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ミシュラン店から伝統料理店まで バンコク最新食事情

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NIKKEI STYLE

今、タイ料理に革新が起きている。モダンタイ料理と称される、新たな調理法を提案するレストランが、次々と首都バンコクに出現しているのだ。幸いにも6年ほど前から、毎年10日間ほど仕事で訪タイする機会があり、タイ料理の変貌ぶりを感じている。その経験から、お薦めのレストランを紹介する。

モダン・タイキュイジーヌの旗手といえば、「PASTE BANGKOK(ペースト バンコク)」である。2017年12月、初のバンコク版「ミシュランガイド バンコク2018」が発表され、その中で一つ星を獲得。さらに、同店のBee Satongun(ビー・サントガン)さんは今年3月、2018年度の「アジアのベストレストラン50」で「女性最優秀シェフ」に選ばれた。バンコクで全く目が離せないレストランだ。

サントガンさんはオーストラリアに渡り、オーストラリア人のご主人のジェイソン・ベイリーさんと人気タイ料理店を経営。その後故郷タイへ凱旋帰国し、「ペースト」をバンコク郊外の住宅街にオープンしたのが2013年。瞬く間に評判を呼び、2015年に都心のサイアム地区にある高級商業施設「ゲイソンプラザ」内に移転して今に至る。

「ペースト」の料理の特徴は、1900年代初頭に貴族の家で使われていたレシピを調査し、それを再構成した料理を提供していると聞いた。いったん伝統的な料理に戻り、それを現代風にアレンジしているという点に興味を抱き、さっそく訪問。

まずは、「ランチお試しコース」をオーダー。すると、ウエルカムドリンクのジュースとアミューズが運ばれてきた。アミューズは、スモークされたサバとキャビアの組み合わせで、カシューナッツの葉の上に乗っている。間には発酵させたフルーツのペーストが挟んであったりして、口にすると一気に食欲がわき上がってくる。

次は、「スイカのサラダ」。見た目もきれいだが、サーモンやイクラとの組み合わせ、それに繊細な味付けは、懐石料理や高級フレンチのレベル。それでいて、タイ料理の範囲を決して脱していない。まさに絶妙の香味具合が口の中に天使を呼ぶ。

そして、見事なプレゼンテーションの皿「王立プロジェクトのマスの薫製」。きれいなマメを敷きつめた上に、タピオカ団子に包まれたマスの薫製が、カラシナの葉とともにのっている。タピオカ団子のぷりぷりな食感の中からジューシーなマスの味わいが広がるのが印象深い。

続いて、「カモのロースト、ナツメグ、カレーペースト、ノコギリ歯コリアンダーのライスクラッカーのせ」。カモのローストのミンチなどをライスクラッカーにのせたもの。カレーペーストを巧みに使って、カモのうま味を引き出している。

その次はスープだ。題して「カモローストスープ、シイタケ、お茶で薫製したオイスターソース、セイヨウスグリの葉入り」。まさにタイ風の複雑な香味を醸している。しかし、雑味は一切なく、とてもすっきりしたうま味だけが感じられる。

思わず目を奪われたのは、ロブスターの皿「カナダのロブスター、カフェライムとマンダリンジュース、バズバトンの花、海藻」。見た目はもちろんだが、味わってまた納得する。

最後に、魚介系と肉系の2種類のカレーが出てきた。1皿目は、「強火炒めのワタリガニのカレー オーガニックの卵、シリジャム、ピクルズ、セロリ添え」てある。2皿目は、「ペナンカレー、穀物で育てたアンガス牛、焼きピーナッツ、タイのスイートバジル入り」。いずれも辛みを抑えていて、芳醇(ほうじゅん)な味わいに、胃袋はとても満足した状態に落ち着いてくる。

デザートがまた、かわいくて美しい。食べるのがためらわれるようなグラスに入れたプレゼンテーション。ハーブティーでしめて、最後まで満足のいくランチコースであった。

さて、革新が進むタイキュイジーヌであるが、どっこいカジュアルな定番料理も見逃せない。高級ブランド店が集積するバンコクで1.2を争う人気商業施設のサイアムパラゴンの食堂街に入っている「Laem Cha-Reon Seahood(レーム・チャロン・シーフード)」で、それは味わえる。通路にまではみ出した客席もあるオープンな店だ。

いつでも込んでいる超人気店なので、ゆっくり食事をするという雰囲気にはなりにくいが、テーブルの上に次々と提供される料理にはまさに至福の皿ばかり。タイ料理の神髄を満喫できる。この店に数年前、タイの知人に連れて来られて食べた「トムヤムクン」の鮮烈なキレのあるおいしさには、目からうろこ状態。タイ料理の本当のうまさに出合った瞬間であった。以来、毎年訪ねているが、そのうまさに変わりはない。

バンコクのタイ料理店で提供されるトムヤムクンは、ちょっと濁った雑味を感じさせることが多いが、この店のものは全く雑味を感じさせないすっきりした味。そして、味が凝縮されていて、そこに奥から酸味が湧き出してくる。

もう一つ見逃せない皿が、「白身魚の素揚げ」である。水分を抜け切るまでカラッと揚げてあり、生臭さは皆無。スプーンとフォークで崩して口に含むと、魚のうま味だけが凝縮して口いっぱいに広がる。水分を抜いてうま味を凝縮する調理法は、日本のてんぷらと同じだが、バリバリとした食感が勝っている。

「タコの炒め物」「パックブン・ファイデーン(空心菜炒め)」など、ほかの料理もうまい。食材を厳選し、的確な調理をしていることが分かる。

タイ料理を食べるなら、最新キュイジーヌもいいし、カジュアルもいい。だが、やはり押さえておきたいのは伝統料理だろう。それには「バーン・クラン・クルン・レストラン」がお薦めだ。店名はタイ語で「森の家」という意味。文字通り木々の緑の中の一軒家である。場所はバンコクのラマ3世通りで、アクセスは悪い。タクシー利用しかないが、それでもわざわざ訪問する価値大のレストランである。

料理は奇をてらわない伝統的な直球。食材は良いものを用いて、適切に調理されて提供されるので、うまいのは当然である。さらに、この店の良いところは、家庭的なサービスの心地よさを満喫できることだ。

ここの「トムヤムクン」は、「レーム・チャロン・シーフード」とは違って、色々なうま味が混和しているやさしい味わい。しかし、辛みはきちっと出している。「レーム・チャロン・シーフード」が剛速球であれば、こちらはコーナーぎりぎりの変化球といったところか。店によっておいしさが違うのがタイ料理の魅力でもある。

そして、この店の定番は、鶏、ナッツ、野菜などを炒めて鳥の巣のような揚げ物の籠に盛った料理「いろいろな食材の炒め物」。こちらもやさしい味わいで、日本人が好む適度な味付けが心地よい。

タイの伝統料理の中では人気の高い「プーパッポンカリー」というカニと卵を用いたカレーも、この店では卵のふわふわ感が秀逸だ。

実は、この店でかつて生ガキを食べたことがある。熱帯の国での生ガキには一瞬躊躇するが、実においしく食べたことがよみがえってくる。食材にこだわり、丁寧な調理法で提供する店の姿勢に感服だ。

食都バンコクのレストランは日々革新を遂げ、訪問するたびに期待に応えてくれる。出張や休暇で訪問する機会があれば、ぜひバンコクの食を探訪してほしい。

(芝浦工業大学名誉教授 古川修)

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