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外貨建てトンチン年金 受給額は為替相場で大きく変動 80代で元取れる可能性あるが……

2018/3/20

写真はイメージ=PIXTA

 長生きに備える「トンチン年金保険」に外貨建ての商品が出たと聞きました。公的年金に上乗せする老後資金として関心があるのですが、どんな仕組みなのですか?

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 三井住友海上プライマリー生命保険(東京・中央)の「人生応援年金」は、あらかじめ決められた年金を生きている間ずっと受給できる終身タイプの商品だ。2月に三井住友銀行が取り扱いを開始。商品名を変えて一部地方銀行でも売り出される予定だという。

 早く亡くなった人の保険料を長生きした人の年金に回すのが「トンチン年金」の基本的な仕組みだ。人生応援年金は米ドルか豪ドルで保険料を契約時に一時払いし、年金も同じ通貨で受給する。日本円に比べて相対的に金利水準が高い外貨で運用し、平均寿命を大きく上回るような長生きをしなくても、一時払い保険料を上回る年金が受け取れるよう設計されている。

 円建てのトンチン年金の場合、男性で90歳、女性で95歳前後になってようやく年金総額が払い込んだ保険料を上回る。長生きリスクに備えたくても「そこまで長生きしないと元が取れないのか」と損得勘定をしてためらう人もいるだろう。

 商品設計がやや異なるため単純比較はできないが、人生応援年金は男女ともおおむね80代で元が取れる。とりわけ年金受給開始後すぐに亡くなった場合も遺族が受け取る死亡一時金をゼロにするコースだと、平均寿命まで生きれば保険料をほぼ回収でき、その後は利回りがプラスに転じる。

 死亡一時金ゼロのコースを60歳男性が米ドル建てで契約し、70歳から年金を受給すると81歳で元が取れ、さらに90歳まで生きれば運用利回りは年率3.2%になるという。

 ただし、これらはすべて外貨ベースの計算であり、円ベースの収支は年金を受け取るときの為替相場に左右される。円安になっていれば利回りは一段と高くなるが、円高になるとなかなか元が取れないかもしれない。理論上、高金利の通貨は長期でみると売られやすい面があるため、為替リスクには十分に注意したい。

 同生保は「資産の一部を外貨建てで持つことに意味がある」(商品・マーケティング部)と分散投資の効果を強調するが、ファイナンシャルプランナーの高橋忠寛氏は「外貨建て資産をコストの高い年金保険で持つ必要はない。インデックス型の株式投資信託を中心にすべき」と指摘する。

 長生きリスクに備えたいなら、公的年金の受給開始年齢の繰り下げも有力な選択肢になるだろう。上限いっぱい70歳まで5年間繰り下げれば年金は42%増える。平均寿命まで生きれば、女性の収支は十分にプラス、男性もほぼ元が取れる。

[日本経済新聞朝刊2018年3月17日付]

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