていく。これって、無言の政治活動かもしれない」

今のところ完全に民営で「毎年、少しの赤字を出している」という。「チケット収入で補えない分のスポンサーを増やし、黒字が出たら、収益はすべて社会活動に寄付したい」「やがては世界中からアーティストを招いて滞在してもらい、大好きな鎌倉を芸術の都にするのが私の理想」……。吉井の「鎌倉愛」は、とどまるところを知らない。=敬称略

(NIKKEI STYLE編集部 池田卓夫)

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