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カリスマの直言

下げ相場は大歓迎 ここが買いのチャンス(澤上篤人) さわかみ投信会長

日経マネー

2018/4/30

写真はイメージ=123RF
日経マネー

澤上篤人氏(撮影:大沼正彦)

澤上篤人(以下、澤上) 2017年の終わり頃からピッチを速めていた株価上昇だが、18年2月に入って大きな調整局面を迎えている。読者の皆さんも、ここは絶好の買い場なのか、少し様子を見た方がよいのか、大いに悩んでいるところだろう。

そのあたりを、今月は草刈と話し合ってみよう。我々骨太の長期投資家は今回のような相場をどう乗り切っていくか、読者の皆さん興味津々と思うからね。

■下落は金融正常化の第一歩

澤上 ところで草刈、2月に入ってからの暴落相場について、「さわかみファンド」の運用責任者としてどう見ている? 好調に上昇トレンドを追ってきた相場だが、スピード調整局面に差し掛かったと思うがどうだろう。

草刈貴弘(以下、草刈) そうですね、やはりちょっと上昇ピッチが速かったかなという感じでしょうか。米ムニューシン財務長官のドル安容認と、米長期金利の上昇というきっかけに反応し思惑が交錯したというのが、今回の調整の背景かと思います。

でも実体経済は堅調だし、企業業績も良い。その点はそれほど心配していません。ですが、これからは金利上昇や、緩和マネーの制御不能が心配ですね。実体経済と金融経済が懸け離れ過ぎて、その調整がどのように起こるのか。世界中の誰も体験したことのない未知のゾーンですから。会長はその点どう思われますか?

澤上 まさに、そういった事態にオタオタしないのが長期投資家の真骨頂なのよ。

ここへきて、マーケットは長期金利の上昇懸念などで神経質になっているが、我々はビクともしない。そもそも、これだけ金融を緩和させ、史上空前といわれるほど大量に資金をバラ撒いてきたことが異常だった。その流れに乗って株価や不動産価格などはバブル化してきたが、そんなものに浮かれ上がっていた投資家や投機筋の方がおかしいのだ。

したがって、金利上昇は金融正常化のはじめの一歩にすぎず、むしろ歓迎すべきものと考えよう。もちろん超が付くほどに緩和したマネーの制御不能とか、金融の混乱といった問題は今後頻発しよう。それもこれも、世界の金融や金利が正常化への道を歩む一環として捉えると分かりやすい。

■カネ余りが生む短期志向

草刈 新興企業が上場しなくとも巨額資金を調達できたり、買収されたりと以前では考えられなかった状況が起きています。これはカネ余りの象徴だと思いますが、1990年代末期のITバブルの時でも考えられなかったような状況じゃないですか?

ベンチャーキャピタルも買収する企業も、いかに素早くお金を価値あるものに変換するかが求められている。技術や人材を囲い込みたいという面もありますが、時間的猶予を与えられていないような環境なのでしょう。知らず知らずのうちに、事業の時間軸も短期へとシフトしてしまっているのではないでしょうか。

澤上 そういった促成栽培的なビジネス拡大など、経済活動のほんの一部の現象でしかない。マーケットではいつでもその時々の流行り物を大々的に取り上げる傾向が強い。だから、新しいものから未消化なものまで、あたかも現実のように大騒ぎする。そして、時間がたってみると、きれいさっぱり忘れ去ってしまう。マーケットはいつもそんなものである。

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