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円高は長期傾向? 明治以降の相場を読む(平山賢一) 東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

2018/4/3

写真はイメージ=123RF
「明治以降の米ドル円相場を振り返ると、実はドル高・円安が大きな流れだった」

 日銀の黒田東彦総裁が2期目を迎えました。黒田氏が始めた「異次元緩和」の行方が気になるところですが、最近は日米金利差の拡大にもかかわらず円安・ドル高が進むどころか、むしろ円高・ドル安の流れが強まっているようです。この傾向は長期的に続くのでしょうか? 今回は明治以降のドル円相場史から解説したいと思います。

 2012年半ばに、米ドル円相場は1ドル=80円を突破する円高・ドル安水準で推移していましたが、13年に黒田総裁が就任するときには一気に円安・ドル高となり、15年には120円を上回る水準になりました。

 米ドルは対円で1.5倍を上回るまでに上昇したわけですから、プロの投資家も異次元緩和の威力に度肝を抜かれたといってもよいでしょう。「まるで為替介入をしているような金融政策だ」との声まであったほどです。

■日米金利差の拡大にもかかわらず円高傾向

 しかし、その後は円安基調は一服し、一時的に100円突破をうかがう展開となりました。17年のトランプ米大統領就任でいったん米ドル相場は上昇したものの、最近は再びドル安傾向となっています。

 最近は「日本が金融緩和を続ける一方、米国が利上げして金利差が拡大しているにもかかわらず、米ドルが上昇しないのはなぜだろう」という声も聞こえてきます。理論的には、国をまたいで魅力的な投資対象を探す投資家は、より高い利回りを求めて資金を移動させるため、金利水準が低い日本よりも米国に資金を動かすはずだからです。

 日本は長期金利の誘導目標として10年物国債利回りを「ゼロ%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部金利)を「マイナス0.1%」としています。米国では短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、18年3月に1.50~1.75%まで引き上げました。日米で短期金利差が2%近く開いているにもかかわらず、為替レートは米ドル安基調で推移しており、疑問は大きくなるばかりです。

 一方で、18年に入り米国のムニューシン財務長官は米ドル安を容認する内容の発言をしました。トランプ氏も米国の貿易赤字を強引に解消しようとする政策を推し進めています。赤字改善のためには輸出を拡大させ、輸入を縮小させる自国通貨安が特効薬です。現在の米国もご多分に漏れずに米ドル安をサポートする方針に傾きつつあるのでしょう。

■戦前はドル高・円安が大きな流れだった

 しかしながら、米ドル円相場の歴史を振り返ると、物事はそう単純ではないことが分かるはずです。実は、戦前はドル高・円安が大きな流れだったからです。

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