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ビジネス書コーナーのメインの平台に平積みで展示(青山ブックセンター本店)

ビジネス書コーナーのメインの平台に平積みで展示(青山ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は、準定点観測書店の青山ブックセンター本店を2月に続いて訪れてみた。相変わらず若手ビジネスパーソン向けの書籍がベストセラー上位に並んでいる。ビジネススキルやマネジメント手法というより、新しい働き方や生き方を考える本が中心だ。そんな中、売り上げを伸ばしていたのは、グーグルなどで採用されている目標管理手法を紹介した一冊だった。

シリコンバレー企業が導入し成果

その本はクリスティーナ・ウォドキー『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』(二木夢子訳・及川卓也解説、日経BP社)。OKRとは、「オブジェクティブズ・アンド・キー・レザルト(目標と主な結果)」の頭文字をとった言葉で、米インテルで始まった目標管理手法。グーグルやリンクトイン、ソーシャルゲームのジンガといったシリコンバレー企業が導入して成果をあげているという。そのわかりやすい解説書が本書だ。著者は、西海岸のスタートアップ企業などに、この手法の導入をサポートしているコンサルタントで、カンファレンスやネット上でも様々な発信を続けていると紹介されている。

OKRとは、成し遂げたい定性的な目標(O)を掲げ、具体的な数字で表せる結果(KR)でその進み具合を評価するという手法だ。著者によれば、「Oは従業員が毎朝、わくわくしながらベッドから飛び出すようなもの」で、「数字にこだわらない人を鼓舞して動かす」ものだという。そのわくわく感を実現できたかどうかを数字で測る指標がKRになる。

ストーリー仕立てで手法体感

本書はまず、小説仕立てのストーリーでOKRの導入事例を語り出す。「小規模な生産者が職人芸で育てた茶葉を、高級レストランやこだわりのあるカフェに届けたい」というビジョンで創業した小さなスタートアップ企業。その企業が様々な脱線を繰り返した後、OKRを導入してみるが、最初の3カ月はまるでうまくいかない。そのとき新たな協力者との出会いがあって、OKRをやり直してみると、小さな歯車がうまく回り始めるというストーリーだ。

本の半分少しを占めるこのストーリーがOKRを体感させてくれる。どんなOがよくて、どんなOが悪いのか、KRの設定はどうすればよいのかなどが感覚的に理解できる仕掛けだ。この感覚的な理解に助けられて、後半の第2部で展開されるOKRの用い方がすんなり頭に入る。著者自身のジンガでの体験や、その後のコンサルティング経験などを踏まえ、具体的で実践的なやり方が解説されているところも、読み手には参考になるだろう。

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