「特に8月が選考開始だった時期には、課題を感じていました。8月は体育会の試合があったり、大学院生なら論文で多忙だったりする時期です。就活がままならない学生も多いんです。時期を変えても、都合が悪い人は必ずいます。そこでリクルートライフスタイルの方式を取り入れ、6月以降も採用する仕組みにしたのです」
――一度不合格になった人も再挑戦できますか。
「前回のエントリーから1年たっていれば、再度受けても問題ありません」
志望動機は聞かない
――募集職種や採用人数は。

「ビジネスコースとスペシャリストコースがありますが、採用人数は特に決めていません。スペシャリストコースは、データサイエンティストやエンジニア職を志望する学生で、初期の配属が決まっています。近年、大学などでIT(情報技術)を学び、専門職として働きたいというエンジニア志望者が多いからです」
「12年に買収した米求人情報サイトのインディードに配属される人もいて、特にグローバルエンジニアと名付けています。インディードと当社は制度も違うので、報酬は高くなります」
――実際の選考はどんな流れですか。
「一番早いケースで、3月1日から就職情報サイトのリクナビでエントリーできます。SPI(適性検査)とエントリーシートの締め切りが4月20日で、6月1日以降に選考が始まります。面接は個人面接が複数回あります。人によって回数は違います」
――面接ではどんな質問をするのですか。
「社員1人に対して学生1人のスタイルで、30分から1時間ほどかけるのが基本です。質問は特に決まっていません。人となりを理解するため、その人の過去、現在、未来を含めて聞かせてもらいます。志望動機は聞かないですね」
「もし志望動機や、当社をどれだけ知っているか確かめるような質問をすれば、学生は準備をして面接に臨むかもしれません。しかし、当社では知識で『武装』しても意味のないことしか聞かないんです。学生時代にやったことなどですね」
インターン、学年不問で2カ月以上
――インターンシップには、どういったものがありますか。
「リクルートライフスタイルで実施していた『DESHIP(デシップ)』という長期インターンシップをホールディングスでも続けています。『弟子×インターンシップ』の意味で、実際の社員について働いてもらいます」
「期間は2カ月以上です。社員が抱えるテーマについて長期的な戦略を考えてもらったり、じゃらんの新しいサービスを売ってもらったりします。後者の場合は、営業目標もきちんと決めます。対価は、時給1000円と交通費です。学年不問で、これまで1年生から大学院2年生まで、延べ100人ほどが参加しました。今年も、募集人数は決めずに実施する予定です」
――リクルートには、ハードワークの人や起業する人が多いという印象があります。どんな人材を求めているのですか。
「就活生から『今、こんな事業をしているんですけど、どう思いますか』といった質問を受けることは多いです。当社は、何か問題意識や課題があるとき、自分から発信していくことがよしとされるし、それを求められる文化があります。極めてボトムアップな社風なんです」
「しかし社員でも、そういう空気を『嫌だ』という人もいます。人それぞれなので、求める人物像のようなことは決めていません。しかし、入社したら『なぜこの仕事をやろうと思ったの』と問われる場面は必ずあると思います」
(松本千恵)