これぞ「ディープジャパン」 非日常に誘うホテル続々ハウステンボスは水上の球体、ツリーハウスや旧監獄も

ハウステンボスの水上ホテルは2艇あり、夏にも本格運航する
ハウステンボスの水上ホテルは2艇あり、夏にも本格運航する

球体、ツリーハウス、旧監獄――。ユニークな宿泊施設が相次いで誕生する。2020年の東京五輪・パラリンピックと増え続ける訪日外国人をにらんでホテルは新設ラッシュ。6月には民泊も全国で解禁されるとあって、宿泊施設の間で顧客の獲得競争が激しくなっている。テーマパークさながらの非日常感を演出し、消費者の心をつかもうとしている。

水上ホテルの内部。窓からは海上の景色を楽しめる
そうだ山温泉「和」は、ツリーハウス付きの離れが家族連れなどに人気だ

ハウステンボス(長崎県佐世保市)は球状で水上に浮かぶ移動式ホテルを開発した。2艇あり、一方は和室、もう片方は洋室だ。直径6.4メートルの球体の中にある客室は28平方メートルで宿泊定員は2~3人。ベッドになるソファを置き、浴室や手洗い、小型甲板を備える。ボートでけん引して進む。

沖合の無人島での探検ツアーに参加する来園者が泊まれる。ハウステンボスの桟橋から夜に客を乗せ、停泊と航行を交え翌朝に島に到着、朝食を出す。春の大型連休で体験搭乗会を開き、夏にも本格運航する。本格運航時の価格は1室5万~10万円で検討する。

ユニーク宿泊施設では、樹木の上に設ける小屋「ツリーハウス」型も全国のキャンプ場などで新設が相次ぐ。高知県須崎市の温泉宿「そうだ山温泉『和(やわらぎ)』」は17年春に4畳半のツリーハウスを併設した離れを開いた。1日1組(2人以上)限定で、大人1人あたり2万1800円から。最近、親子連れの予約が増えている。

不動産サイト「東京R不動産」を運営するオープン・エー(東京・中央)は静岡県沼津市の野外活動施設跡地に17年秋、「イン・ザ・パーク」を開いた。「泊まれる公園」と銘打ち森に4つの球状テント(定員2人、1泊1室で税別1万6千円など)や宿泊棟を置いた。

通常ならあり得ない風変わりな宿もお目見えする。ソラーレホテルズアンドリゾーツ(東京・港)を核とする企業連合は、20年度をめどに旧奈良監獄(奈良市)をホテルに転用する。法務省が運営権を売却した。

旧監獄棟を改修するほか、新設のホテル、簡易宿泊型のドミトリーを合わせて約290室を整備する。ネットなどで早くも話題になっている。

不動産サービス大手のCBRE(東京・千代田)によると、東京や大阪など主要8都市のホテル客室数は20年末までに8万室増える見込み。競争が激しさを増すなかでも、特色のある施設は集客力が衰えにくい。

「ホテル ザ グランデ心斎橋」(大阪市)はアーティストやデザイナーと組み、壁を植物で覆うなど全45室を異なるデザインにした。宿泊客がSNS(交流サイト)に写真を投稿して話題が高まり続け、16年の開業当初に90%前後だった平均客室稼働率は95%強に上昇している。

[日経MJ2018年3月9日付を再構成]

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