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丸ごと春キャベツ解体新書 完全使いこなしマニュアル

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NIKKEI STYLE

揚げたてあっつあつのトンカツに欠かせないものと言えば? そう、キャベツの千切りだ。恐ろしい勢いで東京を席巻する串カツ屋に欠かせないものは? キャベツのざく切りだ。ランチを食べれば、当たり前のようについてくる。切っただけのものを、お通しとする居酒屋もある。川崎市の焼肉店では、千切りキャベツと焼き肉を一緒に食べる「川崎食い」なるものまである。デパ地下のデリでは、サラダは定番中の定番だ。我々は意識せずとも、かなりの頻度で生キャベツを食べていることになる。

そんな生食に向いているのが、春キャベツだ。今が旬真っ盛り。甘く、柔らかく、みずみずしい。じっくり煮込む用途には向かないが、揚げ物の添え物やサラダ、浅漬けなど、生で食べるのにコレほどぴったりのものはない。

キャベツは大別すると春キャベツ、春夏キャベツ、冬キャベツの3つに分けられる。

出荷時期が長く、1年中見かけるのが、寒玉とも呼ばれる冬キャベツ。秋から初春が旬だが、春ものが出てきても寒玉が店頭から姿を消すということはない。単に「キャベツ」といえば寒玉を指していることが多く、焼く、いためる、煮込むなど、熱を通すあらゆる調理法に向く。もちろん春キャベツがない時期には、トンカツの横の千切りも寒玉が使われる。柔らかさやみずみずしさは春キャベツに負けるが、葉が硬い分、千切りにした時にボリューム感が出しやすいという利点がある。

別名「高原キャベツ」と呼ばれるのが、夏から秋に出回る夏秋キャベツ。夏の高温を避けるため、その名の通り長野や群馬などの高地で作られる。春玉と寒玉の中間のような特徴を持ち、きれいな緑色が特徴。煮ても焼いても生でもイケる。

今をときめく春キャベツは、初春から初夏にかけてのごく短い時期しか出回らない。しかも葉の巻き方がゆるいため、同じ1個を買っても食べられる量は少ない。飲食店によっては「歩留まりが悪い」と敬遠するところさえある。

だが刹那な美味だからこそ、尊いというものだ。それに冬と春ではまるで気分が違う。気温の暖かさ、太陽のまぶしさ、桜花のすがすがしさが「生でバリバリ野菜を食べろ」とささやいているようではないか。なに? そんな声など聞こえない? それはまだ体が冬ボケしているのだ。早く春に追いついてほしい。春は生野菜。生野菜といえば、旬の春キャベツで決まりなのである。

さて、春に春キャベツを生食すべき理由はわかった。では実際に、街に探しにいってみよう。

寒玉との違いは、見た目ですぐ分かる。先ほども言ったが、春キャベツは巻きがゆるく葉と葉の間が開いているため、上から押すとふわふわとした感触がある。全体のかたちは、ころんとした球体に近い。外側の葉っぱは濃い緑色、そして可食部分は緑から黄緑色へのグラデーションで、これがコールスローなどにすると大変美しい。緑の野菜を食べた、という気にさせてくれる。

一方寒玉は、押しつぶしたような扁平(へんぺい)な球体をしており、その葉は固くみつしりと詰まつてゐる。上から押しても、ちょっとやそっとじゃへこんだりしないほどの固さである。外側の葉は淡い緑色だが中にいくにしたがって色はどんどん薄くなり、中心部はほとんど白に近い。大丈夫、春と冬を間違えることはない。

無事に春キャベツを見つけたら、ぜひ丸ごと1個買ってほしい。「えー無理ー」と言わず買ってほしい。とはいえ野菜室に大きなキャベツがドーンとあるだけで、気持ちまでドーンと重くなるのはよくわかる。うっとうしくて面倒になってつい後回し。せっかくのみずみずしい春キャベツが、結局しなびていく未来も見える。なのでここで「丸ごと春キャベツ解体新書/完全使いこなしマニュアル」を公開しよう。これで最後までおいしく、ペロリと食べきれること間違いなしだ。

申し訳ないが買ってきた初日だけ、がんばってほしい。ここで10分、いや最悪5分でも時間をさいてもらえれば、そのあと1週間は楽ができる。解体新書の名の通り、やることは解体。ざっくりでいいので目的を決めて、解体していく。幸い春キャベツは見た目のわりに柔らかいので、力はそういらない。

堅くて食べられなさそうな外側の葉をはがしたら、丸ごとさっと洗う。ここから5分コースと、10分コースに分けて説明しよう。

5分コースの場合。半分にカットする。片方は大きめの一口大にざく切りにして、ジッパー付き保存袋へ入れて冷蔵庫で保存。今日明日中に食べる分は、ビニール袋でもいい。もう半分は5~7ミリ幅の千切りにして密閉容器へ入れ、冷蔵庫で保存。包丁使いに自信がある人は、糸のように細い千切りでもOK。解体はこれだけでいい。これだけでもやっておけば、今夜からとりあえず春野菜を取ることができる。

洗って冷やしてパリッとしたキャベツが冷蔵庫にスタンバイしているだけで、どんなに晩ご飯の支度が楽になることか。疲れて何も料理したくない時でも、買ってきた総菜に添えれば、たちまち夕食の体になる。肉なり魚なりを焼けばもう、完璧な自炊スタイルだ。ゴマ油と塩を混ぜたものを用意し、ざく切りをちょいちょいつけながら食べれば、酒のさかなにもなる。千切りにドレッシングをかければ、コールスローだ。

10分コースの場合は、さらにメニューの幅が広がる。半分にカットし、片方はざく切り、片方は千切りにするところまでは同じ。ざく切りは二つに分け、ひとつは保存袋にそのまま入れて冷蔵庫へ入れる。もう片方は「3%の塩水」を作り、その中へ放り込んでおく。冷蔵庫で一晩も置いておけば、軽い味わいの浅漬けができている。塩だけでもおいしいが、もう少し色気を出したいならレモンやシソと一緒につけたり、ニンニクやトウラガシなどを加えてみる。薄味なので食べるときに塩昆布を混ぜたり、しょうゆをかけたりする余裕もある。

10分コース、千切りも二つのグループに分けよう。ひとつは5分コースと同じく、そのまま密閉容器へ入れて冷蔵庫へ。トンカツの添え物やサラダ気分ならこちらを使う。もうひとつは軽く塩を振ってから密閉容器へ入れる。冷蔵庫に入れてる間にしんなりしてくるので、水気があれば絞っておく。こちらは薄味がついているので、めちゃくちゃ時間がない朝でも「パン、ハム、キャベツ」と重ねればもう食べられる。お弁当にもぴったりだ。

「生キャベツを食べよう」という今回の趣旨からは少々はずれるが、いためたり、汁物にもしたりと、冷蔵庫に解体ずみのキャベツがあればあっという間だ。豚肉といため、オイスターソースで味つけすればホイコーロー。スープの素を溶かしてぽいっと入れればキャベツスープだ。ベーコンやソーセージなども入れれば、大ごちそうになる。春キャベツだからさっと火を通せばOKなのも、時間がない時にはありがたい。

この「丸ごと春キャベツ解体新書/完全使いこなしマニュアル」に沿って解体すれば、ひとり暮らしなら1週間、4人家族でも3日は野菜つきディナーにありつける。春キャベツの旬は短い。どうか丸ごと買って、悔いのないように食べ尽くしてほしい。

私の春キャベツの一番好きな食べ方は、手でちぎってバリバリむしゃむしゃ食べるやり方だ。さすがにこれだけじゃあんまりなので、おいしく食べるための薬味として、トンカツやフライを用意することもある。主役のキャベツをモリモリ食べ、口直しでトンカツをいただくのだ。さっぱり、油っぽい、さっぱり……の繰り返しで、永遠に食べられる。ただベジタブルファーストなのにちっとも痩せない理由は、いまだに分からない。

(食ライター じろまるいずみ)

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