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運用の効率性映すシャープレシオ 投信選びはここから 同じ種類の投信で比べるのが原則

2018/3/31

写真はイメージ=PIXTA

 少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)の登場で、投資信託が資産形成や運用の手段として身近になっています。株式など他の金融商品と同様に、どの投信を購入するかを選ぶ際に役立つ指標があります。代表的な指標について、具体的に解説します。

 投信評価会社などのサイトでは投信関連のさまざまな指標をみることができます。初心者は「リスクとリターン、シャープレシオの3つを理解しておきたい」と楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子さんは話します。

 リターン(収益率)は、ある期間にどれだけの収益(または損失)を上げたかを年率に換算して表すのが一般的です。投信の収益には基準価格の上昇(値上がり益)と分配金の2つがあります。

■収益のブレに注目

 投信選びではリターンばかり注目しがちですが、同じくらい重要なのがリスクです。リスクとは通常は危険という意味ですが、投資の世界では収益率のブレ幅を指します。

 新興国株式のように価格が乱高下しやすい資産はリスクが高く、反対に国内債券のように値動きが小さいとリスクは低くなります。その度合いを統計学を用いて数値化したのが「標準偏差」です。

 例えば収益率が年7%、標準偏差が10%という投信Aで考えてみます。これは収益率が7%を中心として上下に10%、つまりプラス17%~マイナス3%の間でぶれる可能性が高いということです。

 この間に収まる確率は統計学的には約68%です。標準偏差の値を2倍にすると確率は95%と高くなります。投信Aの場合、収益率は95%の確率でプラス27%~マイナス13%の間に収まるとされます。

 リターンをリスクで割るなどして求めるのが「シャープレシオ」です。数値が高いほど、リスクを取ることによって得たリターンが相対的に高かったことを意味し、効率よく運用したことになります。

■期間3~5年で検索

 投信の各指標は日本経済新聞電子版やネット証券などのサイトでも検索できます(表)。シャープレシオは異なる計測期間のデータがありますが、篠田さんは「初心者が参考にするなら3年と5年で十分」といいます。期間が短いと傾向が定まらず、長いと運用担当者の交代などにより連続性が途切れがちです。

 シャープレシオで注意したいのは、分類の異なる投信同士を比べるのにはあまり適さない点です。例えば国内債券ファンドと新興国株式ファンドでは、組み入れ資産の性質上、リスクやリターンの水準が大きく異なるからです。

 篠田さんは「ある投信のシャープレシオをみる場合、分類が同じ投信全体の平均値と比べるのがよい」と助言します。各指標は、その投信の過去の運用実績をもとに算出されている点も留意しましょう。市場環境が変わればリターンやリスクの傾向は大きく変わる可能性があります。そうした基本的な知識を理解したうえで投信選びに生かすことが大切です。

[日本経済新聞朝刊2018年3月24日付]

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