女性に朗報 デリケートゾーンの痛みは解決できる

社会に出てコンスタントに働く女性が増えた今は、状況が変わってきている。痛みやかゆみ、灼熱(しゃくねつ)感といった不快感を伴う膣萎縮は、そのこと自体が仕事のパフォーマンスを下げ、生活の質を下げる問題。プライベートな生活だけでなく、仕事にも大きな影響が及ぶ。多くの女性に共通の「日常的な困りごと」として認識される必要性が高まっている。

こうした社会的な背景もあって、近年はこのトラブルにスポットを当てた実態調査の研究が行われたり、新しい治療法の研究も進んでいる。

最新の治療法として注目したいのがレーザー治療だ。これは膣粘膜に、あるタイプのレーザーを照射することで細胞を活性化させ、膣の細胞の厚みや潤いを取り戻す。要は、デリケートゾーンの若返り治療というわけだ。

治療に使われるのは、にきび治療などにも使われる炭酸ガスフラクショナルレーザーというタイプのレーザー。中でも、モナリザタッチというマシンは、水分の多い膣粘膜専用に開発されたもの。その使用効果の研究結果を基に14年に米食品医薬品局(FDA、日本の厚生労働省に当たる公的機関)が承認した医療機器となったこともあり、日本でもこの1、2年で急速に導入する医療機関が増えてきている。

15分のレーザー治療でデリケートゾーンが若返る

モナリザタッチの場合、1度の施術でも膣の乾燥、灼熱感、かゆみや性交痛のほか、尿漏れなどの排尿障害でも効果が確認されている。尿漏れ改善のメカニズムに関しては、施術で膣壁の厚みが戻ることで、隣接する尿道を支えてくれるからだと考えられている。いずれの症状も3回の施術で施術前の半分以下にまで自覚的症状が抑えられ、84%の患者が結果に満足したとの結果だ。

膣萎縮の症状を訴える50人の女性(平均年齢59.6歳)に炭酸ガスフラクショナルレーザーの施術を12週間の間に3回行った後の効果を主観的スコア(VAS法)で評価(データ:Climateric;17,363-369,2014)

膣にレーザーを当てるなんて! と驚く読者もいるかもしれないが、膣萎縮に対するほかの対処法は、女性ホルモンの市販薬の塗り薬や、膣に女性ホルモンの錠剤を入れる局所療法が代表的。いずれも、乳がん既往者などホルモン剤が「禁忌」とされる人は使えないし、ホルモン剤自体に抵抗があり、使いたがらない人もいる。

その点、レーザーなら女性ホルモン治療ができない人にも使える。女性ホルモン剤では効果が期待しにくい尿漏れに対しても、レーザー治療なら改善が期待できる点も朗報だ。

治療を受けた女性からは、日中の不快感も性生活の悩みも一度に解消し、以前に比べて気持ちが前向きになったという声を聞いた。

レーザーによる膣萎縮の施術が受けられるのは、婦人科や皮膚科、女性泌尿器科など。保険診療ではないが、ネットをみると1回あたり3万~10万円程度で実施している医療機関が多いので、実施の有無とともに問い合わせてみるといい。ちなみに1回の施術時間は15分程度。3日間ほど性生活に制限があるが、痛みや合併症などはほとんどないという。

年代によって女性ホルモンの分泌のアップダウンが激しい女性の体は、男性に比べて大きな変化にさらされている。しかし、更年期後の女性の活躍がこれまでの社会では少数だったため、多くの「不都合」は声として上がらず、知られないままに放置されてきた。

一生女性が働き続けることが当たり前となった今、「パフォーマンスをあげ、生活の質を高める」といった視点は、個人のためにも、社会のためにもさらに重要になる。

黒住紗織
日経BP総研マーケティング戦略研究所主任研究員。90年、日経BP社入社。2000年より『日経ヘルス』編集部。その後『日経ヘルスプルミエ』編集部 編集委員など。女性の健康、予防分野の中で、主に女性医療分野を中心に取材活動を行う。共著に『女性ホルモンの教科書』(日経BP社)がある。女性の健康とワーク・ライフ・バランス推進員。
マーケティング戦略研究所

日経BP総研マーケティング戦略研究所(http://bpmsi.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見を基に、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

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