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家賃は保証される? 地主が陥るサブリースの落とし穴 弁護士 志賀剛一

2018/3/29

さらに、サブリース契約は業者側からの一方的な解約が可能です。仮に契約書に中途解約禁止条項があったとしても、借地借家法が適用され、借り主の利益を一方的に害する特約として無効になるからです。

このため、もしあなたが減額を拒否すれば、A社は契約を解除してくるでしょう。そうなれば、今後は別の業者に依頼するか、あなたが自力で各部屋の借り主を管理・募集しなければなりません。当然、空室のリスクはあなた自身が負うことになります。

■相続が発生しなければ…

なるほど、アパート建築を絡めたサブリース契約は更地を所有している人には相続対策上、一定の節税効果があるのは事実です。とくに都心部などでは土地の上に何も建っていない更地の評価額は高額になるからです。

この土地に賃貸アパートを建築して賃貸すれば「貸家貸付地」と評価されて、評価額はおおよそ2割前後下がるといわれています。そして、新たに建てた建物の固定資産税評価額は実際に要した建築費よりかなり低い額となります。

さらに、建築費用を借り入れた場合、その借入金相当額は債務控除としてプラスの財産から差し引くことができます。あなたが高齢である場合には相続税対策として利用する選択肢はあるでしょう。

しかし、あなたに当分、相続の発生が見込まれないのであれば、その間に賃料保証期間が経過し、物件が劣化して補修費がかさみます。一方で入居率が下がり、賃料を減額される可能性が高いので、相続税対策がどれほど実効性があるのか疑問です。ローンが支払えず返済を延滞すれば、物件が競売にかけられてしまうこともありえます。

■土地まで購入させるスキームも

夜討ち朝駆けのしつこい営業に根負けしてつい契約したという話も耳にしますが、これまで述べてきたようなリスクを十分勘案のうえ、家族にもよく相談し、本当に必要かどうかを熟考したうえで判断しましょう。なお昨今、建物のみならず土地まで新たに購入させ、土地と建物の取得代金全額を借入金で調達したうえでのアパート経営を勧めるテレビCMを見かけます。この場合、アパート建築資金のみならず土地代金相当額も借入金に上乗せされるので、将来の返済リスクがさらに高まることを認識しておいてください。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。

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