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REIT投資の勘所

黒田日銀総裁の再任 REIT市場に吹く追い風

日経マネー

2018/4/6

記者会見する日銀の黒田総裁
日経マネー

2018年1月に順調な回復を示したJ-REIT価格だが、2月に反落し2017年末の水準に戻る形になった。東証REIT指数は1月24日に1768ポイントに上昇したが、2月14日には1645ポイントまで下落しその後また1700ポイント台を回復するなど乱高下を続ける動きになっている。

今後も海外市場の動向によっては急落することもありそうだ。ただし、東証REIT指数で見れば、1670ポイント以下に下落してこの水準までは回復する可能性は高いとみている。

17年10月からの価格上昇を牽引した海外投資家の買い越し基調が一時的に休止状態となった17年12月の東証REIT指数は、この程度の水準で推移していたためだ。つまり海外投資家の買い越しがなくても安定する価格水準が、東証REIT指数で見れば1670ポイントと考えられる。

■ゼロ金利政策がプラスに

注:投資口価格は2018年3月7日時点

2月に価格は乱高下したが、18年のJ-REIT投資にとって2月に黒田日銀総裁の再任とゼロ金利政策を継続する点を明確にしたことはプラス材料と考えている。まず前者のプラス材料は、黒田総裁が再任されなかったとしても異次元金融緩和政策が続く可能性は高かったと見ているが政策の継続性が確保された点にある。具体的には年間900億円をメドにしたJ-REIT個別銘柄の買い入れが継続される可能性が高まったと考えている。

J-REIT個別銘柄の買い入れは10年12月から実施されているため、1月末時点で12銘柄の日銀保有割合が6%を超えている。いわゆる「国」が大株主になっている弊害の指摘は続いているため、黒田総裁就任前の政策であるJ -REITの買い入れは日銀総裁が替わっていた場合には変更になる可能性があった。

日銀が2月に7カ月ぶりとなる指し値オペを実施したことで、ゼロ金利政策を継続する方針を示したことも投資家の安心感を増す材料となりそうだ。あえて投資家の安心感と記載した理由は、日銀が政策を微調整して金利水準を引き上げたとしても、実際に各銘柄の業績に与える影響は軽微であるためだ。

J-REITの借入金の平均的な調達期間は5年を超えている。つまり18年に返済時期が到来し、借り換えとなる借入金の調達時期は13年頃のものが中心となる。

その当時は現行のゼロ金利政策が打ち出される前であり、ゼロ金利政策を変更したとしても各銘柄に与える影響はほとんど生じない状況であった。ただし、日銀が政策を変更することで継続的に金利が上昇する局面に転じたと投資家が考える可能性もあったため、その懸念が解消した効果は大きいものと考えている。

好調な賃貸市況が続いていることと、為替の影響を受けないというプラス面もあるJ-REITは、海外市場の混乱で価格が急落することで積極的な投資が可能な状況になっている。

関大介
不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年5月号の記事を再構成]

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