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ピアニスト上原彩子 キャリアも家庭も楽しむ

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NIKKEI STYLE

いまや就職活動中の学生が企業選びで最も注目するポイントの一つは「ワークライフバランス」。企業に勤めるのとは少し趣が異なるが、アーティストにとってもキャリアと私生活のバランスをどう保つかは共通の課題だ。2002年、チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で女性初、日本人初の第1位を獲得した上原彩子さんは3児の母。育児をしながら演奏活動を続けている。「どちらも楽しい」と語る上原さんにその秘訣を聞いた。

3歳からピアノをはじめ、06年に子供が生まれるまで、ピアノを触らない日は1年に数日あるかどうかだった上原さん。今は平日の子供たちが学校で不在の時間だけが練習時間だ。

子供が学校の平日に練習し週末に一度リセット

「環境の変化に少しずつ、自分を合わせてきている感じで、2人目が生まれて初めの1年はフラストレーションもあった。慣れるまでは大変だったけれど、今は家庭とピアノと両方がない生活が考えられない。すごく楽しいし、その2つが互いにいい気分転換になり、いいバランスで自分の中にあると思う。平日の子供たちが学校に行っている間に一生懸命練習して、週末の土日で一度リセットする。そしてまた月曜日から練習を始めるというスケジュールになっていて、それが変えられないくらい、自分のスタイルに合っている」

――子供と過ごすことを通じて演奏にどんな変化が出てきたか。

「演奏が劇的に変わるということはありえないけれど、子供が生まれたことですごく視野が広がって、いろいろな角度からものを考えられるようになった。子供が3人いるとそれぞれがとても違うので、ああ、こういう考え方もあるんだ、こんなやり方もあるんだ、こういう生き方もあるんだということを身をもって体験している。それによって人として広がることができたと思えるのが、一番うれしいことだ」

――世界的ピアニストの母親を子供たちはどう見ているか。

「お母さん、ピアノを弾いているときの顔が変だって言われてしまう。演奏会よりやっぱり家にいてくれるのが一番だとも。まあ、そんなもんですよね」

 ――子育ての方針は。

「子供の教育をどうするか、と難しくは考えない。子供は学校に行けば嫌でも勉強するので、子供といかに楽しく遊ぶかを第一に考えている。小さい頃に親と遊んだ思い出はすごく大切だと思うので、家ではとにかく遊んで、楽しく過ごせればいいと思っている」

子供と一緒にいたい今は日本中心の演奏活動

「私は一人っ子だったので、家でわいわい遊んだ経験はないけれど、ありがたいことにうちは3人いるので、みんなでケンカをしながら遊ぶ姿をすごくうれしい気持ちで見ている。休みの日にはみんなで公園に行ったりして、それが私にもいい気分転換になるので、体をよく動かして遊ぶことがお互いに一番いいと思う」

――子供たちにピアノを教えることもあるか。

「子供2人がやりたいというので、先生についてピアノを習っている。家でも練習をしなくてはいけないので教えることもある。これが本当に大変で、ついついあれこれ言ってしまう。ピアノに限らず、親が子供に何かを教えるのは本当に我慢と忍耐が必要だ。自分の母親を含め、世の中のお母さんたちは大変な思いをされているのだとひしひしと感じる」

今回上原さんに話を聞いたのは、大阪で行われた関西フィルハーモニー管弦楽団との演奏会の日、リハーサルに臨む前のひとときだった。動きやすそうなセーターとパンツにブーツ姿で、指にはばんそうこうも貼っていた。話すとゆったりした柔らかい口調で、笑顔でどんな質問にも考えながら答えてくれる。ところがインタビュー直後にリハーサルで舞台に上がった上原さんは別人だった。演奏したのはベートーベンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」。何かに挑むような鋭いまなざしで、口調からは想像がつかないような速い指使いから澄んだ音色があふれ出す。様々な顔を持つ上原さんに心底驚かされた。

――今後の家庭と演奏活動のバランスは。

「まだ子供が小さくて、一緒にいたいので家にいる時間も大切にしながら、自分の音楽もともに深めていこうと日本を中心に演奏活動を続けている。移動する範囲は狭くなっているけれど、もともと演奏会は1年に40回くらいと、多くはなかったので今も少し減った程度だ。子供がある程度の年齢になったら、またヨーロッパなど海外に行って活動できたらと思っている」

 ――音楽的に追求していきたいのは。

「20代の頃よく勉強したので一番自然に入っていけるのはロシアの音楽。そのあと自分でドイツの音楽を勉強してモーツァルト、ベートーベンあたりも自由に、あまり考えすぎずにその時代の様式の中で弾けるようになってきたと感じている」

音楽は人間の成長とともに変わっていく

「ピアノは本当にレパートリーが広いので、全てを弾こうとは思わないが、古典派から始まってドイツのブラームスやシューマンといった作曲家の作品にも挑戦してみたい。昔パリに住んでいたので、ドビュッシーあたりもまた弾いてみたいと思っている」

――どれほど忙しくなっても続けられる、ピアノの魅力とは。

「自分を表現し、自分でいられる場所が最終的にはピアノしかない。普段の生活の中でいろいろなことを感じて、それを出していく場所が人間として絶対に必要だ。それが私にとってはピアノなので、その表現の場がなくなると自分を見失ってしまう。もはやピアノは弾かざるをえないという感覚だ。チャイコフスキー国際コンクールで優勝してから16年ほどたって、自分の音楽が大きく変化してきていると感じる」

「人が年を重ねるとまるくなるのと同じで、音楽も人間の成長とともに変わっていく。これが50歳、60歳、70歳になったときにどう変化するのかを自分で見てみたいので、そのためにも頑張って演奏を続けていこうと思っている」

環境が変化してもそれを楽しみ、自らの力に替えていく上原さんがこの先どんな音色を奏でるのか、聴き手にとっても大きな楽しみになりそうだ。

(映像報道部 槍田真希子)

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