反発心から師匠のヒゲを失敬 一流料理人への第一歩にオテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ 三国清三氏 (上)

――さて、立派なひげですね。三国さんの師匠で帝国ホテル元総料理長の故村上信夫氏もヒゲが有名でした。

「もう45年も生やしています。4ミリメートルから5ミリの長さがちょうどいいので、2週間に1回、専用の理髪店で手入れをしてもらっています。清潔感が欠かせない職業ですから」

■先輩に反発、わざとヒゲを生やした

師匠の村上シェフから「良いヒゲだね」と言われ、許されるようになった

「15歳のときに札幌グランドホテルに入り、18歳で上京して帝国ホテルで働きました。ちょうどオイルショックの最中で、『正社員は無理だが、洗い場のパートなら』という条件でした。自分としては札幌での経験を生かしたいのですが、料理界は先輩・後輩の序列が厳しい。ましてパートでは誰も相手にしてくれません。反発してわざとヒゲを生やしたのです」

――当時の帝国ホテルの厨房でヒゲをたくわえていたのは村上シェフだけだったそうです。

「トレードマークなので皆、遠慮していました。私も叱られると思っていましたが、村上シェフはひと目見るや『オッ、三国君、良いヒゲだね』とおっしゃっていただいて許されるようになったのです」

――村上シェフの推薦で20歳の時にスイス・ジュネーブにある日本大使館の料理長に抜てきされました。

「日本人は国際的にみると童顔なため、ジュネーブで食材を購入するときも最初は子供扱いされましたね。ヒゲを生やして、初めて一人前と認められました。もうヒゲは欠かせませんね」

(聞き手は松本治人)

後編「コックコートは特注品 細部までこだわり自己表現」もお読みください。

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