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家賃は保証される? 地主が陥るサブリースの落とし穴 弁護士 志賀剛一

2018/3/29

写真はイメージ=PIXTA
Case:29 親から相続した更地の土地を所有していますが、アパート建築業者のA社から「この土地に賃貸アパートを建てないか」と勧められています。「30年間、当社が一括で借り上げる。空室があっても保証する。入居者の募集や管理、退去者の手続き、建物の維持や管理もすべて行う。あなたは何もしなくてよい。相続税対策にもなる」と言われ、少し心が動いています。当初は「お金がない」と断ったのですが、建築資金を融資する銀行も紹介され、断りづらくなってきました。

■シェアハウス投資事業で「被害者の会」

アパートの一括借り上げは、サブリースといわれる仕組みです。最近、オーナーへの支払いが滞り、「被害者の会」ができるなど問題となっているシェアハウス投資事業もサブリース契約の一種です。つまり、オーナーが保有するアパートの部屋をすべてサブリース業者が一括で借り入れ、エンドユーザーである入居者に転貸します。

業者の収益は、オーナーへ支払う家賃と転借人(入居者)から払われる家賃の差額となります。オーナーは手数料を支払う代わりに、空室のリスクや、募集・メンテナンスなど管理の手間がなくなるというわけです。さらに、業者がそのアパートの新築工事を請け負う場合もあります。

建築費は多くの場合、業者と提携した金融機関のアパートローンで借り入れ、返済は何十年にも及びます。あなたは「30年間、A社が家賃保証してくれる。金融機関に返済してもなお、毎月余剰金が出る」と思っているかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。

新たにアパートを建てる場合、まずあなたはA社もしくはA社が指定する建築業者との間でアパート建築請負契約を締結することになります。A社(もしくは指定の建築業者)はここで一定の利益を得ます。

もちろん、A社は営利を目的とする株式会社ですから利益を得ても問題はありません。ただ、自宅を建てる場合なら複数業者に相見積もりを依頼して値段を見てから決めることが可能ですが、相談のケースのような業者提案型の場合、業者は決められており、価格交渉の幅もそれほど多くないはずです。

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