検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「巻き込まれ力」も人事評価対象 日本マイクロソフト

日本マイクロソフト 岡部一志業務執行役員(下)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

テレワークを浸透させ、社員のワークライフバランスに対する満足度と業務生産性を向上させることに成功した、日本マイクロソフト。さらに成果を上げるため、社員個人の気付きをもたらすツールを活用しています。どのような工夫をしているのでしょうか。前回の「テレワークは許可不要、上限なし 日本マイクロソフト」に引き続き、岡部一志業務執行役員とOfficeビジネス本部の輪島文さんに聞きました。

業務時間中の動きを「見える化」

白河桃子さん(以下、敬称略) 日本マイクロソフトには、オンライン上で自分の働き方がデータとして一覧できるシステムがあるそうですね。

岡部一志さん(以下、敬称略) クラウドサービス「Office 365」の中の一つのサービスで「MyAnalytics」といいます。AI(人工知能)機能も含まれており、ユーザーの働き方を可視化することで、気付きを与えてくれるツールです。

ただし、これは管理ツールではないんですよ。あくまでも、個人に気付きを与えてくれるものです。

白河 そうなんですね! 私は、監視されているようで反発する人もいるのではないかと思ってしまいましたが、あくまで自分用なんですね。

輪島文さん(以下、敬称略) 普段、社員一人ひとりが「この会議は無駄だよね」「このメールのやり取りは必要ないんじゃないか」など、ぼんやりと思っていたところを、ボトムアップで改善していこうと開発されたのが、「MyAnalytics」です。

2002年ごろ、弊社は自分たちの働き方を見える化するために、職場にカメラを設置して仕事中の様子を撮影し、解析を試みたことがありました。しかし、結果は、撮影される人もする人も、疲労するだけで終わってしまいました。

今は、全社員がMyAnalyticsを利用しています。ブラウザーを立ち上げると、会議時間、メール時間、集中する時間、残業時間などが一覧で確認できる画面が出てきます。1週間に1度、メールでもお知らせが来ます。

例えば、会議の時間について、「長い」と感じているメンバーが多々いるとします。そこでこのツールを使うと、会議時間22.8時間のうち8時間は、会議に出ながらメール対応等の内職をしたりと、他のことをやっているというデータが出るんです。すると、そもそも会議に出席する必要性から考え直したり、あるいはもう少し貢献するために自分の会議へのスタンスを見直したり、といった気付きが起こります。

白河 メールの開封率も分かるんですね!

輪島 そうなんです。自分が送信したメールがどれくらい開封されているかということが分かります。最近は、送受信するメール量が相当多いので、意外と読まれていないんだなという気付きもあります。あるいは、読まれる確率の高い時間帯も分かるんです。

社内で検証プロジェクトを実施した結果、無駄な会議時間は27%の削減に成功。また、集中して作業をする時間を50%増やすことができました。

幹部会議のために、社員の時間が奪われる

白河 以前、セミナーで役員の発言の波及効果も可視化されていましたよね。役員の言動によって、あまりにも多くの人手や時間が奪われることに衝撃を受けました。

輪島 こちらの画面をご覧ください。

一回幹部会議を開いたとき、社員の時間がどれだけ奪われるかということを表にしたものです。なぜこれほどまでに時間が必要になるかといえば、「会議のための会議」「会議のための会議のための会議」がたくさんあるからです。この表のケースは、最大5000人レベルの企業ですけれど、150人が巻き込まれ、年間で最大30万時間が失われることが分かりました。

白河 役員が「ちょっとこれを知りたい」「これをやってみたい」というだけでも、これだけの人手と時間が奪われるということですね。

輪島 そうなんです。全世界のマイクロソフトの役員たちが一堂に会し、ビジネスのレビュー会議を行うことがあります。以前は、そのために、現場の社員は多くの時間を使って分厚い電話帳のような資料を作成しました。ところが、実際は会議時間の制約もあるため、「必要な情報が探し切れなかった」ということで、全く使われなかったのです。

今は紙の資料は一切作らず、必要なデータは端末からその場で引き出します。より詳しい現場の状況が知りたいなどあれば、必要な人をその場でオンラインで呼び出して話を聞く、というスタイルに変わってきています。全世界の役員が一カ所に集められることもなく、すべてオンライン会議になりました。それにより、時間の使い方が改善し、意思決定のスピードが早くなりました。

毎週の役員会議も同様です。参加人数をあまり増やしても、インタラクティブなディスカッションになりませんので、人数を絞り、必要なときに必要な人をオンラインで呼び出すスタイルにしています。

白河 会議中に即断即決、しかもその場で議事録も作ってしまうわけですから、持ち帰り事項はないということですね。

巻き込み力と巻き込まれ力を評価軸に

白河 2011年から働き方改革を本格的に進められて、かなり結果が出ていますね。これがどう営業につながるのでしょうか?

岡部 テレワーク、オンライン会議など、さまざまなことが社内では当たり前のように活用されるようになりました。おかげさまで、お客様にわれわれの経験を共有し、そこからお客様の働き方改革をご支援できるようになるケースも増えてきました。

一方で、慣れてくる部分もあるんですよね。5~6年をかけて改善を重ねてきたわけですが、この状態が当たり前になってきて、さらなる進化が必要になりつつあります。

2016年から政府が本格的に働き方改革に着手し始め、弊社でももう一段階の改革を考えるようになりました。AI、他部門と共同作業をするためのチャットベースのコラボレーションツールなど、さまざまなツールが出てきていますので、それらをいかに有効活用するかということを社内でも模索しているところです。

白河 徹底した効率化はかなり進み、社員の皆さんも、働き方における気付きのツールなどを利用して、自律的に考えられるようになった。指示待ち社員からの脱却に成功したというわけですね。この先目指すところは、どのような形なのでしょうか。

岡部 弊社社長も言っておりますが、一つは、社員一人ひとりや組織が持つポテンシャルを最大限に発揮して、大きなインパクトをつくれるような働き方をしたいということです。会社としては、成長につながるような活動に、働き方も時間の使い方も変えていかなければならないと考えています。

輪島 より一層、全社員が活躍できるようにというテーマで働き方改革を進めています。既に実現できているものもありますが、いくつかのチャレンジをしています。

一つは、意思決定を早くするということです。ここは、日本企業のどの経営者の方も口をそろえて言うほど大事なポイントです。

どんな議論をするときも、正解は誰にも分かりません。とにかくやってみて、市場の反応を見て、ブラッシュアップするというサイクルを回していこうと。だからこそ、スピードが必要です。

もう一つ必要なのは、巻き込み力です。全社員で巻き込み力を発揮しやすい風土感をつくろうとしています。

岡部 巻き込み力は、ツールで実現できるところもありますが、弊社の場合は、人事評価にも工夫があります。主に3つの評価軸があり、1つは、自分に与えられた責任をどれだけ実現して、インパクトを残せたかということ。2つ目は、それを実現するために、どれだけ多くの人を巻き込んで実現したかということ。3つ目は、他者の成功やインパクトに、自分がどれだけ巻き込まれたか、貢献したかということです。究極的には、これで評価され、給与が決まってしまいます。

白河 人に貢献するのは組織だから当たり前という企業も多いのですが、そこを評価に組み込むことで、助けてもらいたい人も助けた人もWin-Winになれる。上司だけではなく、他の社員も誰かに貢献することが評価されるわけですね。

岡部 全社員です。

輪島 ですから、我々もある程度「巻き込まれやすい状況」をつくっておかなければ、高い評価は得られません。例えば、スケジュールをある程度公開したり、コミュニケーションツールを積極的に利用して、「カジュアルに会話ができる人材ですよ」とアピールしたりするのです。そうしておかなければ、巻き込まれる回数が減ってしまいます。

昔は、各自のアクティビティーベースでパフォーマンスを評価していました。今は、インパクト、巻き込み度、貢献度をチェックするようになったということです。

岡部 巻き込み力というものは、日々の業務をスムーズに進めるだけではなく、自分自身の評価というアングルで考えても大きなテーマになってきます。慣れない部分もありますが、社員一人ひとりが意識する大きなきっかけになったと感じます。

輪島 コミュニケーションツールについても、「誰かが使い始めた」「こっちのほうが会話は盛り上がる」などと言い始めると、参加しようというマインドが自然に広がります。

これが評価制度に組み込まれていることで、積極的にチャレンジしようという風土が養われてきたと感じます。

◇  ◇  ◇

あとがき:働き方改革のシステムを商材として売ってはいても「自社内は改革が進まず、働きにくいまま」という企業もあると思います。働き方改革で重要なのは「どんなツールでやる」や「どういう手法で」というHOWではなく、社員のマインドがどう変わるかです。それを経験していない会社がいくら「ツールとしての働き方改革」を売っても説得力はありません。

その点、自社のツールを使いこなして自らを改革することができれば、売り上げに貢献できると思います。マイクロソフトは「なぜ働き方改革をしたのか?」というWhyの部分も明確でした。ビジネスモデルが変わったから、働き方も変わるのです。1点いくらのソフトウェア販売やライセンス発行から、クラウドサービスに変わったビジネスモデルの転機がありました。

ITを導入したからといって、すぐに働き方改革ができるわけではないのですが、ツールの効果を実感したのが今回の取材です。

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

(ライター 森脇早絵)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_