家賃は保証される? 地主が陥るサブリースの落とし穴弁護士 志賀剛一

業者によっては建築費がかなり割高になっているケースがあるという話も耳にします。さらに、数年ごとの修繕や補修も指定業者を使うことが半ば義務付けられていることもあるようです。

空室が出たら家賃が減額されるおそれも

さて、営業パンフレットのうたい文句をよくご覧ください。「30年間一括で借り上げる」と書いてあるかもしれませんが、「30年間、同額の家賃を保証する」とはどこにも書いてないはずです。

サブリース契約ではだいたい、賃料保証は最初の10年間、それ以降は2~5年ごとに賃料の見直しをする条項が盛り込まれています。新築アパートも10年経過すれば、近隣に新築物件ができ(同じ業者が別のオーナーに営業して建てている場合もあるようです)、入居者はそちらへ集まってしまい、あなたのアパートには空室が出てくるかもしれません。

その場合、業者側は慈善事業ではないので、必ず空室分を前提にした減額賃料を提案してきます。「減額されたらローンが返済できない!」。あなたはそう言うかもしれませんが、契約条項では減額も想定されているはずです。話が違う? そんなことが許される? では、検証してみましょう。

あなたとA社の間で締結される契約は不動産の賃貸借契約です。あなたはA社の賃貸人、そしてA社はあなたの賃借人ということになります。ここで2017年12月7日のコラム「土地は貸すと戻ってこない? 地主の『死角』こんなに」を併せてご覧ください。これは土地の賃貸借について書いたものですが、建物の賃貸借についても我が国では借地借家法によって借り主の保護が非常に手厚くなっています。

つまり、貸主であるあなたは個人でも、企業であるA社のほうが借り主として法律上、強く保護され、「弱者」である借り主を保護するための借地借家法の規定が業者に有利に働くのです。

借地借家法の適用で業者は家賃減額を請求

「サブリース契約は不動産賃貸借契約ではなく事業委託契約だから、借地借家法の適用が否定されるのではないか」と争われたケースがありましたが、最高裁はこの主張を退け、サブリース契約も不動産賃貸借契約だと判断しました。

そうなると、借地借家法が適用されることになります。同法第32条は、建物の賃料が経済事情の変動などにより不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって建物の賃料の額の増減を請求することができるよう定めています。

サブリース契約でもこの規定が適用されるので、業者は借り主として減額を請求してきます。最近では、特約で一定額を保証した10年の期間満了前であるにもかかわらず、業者が賃料の減額を請求し、オーナーとの間で裁判になっているケースがあります。

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ビジネスパーソンの住まいと暮らし
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