「激情型」は生来のパワハラ上司 人事上の判断が必要

部長面談は、その結果をもとに行われました。F部長も最初は穏やかだったらしいのですが、Gさんが「増員ぶんの目標かさ上げがなかったら、達成できていたのですけれど……」と一言漏らしたところ、表情が豹変したそうです。

「お前、何様のつもりだ。目標未達を俺のせいにするのか。たいした売り上げもないやつがガタガタ言ってるんじゃないぞ!」

激烈な罵声を飛ばし、その後も大声で叫び続けました。

その騒ぎは面談が行われていた会議室の外にまで響き、同じフロアにいた社員は事情がわからなかったため、当初は「外部の人間が大声で脅しに来ている」「社員の誰かが激しく暴れている」と勘違いをして、警察を呼ぶべきかを話し合うほどの事態を招いてしまったというのです。

その後、営業部員と部長がうまくコミュニケーションができなくなってしまい、私のもとへ相談が持ち込まれてきた、というわけです。

「人事上の判断」でしか、真の解決はできない

部下側は、激情型の上司に対して、どう対応すればよいのでしょうか。

どれほど理不尽なタイプであっても、コミュニケーションをとっていれば、そのうちに「あの人はここが怒りのポイントだ」と認識できるようになる面もあるので、そこには触れないように注意します。

さらに何らかの理由で怒らせてしまったら、まずは言い分を吐き出させます。この段階で反論をすると、より激しく、長く怒られ続けることになるうえ、持続的な恨みを買う恐れもあります。

また、相手が感情的になっているときは、(相手の主張の要点など)必要な言葉だけを聞いて、不要な言葉は聞き流します。

怒りをそのまま真面目に受け止めると、精神的にまいってしまいます。激情上司に怒られたら、自分が悪いから怒られるのではなく、この人は勝手に怒り出す人で、自分のほうが大人だと思い込むようにするのです。

ここまで説明してきましたが、激情型のケースでも、やはり部下側に対応できることには限界があります。

本来、激情型の人をマネジャーにしておくことは、部下にとって、会社にとって、さらには上司本人にとっても不幸なので、会社は組織として、必要な人事上の判断をくだすしかないと思います。

見波利幸
エディフィストラーニング主任研究員。1961年生まれ。外資系コンピューターメーカーなどを経て98年に野村総合研究所入社し、メンタルヘルスの黎明期から管理職向け1日研修を提唱。日本のメンタルヘルス研修の草分け的存在に。2015年から日本メンタルヘルス講師認定協会専務理事。

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