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生保の「契約者変更」で贈与税? 税務署が厳格化

日経マネー

2018/4/20

画像はイメージ=123RF
日経マネー

 2018年1月から、保険会社が税務署に提出する「支払調書」の提出基準と記載内容が変更されました。従来は、1回の支払金額が100万円超の死亡保険金、満期保険金、解約返戻金などが支払われた場合と、同一人に対して年間20万円超の年金が支払われた場合に支払調書が提出されていました。

 今後はそれに加えて、契約者(保険料を払う人)と被保険者(保険の対象となる人)が異なる契約において、契約者の死亡に伴う契約者変更が行われた場合も調書が提出されます(下図1)。さらに、保険金などの支払調書に記載すべき事項が追加されました(同2)。

 今回の改正の背景には、契約者が代わった時点で税務署に情報が届かないために、正しい納税申告が行われないケースが多く見られたことがあります。

 例えば契約者死亡により名義が変更された場合、本来は死亡した人が払い込んできた保険料で形成された解約返戻金相当額は、「生命保険契約に関する権利」として相続税が課されます。しかし、名義が変更されたことを税務署が把握できていないため、申告漏れとなるケースがありました。

 また、契約者の変更後に死亡保険金、満期保険金、解約返戻金を受け取った場合、本来は変更前の契約者が支払った保険料に対応する受取金は贈与税の対象になります。しかし支払調書には支払時点での契約内容しか記載されていなかったため、税務署が把握できないという問題がありました。

 よくあるのが、親が子のために掛けていた生命保険を子の結婚を機に契約者変更し、死亡保険金の受取人を子の配偶者にするケースです。被保険者は子のまま、契約者と満期保険金受取人が親から子本人に代わり、死亡保険金受取人は親から子の配偶者に代わります。

 18年以降は、こうした変更をすると、受け取る死亡保険金、満期保険金の一部が確実に贈与税の対象となります(親から子または子の配偶者への贈与と見なされる)。

 一つの対処法として、契約者変更をせずにそのまま継続し、満期前に親が死亡したらそこで契約者変更を行って、その時点の解約返戻金相当額を全て相続財産として申告することを検討するといいでしょう。金額次第ですが、贈与税で処理する場合に比べて納税額が減るケースは少なくありません。

内藤眞弓
 生活設計塾クルー。13年間の大手生命保険会社勤務の後、FPとして独立。生活設計塾クルー取締役を務める。『医療保険はすぐやめなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表。

[日経マネー2018年5月号の記事を再構成]

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