検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

未来での蘇生を願う ロシアで冷凍保存され眠る人々

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

ロシア、モスクワから北へ2時間ほどの距離にある小さな白い倉庫には、再び生を得る日を待ちわびる56人の遺体が収められている。遺体は完全に血液を抜かれ、マイナス196℃の液体窒素に逆さまに漬けられた状態で、100年先まで保存される。

遺体の多くは、自然死を迎えた高齢者のものだ。ほとんどが生前にこうした処置をしてほしいと希望していた人々だが、一部には本人の死後、家族が愛する人のために3万6000ドル(約385万円)を支払って、遺体を冷凍保存したケースもある。保存期間は基本的に100年で、22世紀の科学の進歩状況によっては延長される可能性もある。

科学の進歩を待つというのが、人体の冷凍保存、ひいては「トランスヒューマニズム(超人間主義)」と呼ばれる世界観の背後にある論理だ。がんや心臓病で亡くなったとしても、そうした病が存在しなくなった未来であれば、人は蘇生できるかもしれない。

「彼らは技術の進歩を信じています」。人体の冷凍保存を手がけるロシアの「クリオルス社」の施設を訪ね、トランスヒューマニストたちを取材したイタリア人写真家のジュゼッペ・ヌッチ氏はそう語る。「彼らは、いつか誰かが自分を目覚めさせてくれることを望んでいるのです」

現在ある病気は将来的に克服されるはずという考え方は、この世界は常に少しずつ進歩しているということに人々が気づいた古代から存在する。20世紀初頭、ロシアでは哲学者のニコライ・フョードロヴィチ・フョードロフらの提唱により、十分な時間があれば、人間は悪や死を克服できるという考えに根ざしたロシア宇宙主義運動が起こった。人の一生が短すぎるならば、それを延ばせばよい、死んだ後も腐敗を止めて、世界の技術が追いつくのを待てばよいと彼らは考えた。

それから100年以上がたった今、フョードロフの宇宙論はトランスヒューマニズムへと形を変えた。トランスヒューマニズムとは、技術の進歩は現代の人間の限界を超越できるという考え方だ。現在、トランスヒューマニズムが盛んなのはロシアだが、その影響力は世界に広がっている。クリオルス社で保存されている56体の遺体のうち、約4分の1は外国人のもので、その中にはイタリア人、ウクライナ人、米国人、イスラエル人が含まれている。またペットも22匹おり、イヌやネコの他、少なくとも1匹のチンチラがいる。

「トランスヒューマニストが全員、冷凍保存されることを望んでいるわけではありません。ほとんどがその技術に関心をもっているだけです」とヌッチ氏は言う。トランスヒューマニズムにおいて用いられる手法は冷凍保存だけではないが、遺体の腐敗を止める技術としては、これが飛び抜けて信頼性が高い。遺体が冷凍保存された最初の人物は、1967年に腎臓がんで亡くなったジェームズ・ベッドフォード氏だ。彼の遺体は米アリゾナ州の施設で冷凍保存されており、51年経った現在も変化を見せていないという。

しかしながら、映画の世界以外では、冷凍保存から復活した人間は今のところ存在しない。病気のないユートピアのような未来が訪れるのはまだ先になりそうだが、クリオルス社の倉庫で眠っている56体の遺体たちは、そう先を急いではいないだろう。

次ページでは、人体の冷凍保存を実施する施設の写真をさらに7点紹介する。

(文 Daniel Stone、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年2月28日付記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_