人生100年時代 今日から始める大人の自分磨き
仕事に慣れてしまって、毎日に新鮮味がない。今後の人生を生き抜くスキルがなくて不安……。そんな人は今日から、すきま時間を自分磨きの時間にしてみよう。もともと自分磨きが好きな人はもちろん、興味がない人にとっても、一生学んで変化し続けることが避けられない時代になってきた。その理由とは?
仕事人生が長期化、一生「学び」が必要な時代に
一度就職してしまうと、資格取得などを求められない限り、学ぶ機会を失う人は少なくない。もちろん、「一人前に仕事ができるように、日々の業務で経験を積んでいる」だろうが、仕事に慣れてからも、成長を意識して仕事をしている?と聞かれると、自信がないのでは。
だが、「誰もが一生学び続けなくてはいけない時代になりつつあります」と話すのは、大人の学びを研究している、東京大学准教授の中原淳さん。その理由は、「人生100年時代になり、仕事人生は長期化せざるを得ません。もはや、1つのスキルや技能で『一生食べていける』時代ではないからなのです」。
うすうす気づいていたけれど、何から始めたらいい?そんな人のために、7つの習慣を中原さんに教えてもらった。「好きなこと、感謝されることをキーワードに、まずは一歩を踏み出しましょう」
自分磨きが必要な2つの理由
理由1.高齢化社会で働く期間が伸び、1つのキャリアだけではもたないから
平均寿命が伸び続け、65歳を過ぎても働き続けなくては老後資金が不足するかもしれない現代の日本。「1つのキャリアでピークに達しても、もっと長く働き続けるためには、別のキャリアを再び身に付けなくてはいけない時代になりました」
理由2.技術が日進月歩する社会。学び続けないと次世代の子どもに追い越されるから
「技術や知識が進歩し続ける社会では、常に学び続けないと、次の世代の子どもと同じレベルになってしまいます。それどころか、どんどん追い越されて取り残されてしまう事態に。私たちが大人であり続けるには、常に学びと変化が必要です」
1.背伸びする
いつもの仕事をこなす「快適空間」から一歩踏み出し、少し背伸びが必要な仕事をしてみる。「背伸びなくして成長なし、です」
2.振り返りをする
「いろいろな経験をしても、放置していると学びや新しい挑戦につながりません。時々視点を高くして、自分の状況を眺めましょう」
3.他人とつながる
自分磨きを1人で続けるのは難しい。「誰かに励ましてもらったりすると続けられます」。SNS(交流サイト)などでシェアするのもいい方法だ。
今日から始められる、自分磨き7つの習慣
1.背伸びする仕事を頑張ってみる
職場で過ごす時間は長い。仕事を自分磨きの舞台にしよう。「自分の能力でギリギリできるかどうかという、背伸びする仕事に挑戦してみると多くを学べます。会社の成長にも貢献できると、さらに『いい仕事』がやってきます」
2.本を1トン読む
「『本を1トン読め』とは、ヤフーの宮坂学社長の言葉です。本をたくさん読むと、自分がどこに立っていて、どこに向かうのかを知る『地図』を持てます。地図の範囲を広げるには、大きな書店ですべてのフロアを回って、気になる本を探してみる習慣を持つといいですよ」
3.知識をインプットしたら必ずアウトプットもする
書籍、ブログやSNSなどで得られる情報、セミナーや教育機関、大学のMOOC(大規模公開オンライン講座)など、知識をインプットする機会は豊富にある。「インプットしたら、必ず自分の頭で考えてアウトプットしましょう。誰か人に説明してみる、でいいのです」
4.知らない場所へ行ってみる
会社や家族などの慣れ親しんだ居心地のいい場所を離れて、時には「アウェー」な場所へ出かけよう。「私自身もSNSなどで見つけた異分野の専門家の勉強会に、毎月のように参加します。行く直前になるとおっくうにも感じますが、行けば必ず何か新しい気づきが得られます」
5.誰かに自分の評価をしてもらう
自分がいまやっていることや仕事の状況について、他人の目に映る姿を知ることも必要。「自分では気づかない盲点を指摘してもらうことが大事。なるべく具体的な意見を聞くようにしましょう」
6.人が集まる場をつくる人が集うような機会、イベントを主催する
「習慣4を続けた人は、この習慣6に到達することが多いです。パワーが必要ですが、人が人を連れてきて、さらに情報が集まります」
7.得た知識を教えてみる
自分が得た知識を教える側になる。「教えるというとえらそうに感じるかもしれませんが、実は一緒に学ぶのだと考えましょう。教えてみると、学び続ける必要性を感じます」
東京大学 大学総合教育研究センター准教授。東京大学教育学部卒。「大人の学びを科学する~働く大人の学びと成長」をテーマに、企業の人材開発・リーダーシップ開発を研究。専門は人的資源開発論・経営学習論。近著は『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版)。
[日経ウーマン 2018年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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