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人気の「1万円」レコードプレーヤー 音質向上に挑戦

「年の差30」最新AV機器探訪

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NIKKEI STYLE

アナログレコード人気の影響もあり、売り上げが好調なレコードプレーヤー。その中でも6割をしめるのが「1万円以下」で買える製品だ。初めてレコードプレーヤーを買った平成生まれのライターが、よりいい音を求めて、6000枚以上のレコードを持つ昭和のオーディオ・ビジュアル評論家のスタジオをたずねた。1万円プレーヤーの音は改善されるのか。

◇  ◇  ◇

アナログレコードが人気だ。日本レコード協会の調査では2017年のアナログレコード生産実績は106万枚と、01年以来の100万枚超えを記録。18年にはソニー・ミュージックエンタテインメントが29年ぶりにレコードの自社生産を復活させた(記事「レコード生産復活のソニー アナデジ融合の新メディア」参照)。

レコード人気にともない、レコードプレーヤーの販売も拡大している。調査会社のGfKジャパンによれば、17年の家電量販店におけるアナログレコードプレーヤーの販売台数は、13年と比較して3割ほど多かったという。

実は平成生まれのライター・小沼も、1年ほど前からION AUDIOの「Max LP」を使用している(購入時の価格は9860円)。最近は若いアーティストがアナログレコードだけで作品をリリースすることもあり、そうした場合にひとまず聴けるように、と思って買ったものだ。使ってみると盤に針を落とす時の感覚や温かみのある音が心地よく、限定リリースに限らずいろいろと買って楽しんでいる。

せっかくレコードプレーヤーを手に入れたのだから、アナログの世界をもっと楽しみたい。そこでこのMax LPを昭和世代のオーディオ・ビジュアル評論家、小原由夫さんの自宅スタジオへ持ち込み、よりよい音で聴くワザを教えてもらうことにした。

1万円以下でもいい音で楽しみたい

小沼(26歳のライター) 今回は小原さんの自宅スタジオで、僕のMax LPを使ってレコードを聴いてみようという企画ですが、ここで見るMax LPは自宅で見るよりも高級感が漂いますね!

小原(53歳のオーディオ・ビジュアル評論家) そうですか? そんな中言い出しにくいですけど、これはひとまずレコードを再生できるというレベルでしたね。

小沼 いきなりばっさりですね(笑)。

小原 一通り聞いてみましたが、音質や音の広がりなど、すべてにおいて力不足。やっぱり、レコードを趣味で楽しむならプレーヤーとアンプがそれぞれ5万円、スピーカー10万円の計20万円は出してほしいところです。

小沼 に、20万! 僕にとって、ここ数年で一番高い買い物は7万円の自転車なんですが。確かにきっといい音なんでしょうが、今の若者がレコードを楽しむのに20万円出せるかというと、難しいと思います。実際、GfKジャパンの調査では17年のアナログレコードプレーヤーの価格帯別の数量構成比は、1万円未満の商品が6割。一方、5万円以上の商品は8パーセントとなっています。そこで、今回は1万円のレコードプレーヤーをより良い音で楽しむ方法を教えてもらえないかと思っているのですが……。

小原 わかっています。そう思って、今日はいろいろと考えてみましたよ。

小原 今回はMax LPと僕が普段使っているレコードプレーヤー「TechDAS/Air Force One」を、同じアンプとスピーカーで聴き比べてみましょう。音源はコーネリアスが17年に発表したアルバム『Mellow Waves』を使います。

小沼 これ、去年よく聴いていました! アナログレコードも発売されていたんですね。

小原 海外で発売されたアナログ盤です。Air Force Oneでアルバム1曲目の「あなたがいるなら」を聴いてみましょう。

小沼 残響の揺らぎが細かいところまで聞き取れて、音の立体感や空間的な広がりが感じられて、いつまでも聴いていたくなりますね……。

小原 続いて、小沼さんのMax LPで聴いてみます。

小沼 うーん、さっきは音が心地よく広がって、音の海を漂っているように感じたのが、Max LPではずいぶんスケールが落ちたように感じます。ビットレートの低いmp3を聴いているような粗さを感じますね。プレーヤーでこんなに違うのか。でも、これがどんなふうに変わっていくのか、楽しみです。

小原 今回はレコードの回転を安定させる方法を試してみましょう。

レコードは重さがモノを言う世界

小原 レコードは細い溝を針が読み取ることで音を発するので、回転がぶれるとそれだけ余計な音が増え、不安定になります。方法はいくつかありますが、まず1つ目はスタビライザーを使うこと。スタビライザーの重さで余計な振動を抑え、安定させることで音をよくします。レコード再生はとにかく重さがモノを言う世界なんですよ。

小沼 よく「重量盤」と書かれたレコードを目にしますが、そういうことだったんですね。

小原 では、聴いてみましょうか。

小沼 ……うーん、具体的にどうとは言えないのですが、明らかにさっきとは変わった感じがします。

小原 音に広がりが出たと思いますね。レコードって何をやっても音が変わるんですよ。それが楽しみの一つです。

小沼 「何をやっても音が変わる」ってすごい世界ですね(笑)。

和紙を使って回転を安定させる?

小原 次に使うのはTEACが販売している和紙ターンテーブル・シート「TA-TS30UN-BW」。これにより振動を抑え、回転を安定させます。

小沼 今回もうまく言葉にできないですが、確かに音が良くなったような気がします。

小原 僕の感覚でいうと、大きい音と小さい音のレンジが広がったような感じがするんですよね。今回は専門のものを使いましたが、書道用の半紙を2~3枚重ねて敷くだけでも違ってくると思いますよ。

小沼 そんなことでも音が変わるんですか。アナログの世界は奥が深いですね……。

機械振動を外に逃がすインシュレーター

小原 最後はインシュレーター。三角形の円すいを3つ、プレーヤーに足をつけるようにして使います。プレーヤーはモーターも回転しているし、微妙に振動しているでしょう。そのメカニカルアースを外に逃がすものです。

小沼 3つだけでいいんですか?

小原 面を支える場合、3つが一番いいんですよ。4点で支えると高さなどのがたつきが出やすいので、高級なオーディオ機器は大抵3つです。では聴いてみましょう。

小沼 音の一つ一つがクリアになって、音に厚みが出たような気がします!

小原 これが一番差が出たかもしれないね。こんなふうに、レコードプレーヤーはちょっとした工夫で音が変わるんですよ。ただ、これらはどれもオーディオに接続した場合。内蔵スピーカーから音を出す場合、かえって音が悪くなるケースもあります。いろいろと試してほしいですね。

SP盤の再生機としては優秀

小原 あと、僕がMax LPで驚いたのは78回転が聴けることです。小沼さん、SP盤はご存じですか?

小沼 名前は聞いたことがありますが、実物を見たことはないですね。回転数を78回転にすると、そのSP盤が聴けるんですか?

小原 そうです。ちょっと試しに聴いてみましょうか。これはチャーリー・ベンチュラ・ビッグ4の「君去りし後」という曲です。

小沼 ……ノイズも混ざっていますが、それがかえってその時代の空気感を伝えるような気がして良いですね。

小原 思っていたより良い音だなあ。レコードプレーヤーとしてはおすすめできないけど、僕もSP盤を聴くために買おうかな(笑)。

小沼 そう言われると、これで楽しんでいる僕の立場が……(笑)。ただ、レコードプレーヤーの音を良くするってもっと専門的な技術が必要なのかと思っていたのですが、想像以上にアナログな一工夫でずいぶん音が変わるんですね。これは実際に家でも試してみたいと思いました。

◇ ◇ ◇

1万円未満のレコードプレーヤーの中で、Max LPの人気は高い。

14年8月に渋谷にオープンしたHMV record shop渋谷。入り口に新作レコードがずらりと並ぶこの店でも、「Max LPはレコードプレーヤーの中で一番人気」(HMV record shop渋谷 副店長 西村学さん)だという。

「手に取りやすい価格と、スピーカーを内蔵しているのでホームアンプがなくてもこれ一台でレコードを聴けることが人気の理由です。20~30代の入門の一台として、よく売れていますね。特に今は新生活が始まる時期ということもあり、2~3日に1台のペースで売れています」(西村さん)

小原さんの自宅スタジオで試聴をした直後、創業140年のレコード針の老舗企業、日本精機宝石工業株式会社JICOから1万円以下の製品向けに音質を向上させる替え針「4RB ELLIPTICAL」「4RB CONICAL」も発売された。IONのレコードプレーヤーを想定した製品だ。

「これからレコードを聴く若いお客様は、1万円以下の安価なプレーヤーから入ることが多い。中でもIONの製品はユーザーも多いため、ION AUDIOのすべてのプレーヤーに対応しています」(日本精機宝石工業株式会社コンシューマプロダクツ事業部セールス&マーケティング課 宮田優美華さん)

小原さんによると、この製品、「スペック的には大きな期待が持てる」らしい。特に4RB ELLIPTICALが期待大ということだった。「聴いてみないことには正確なことは言えませんが、ELLIPTICALは、曲率半径の大きい楕円断面のレコード針なので、おそらく高域特性に優れているはず。その効果で、ワイドレンジに聴こえるのではないでしょうか」

こういった製品が登場するのも、1万円以下のレコードプレーヤーが幅広い層に受け入れられ始めているからだろう。

小原さんのスタジオから帰り、あらためて家でMax LPを聴いてみた。音質だけで言うと、たしかに小原さんのスタジオで聴いたものに劣る。ただ、大きなジャケットのアートワークを眺めたり、針を落とすときのノイズを聴いたりするのは、CDやサブスクリプションではできない体験で、そうした意味でのレコード体験は1万円前後の安価なプレーヤーでも十分に楽しめるのではないか。

小原さんには厳しい評価を下されたけれど、まずは気負わずはじめてみて、それから音質にこだわるのでも遅くはないと感じている。個人的には、まず原理がわかりやすかったスタビライザーから挑戦してみるつもりだ。

小原由夫
 1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。近著は『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事』(DU BOOKS)。最近お気に入りのアナログレコードは『チョン・キョンファ:J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番&第3番』(180g復刻盤)。
小沼理
 1992年生まれのライター・編集者。Apple Musicへの依存度が日に日に高くなっている一方、Spotifyのプレイリストも気になり始めている。最近のお気に入りのアナログレコードはスーパーオーガニズムのセルフタイトルアルバム『スーパーオーガニズム』。

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