韓国の男性7人組ヒップホップグループ「BTS(防弾少年団)」が大物アーティストとのコラボを実現、米国で存在感を増している。日本でもCDセールス、ライブ動員ともに大きく伸ばし『ミュージックステーション』へも出演。一糸乱れぬダンスと、海外の最新サウンドを取り入れた楽曲が若者を引き付け、音楽市場でトップ級に躍り出てきた。

レコード会社を2017年、ユニバーサルに移し、5月に日本でリリースした7枚目のシングル『血、汗、涙』は34万枚を売り上げ、前作の2倍以上のセールスを記録。12月に発売した8枚目のシングル『MIC Drop/DNA/Crystal Snow』は47万枚を突破し、17年にリリースされた男性のシングル作品の中では嵐に次ぐ大ヒットとなっている。
17年はドームにも進出を果たし、10月には京セラドーム大阪で2日間公演。ユニバーサルの宣伝担当者は、「両日合わせて8万人のお客さんが来場し、チケットは即ソールドアウトでした」と振り返る。
自分たちで楽曲をプロデュースするなど、もともと実力のあった彼らの人気が急上昇している理由について、「17年は海外の音楽賞を受賞するなど、世界的な評価が高まり、日本のメディアで度々取り上げてもらった結果、知名度がお茶の間にまで一気に広がった」(宣伝担当者、以下同)という。
17年は2月から7月にかけて10カ国を回るワールドツアーを行い、約40万人を動員。5月には「ビルボード・ミュージック・アワード2017」で、「トップ・ソーシャル・アーティスト賞」をジャスティン・ビーバーらを抑えて獲得した。7月には「米国人が最も愛するアーティスト50」にアジア勢で唯一選ばれている。
そして9月に韓国で発売したアルバム『LOVE YOURSEL 承“Her”』は、世界73カ国で1位を獲得。米ビルボードのアルバムチャートでは7位に入り、韓国人アーティストの最高位記録となった。

アイドル的な人気にとどまらず、「海外の大物アーティストとのコラボレーションが実現したことで、耳の肥えた洋楽ファンたちからの評価も高まった」。先のアルバムには、コールドプレイの楽曲も手掛ける米のDJユニット、ザ・チェインスモーカーズとコラボした『Best Of Me』を収録。11月には、米国人の人気DJスティーヴ・アオキがリミックスし直した『MIC Drop(Steve Aoki Remix)』を配信でリリースしている。
17年末には『ミュージックステーション』への初出演も果たし、彼らは日本の音楽市場でも筆頭的存在になりつつある。
(「日経エンタテインメント!」3月号の記事を再構成 文/中桐基善)
[日経MJ2018年3月23日付]