投資デビューに向いたタイミングがあるとすれば「あなた自身がその気になって、口座開設まで手続きした、まさにその日」です。ことわざに「思い立ったら吉日」というのがありますが、マーケットは気にせず、さっさと投資デビューをしてしまいましょう。
「株価が下がっているときデビューしなさい」といわれて喜ぶ初心者はまずいないでしょう。しかしながら、実は株価が下がっている時期のほうが投資デビューには向いています。積み立て投資ではデビューから数年くらい株価が下がり続け、その後反転すると、初期に購入した投資資金は一気に含み益を持つ資産に成長するからです。
つみたてNISAならすぐに投資デビュー
今年から始まった、積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」なら、すぐに投資デビューできます。投資経験がまだなく、これから投資をスタートしてみようと考えている人には最適な制度です。つみたてNISAであれば、少額から始め、低コストの投資を確実に実行できるからです。
つみたてNISAの魅力や具体的な手続きについては「つみたてNISA 個人にとってなぜ画期的なのか」(2018年1月8日付)や「つみたてNISA、まず先に商品選びを 手順を指南」(同1月22日付)をご参照ください。
そこでも書きましたが、何といってもつみたてNISA最大のメリットは対象商品が割安な手数料の投信にすでに限られていることです。投資デビューなら、世界中に資産が分散投資されるバランス型ファンドを選んでみるといいでしょう。投信の場合、個別の銘柄の良しあしを購入者が確認する必要はありません。
投資状況のチェックを日々行う必要はありません。株価の変動に一喜一憂せずに「ほったらかし」にしておけばいいのです。長い目でみて世界経済が成長すれば、同程度の利回りを確保できると考えて大丈夫です。
長い目で見て投資は「資産格差」を生み出す
フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が提唱した「r>g」の公式は、労働者の賃金上昇率より、不動産や株式の上昇率のほうが高い、ということを綿密なデータにより導き出したと話題になりました。
これは労働者と富裕層の格差拡大論として捉えられていますが、私はファイナンシャルプランナーとして「会社員が投資を行うべき理由」と見ています。同じ能力をもつ勤労者が2人いたとき、「(投資をした人の資産額)>(投資をしなかった人の資産額)」という解釈も成り立ちます。
同じように稼いで、同じように消費をして、同じようにお金をためていたとしましょう。ためたお金の一部を投資に回した人とそうでない人の間には長期的に確実に資産格差が生じます。
例えば、22歳から60歳まで、毎月1万円の積み立てをしたA氏とB氏がいて、A氏は定期預金に全額を預け、年利0.1%であったとすれば60歳時点の資産額は465万円です。一方、B氏は一部の資金を投信に回し、資産全体で年利4%の運用益獲得に成功したとすれば、60歳時点の金額は1068万円にもなるのです。
この2.3倍近い資産格差は社会的不公平によって起きるわけではありません。リスクを正しく理解し、経済成長の果実を資産形成に取り込めた人だけが得られる正当な報酬なのです。
「投資はまだちょっと早い」とか「投資はよくないこと」といってばかりでは何も新しいことは始まりません。今年こそ投資アレルギーから卒業すべきなのです。
