女性に朗報 デリケートゾーンの痛みは解決できる

こうした症状を引き起こす犯人は「女性ホルモン」。女性ホルモンのエストロゲンは皮膚の潤いを保つ働きを持っている。そのため、閉経後の肌のシワやたるみの原因の一つが女性ホルモンの減少だということは近年、知られるようになってきているが、実はこれは膣でも同じということが知られていない。

エストロゲンが分泌されている間は膣の表面の粘膜上皮細胞はふっくらして膣壁に厚みがあるが、ホルモンの分泌が減ると膣壁が徐々に薄くなって膣自体が萎縮し、乾燥が進んでしまう。

もう一つ、膣の中には腸や皮膚と同様に常在菌(有用菌)がすみ着いていて、その菌たちのおかげで私たちの体内に外から雑菌が入り込むのを防ぐ自浄作用が働いている。常在菌は膣の上皮細胞のグリコーゲンを食べて乳酸を産生し、それが膣内のPHを酸性に傾けて膣内を清潔に保ってくれている。菌と人体の共存共栄の仕組みだ。この仕組みが崩れることで、膣表面が炎症を起こしやすくなり、痛みやかゆみなどの違和感が出やすくなるという側面もある。

AさんやBさんの症状は、薄くなり、乾燥が進んできた膣の表面が、下着や自転車のサドルで摩擦刺激などを受けて発生した痛み。こうした症状は、医学的には「萎縮性膣炎」と呼ばれ、実は卵巣からのエストロゲンの分泌が止まる閉経より前から、少しずつ進んでいる。そして閉経後4年もすると、半数以上の女性に症状が現れるという報告がある。

閉経前後から膣の萎縮は始まる 更年期女性285人を対象にした米国の研究(データ:J Urogynecol; 12,107-110,2001)

日本の最新研究では対象にした40代以降の女性1万人のうち、約45%の人が膣などのデリケートゾーンに何らかの症状があると答えている[注2]。しかし、欧米の更年期世代の女性を対象にした調査でも、自分の症状は膣萎縮が原因だということを理解していた人は4%にすぎなかった[注3]

[注2]2017年日本女性医学会学術集会発表データ
[注3]Climacteric. 2012 Feb;15(1):36-44.

大半の女性の「日常共通の悩み」に

膣の乾燥や萎縮の症状は昔から今と変わらず多くの女性にあったはず。だが従来、そのことによる生活上の悩みは、医療の現場では「性交痛」という形でとらえられていた。性交時に痛みが出てしまい、女性が性生活を疎ましく感じてしまう悩みだ。ただ欧米に比べ、熟年カップルの性生活自体が活発でない日本では、性交痛の悩みは特定の人の、きわめてプライベートなものというふうに捉えられがちで、社会の中でも日の当たりにくい話題であり、解決法についての議論も積極的ではなかった印象が強い。