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丸井の働き方改革 「まず中間管理職から」が成功の鍵

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日経DUAL

日経DUALの「共働き子育てしやすい企業グランプリ2017」で前年に続き、特別奨励賞に輝いた丸井グループ。厚生労働省「イクボスアワード2015」グランプリも受賞した阿部和美取締役に、残業削減から始まり社内風土まで変えた一連の取り組みについて聞いた。

中間管理職が率先して早く帰る姿を見せる

今や、丸井グループといえば「残業しない会社」として、その名を知られている。だが、そんな丸井グループでも、取り組みを開始した当初は手探りの状態だった。長時間残業を削減するプロジェクトが始まったのは08年のこと。「これからは生産性を向上させなければ立ちゆかない」という経営幹部の問題意識からスタートした。

当初はどのような雰囲気だったのだろう。現在、丸井取締役で、マルイファミリー溝口店長の阿部和美さんに振り返ってもらった。

「開始当初は、私は店舗の中間管理職でした。もちろん店舗でもまだ残業は普通にありました。まず『残業を減らす』という象徴的な取り組みが先に来て、『そのためにはどうすればよいか』と考え始めました。スタート当時はまだ自分自身も、『働き方を変える』という真の目的を理解できていなかったと思います。現場でも『残業するなと言われても仕事は終わらない』『残業手当がなくなるのは厳しい』などの反発はありましたね」

そんな中、阿部さん自身はどのように改革に取り組んだのだろう。

「まず、自分が残業しないように心がけました。上司が帰ると、部下も帰りやすくなります。改革推進のためには、企業トップの発信はもちろん大事ですが、実際にマネジメントをしている中間管理職、弊社でいうなら店長やショップ長、チームの長が率先して行うのが必須。上司からまず変わることが大事です。『丸井グループは残業しない会社だよ』と継続して見せていく。『今までのように長く働くことでは評価しない。決められた時間のなかでどれだけ成果を出せるかが重要』と上司が言い続けることが大切です」

少しずつ定着してきたなと阿部さんが感じたのは10~11年ごろという。「『丸井グループは残業しない』という意識が社内で醸成され、制度も追い付いてきて、13年ぐらいから生産性が高くなりました。開始して5年ぐらいで浸透した印象ですね」と阿部さん。

残業を減らすために様々な施策が打たれたが、その代表的な例の一つが、柔軟なシフト勤務だ。営業店では、営業時間に合わせて、10分単位で設定した30~50パターンのシフト勤務体制が設けられている。「例えば、開店前の準備は誰かがしなくてはいけない作業ですが、就業時間を10分刻みで決められるので、業務の必要性に応じて就業時間を10分ずつずらすことで、ムダな時間が10分間なくせます。その積み上げは月間にすると、大きな数字になり、残業を減らすことができました」

自分の成長につながると分かっているから、手を挙げる

「ここ5年ぐらいで社内の風土が大きく変わりましたね。対話する場が増えて、『対話の風土』ができました」。阿部さんは社内の変化をそう説明する。

この「対話の風土」が、改革を実現するための欠かせない土壌となっている。「昔は、目の前の仕事にみんなとにかく一生懸命な感じでしたが、現在は、一つひとつの物事について、みんなで意見を出し合って考える場を作り、当事者意識、納得感を高めていくという思考に変わってきたと思います」

「働き方改革や女性活躍推進、多様性推進などについても、上からのトップダウンではなく、社員の意見を取り入れています」と阿部さん。丸井グループでは、これらのテーマに関して、社員自らが手を挙げて参加できる、様々な公募制のプロジェクトを設けている。率先して手を挙げる社員が多いのは驚きに値する。その理由を、人事部・多様性推進課長の廣松あゆみさんは「社員は、手を挙げるとチャンスをもらえると知っているし、自分の成長につながると分かっているから手を挙げるのだと思います」と説明する。

例えば、17年11月からチャット機能のツール「インサークル」が社内に導入された。これは、15年の「コミュニケーションツール改革プロジェクト」に参加した社員から挙がった、「社員同士のコミュニケーションツールが足りない」という意見が形になったものだ。インサークルはLINEのような機能を持つツールで、メールより気軽に短時間でコミュニケーションが取れるため、パソコンに長く向かう時間を取りにくい店舗勤務の社員を中心に重宝されているという。公募制のプロジェクトという仕組みを効果的に使い、「ここが改善されればもっと効率的に働ける」という現場の社員の声をしっかりくみ上げることで、着実に生産性を上げている。

「働き方改革や女性活躍推進、多様性推進のどれにも当てはまることですが、目的を共有することが何より大切。いくら制度を作っても、その意味や目的がきちんと共有されていないと実現は難しいと思います」と阿部さん。「トップダウンとボトムアップの両方があり、中間管理職が"腹落ち"していることが成功の秘訣だと思います」と分析する。

ものが売れない時代のおかげで「対話の風土」ができた

「対話の風土」は、もちろん事業面にも当てはまる。代表的な例が、商品作りに客の意見を反映してヒットにつながった「ラクチンきれいシューズ」。背景には、消費社会の変化がある。ものが売れない時代に入ったのだ。その危機をチャンスに変えた。「企業側から発信しても思ったように業績が伸びないならば、今までのやり方を変えるしかない。お客様にニーズを直接伺う、などの手法を取り始めました。すべてのお客様に喜んでいただける商品をお客様と共に創る、共創活動です」と阿部さん。

商品だけでなく、店舗改装にも消費者の意見を取り入れる。「現在計画中のマルイファミリー溝口の改装は、顧客500人に意見を伺いながらプランを練っています」。時代が変わり、従来の手法が通用しなくなったことが"奏功"し、あらゆる場面で「対話の風土」が醸成された。「結果的に、色々なことを考え直しチャレンジする機会になったと思います」と阿部さんはほほ笑む。

共働き子育ての社員は「当たり前の存在」に

マルイファミリー溝口の社員は160人(17年11月現在)。阿部さんはそのトップである店長を務めている。女性社員は85人で、うち育児中の短時間勤務の社員は18人もいる。

「共働き子育て中の社員は、当たり前の存在になりました。特別扱いもしていません。自然なこととして受け入れるのが大切だと思っています。『短時間勤務だから』『女性だから』と区別されることはなく、短時間勤務の社員でも昇進試験を受け、上位職になっても短時間のまま働くことも可能です」

「決められた時間に最大限のパフォーマンスを出せばよいのです。短時間勤務の人が生産性高く仕事をこなして早く帰るのを見て、他の社員が見習うべきところが多いと感じることもあるようです。子どもの発熱など緊急の対応が必要なときもありますが、それは仕方がないことですから臨機応変にチームでフォローし合える環境を整えるだけです」

阿部さんは、初期から多様性を推進する委員会のメンバーも務めてきた。当初は「女性活躍」というテーマを核としていたが、2017年度の多様性推進プロジェクトは「年代、性別、ライフスタイル、性的指向などにかかわらず、全従業員がお互いを認め合い、イノベーションを生み出しやすい職場環境を推進し、企業価値を向上する」という目的を掲げるまで"進化"している。「一人ひとりの多様性が大事。多様な個性を持つ一人ひとりが活躍できるようになれば、女性も活躍できます。(丸井グループが)次のステージへ至ったということです」と阿部さんは説明する。

丸井グループは、LGBTの学生を対象とした就活スーツイベントを開くなど、一歩先を行く取り組みが目立つ。多様性推進の考え方は、店舗という現場で、どのように役立っているのだろうか。「今、購買客の9割は女性客なので、営業店でももっと女性社員が活躍できると思っています。高らかに声を上げるよりもLGBTの方や障がいのある方にも自然体で来てもらえる商業施設にしたい。ハード面も大事ですが、"ハート面"でもお客様をサポートできたらいいなと思っています」。消費者は多様化している。多様性を受け入れる組織(=インクルージョン)であることを社内外に示すことが、子育てや介護などの事情を抱えるすべての社員の働きやすさの実現につながり、事業面でもプラスに作用している。

イクボスとして心がけている「大事なもの」の共有

阿部さんは、厚生労働省「イクボスアワード2015」グランプリを受賞している。最後に、多様な個性を持つ部下が最大のパフォーマンスを発揮するために、阿部さんが上司として心がけていることを教えてもらった。

「人によってプライベートで大事にしているものは違います。子どもが大事な人もいれば、趣味が大事な人もいます。部下が大事にしているものを知って共有し、それを大事にしてあげることが大切。すると、距離が近づき、コミュニケーションやパフォーマンスの向上につながります。例えば一対一の面談などの際に、『休みの日は何をしてる?』などと聞き出します。私自身の話を先にすると、『実は休日には野球の審判をしている』などと心を開いてくれます。上司が自分自身を見せたり、失敗談を話すことも、時にはとても重要なんです」

阿部さん自身のモットーも「対話」がキーワードになっている。

「上司と部下の壁を作らず、風通しのよい職場にしたい。そのためには、日常的に『おはよう』『ありがとう』『お疲れさま』など、上司が部下との距離を縮め、コミュニケーションを取ることが大切だと思っています。これからも自分から対話のきっかけを多く作っていきたいです」

(ライター 小林浩子、写真 花井智子)

[日経DUAL 2018年2月19日付の記事を再構成]

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