心理学が解決 ストレスゼロ片づけ&癒やしの部屋作り
仕事の不安や疲れを引きずって、家でも休まらない……。そんな悩みを、心理学で解決! 気持ちの切り替えがうまくなる過ごし方や、ストレスがたまらない片づけ方を身に付けよう。
収納に押し込んでOK 見える範囲をきれいに
「心理的に落ち着く部屋には法則がある」と話すのは、空間心理カウンセラーの伊藤勇司さん。最近はミニマリストのように「何もない」生活を良しとする傾向が強いが、「落ち着く部屋の定義は人によって違う」と言う。
「人は緊張した状態のとき、視線をモノに逃がすと落ち着きます。ですから、部屋が片づかないと悩む人は、実は不安やストレスを抱えているのかも。そういう人が、急に部屋からモノをなくしてしまうと落ち着きません。好きなモノは残しつつ、空間を雑多に見せているものだけを片づけるのが正解です」
片づけも、最初から「捨てる」ことは考えず、ひとまず収納に押し込んで、「パッと見きれい」にするだけでOK。「気持ちいいという感覚に慣れてくると、収納に詰め込んだものも片づけたいと思うようになり、無理なく片づけられるようになります」
落ち着く部屋の法則を、具体的に見ていこう。
RULE1:帰宅後に最初に見る玄関を居心地良く片づける
帰宅後、最初に目にする玄関が気持ちいいと、気分をリセットしやすい。「帰宅してすぐに『すがすがしい』という感覚を得ることで、仕事モードをオフにできます」。スペースが小さく、片づけへの心理的ハードルが低い点も、最初に取りかかるのにぴったり。
RULE2:床置きをなくし、床面積&動線を確保
人が動く基盤となる床。モノを置いて床のスペースが狭くなると、行動が制限されストレスを生むという。「クローゼットに押し込んで、見た目をキレイにするだけで構いません。動くスペースが増えると思考が活性化されて、考え方も前向きになります」
RULE3:外出&寝る前5分の"パッと見片づけタイム"を
「朝起きたときと帰宅したとき、最初に目にする部屋の状態が散らかっていると、気持ちが沈み、ストレスになります。寝る前と外出前の5分を片づけタイムと决め、テーブルや動線となる床の上など、目につく場所にあるモノだけでも、片づけましょう」
RULE4:起きた瞬間に目に入るモノは「お気に入り」に
「起きた瞬間に見たモノは、印象に深く刻まれ、その日の気分を支配します。目を覚ました瞬間に見るのが『好きなモノ』になるようにしてみて」。天井に俳優のポスターを貼る、目覚まし代わりのスマホの待ち受けを行きたい場所の写真にするなど、工夫を。
【ストレス解消部屋への道 Q&A】
Q.仕事の不安や人間関係のモヤモヤを引きずってしまいます……
A.仕事道具は別の部屋にまとめるなど、視界に入れない
仕事を連想させる道具は、帰宅してすぐに目に入らない場所へ。「仕事用のモノを隔離できるように、しまうスペースをクローゼットなどにつくって。ONとOFFをしっかり切り替えることで、仕事効率もアップ」
Q.忙しすぎて、気持ちが落ち着く暇がありません!
A.スマホの充電場所を決め、決めた時間以外は触らない
「現代人の『忙しい』の正体は、実はスマートフォン(スマホ)ということが多い。時間を取られる上、見ることで脳が活動したままになります」。帰宅後は10分程度しか見ないと決め、見えない場所で充電すると、ストレスが減る。
Q.散らかった部屋を片づけなきゃ……と思うのがストレスです
A.不要なモノは箱に入れ、とりあえずクローゼットでOK
完璧に片づけてしまおうと思うと、プレッシャーになることも。「自分にとって大切なモノ、好きなモノは残しつつ、いらないモノはとりあえず見えないところに移動するだけでも、気持ちに余裕が生まれます」
Q.気づいたらインテリアがゴチャゴチャで、落ち着かない…
A.「自分で選んだモノ」だけを残して、しまってみる
インテリアとして飾ったつもりが、なぜか煩雑に……。そんなときは、まず「好きなモノ」だけに絞ってみて。「選別のコツは、自分で選んだモノかどうか。もらいモノ、人に勧められて買ったモノを優先的に片づけましょう」
Q.自分が落ち着くインテリアのイメージが湧きません
A.憧れの人が住んでいる部屋を想像し、近づける
「自分の好みや大切なモノが分からない人は、憧れの人が住んでいる部屋を想像して、それに近づけるといい」。目にする機会があるなら、そのまま真似をして。機会がないなら、「その人ならどうするか」を想像して。
Q.親や夫……家族がどんどん部屋を散らかします!
A.「片づけると気持ちいいね」と気持ちを共有
「『片づけて!』と強要するのでなく、『片づけると気持ちいい』など、ポジティブな結果を共有する言い方を」。なぜ片づけられないのか、まず聞くことで「ハンガーが足りない」など、隠れた問題が見つかることも。
空間心理カウンセラー。引っ越し業で働きながら、心理学をベースとしたカウンセリング手法を学び、空間と心理に関する独自理論を確立。2008年に独立。著書に『座敷わらしに好かれる部屋、貧乏神が取りつく部屋』(WAVE出版)など。
(ライター 氏家裕子)
[日経ウーマン 2018年3月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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