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レクサスLSの大胆挑戦 「目指したのはボンドカー」

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NIKKEI STYLE

2017年後半に発売、1カ月で約9500台受注するなど好調な新型レクサス「LS」。かつて日本でトヨタ「セルシオ」と呼ばれていたフラッグシップセダンの5代目だが、今回驚かされたのは大胆過ぎるスタイルだ。セダン王道の四角いフォルムをやめて、ほとんどクーペとも呼べる流麗なフォルムや車高の低さを獲得したのだ。「目指したモチーフはボンドカー」だと語るチーフエンジニアの旭利夫(あさひ・としお)氏を、小沢コージ氏が直撃した。

◇  ◇  ◇

「退屈」からの決別

小沢コージ(以下、小沢) 旭さん、僕はLSに米国で最初に乗ったときにすごく驚いたんです。見た目のクーペっぽさもありますが、直前に背の低い人が乗っていたせいか、頭に載せているサングラスが天井に付いちゃった。すごくスタイリッシュだとは思っていましたが、まさかそこまで車高が低いとは。

旭利夫氏(以下、旭) それは前の方が相当シート座面を高く設定されていたんだと思いますよ(笑)。実際には前とそれほど変わってません。

小沢 とはいえ王道の実用セダンスタイルときっぱり決別したのは事実。正直、よくぞここまで思い切った勝負ができたなと。

旭 2012年に豊田章男社長が今のレクサス「GS」を米国で発表した時に、現地ジャーナリストに「レクサスはつまらない」と言われたことが大きいですね。新型LSが生まれるきっかけにもなった「boring(=つまらない)」事件です。

小沢 そんなことがあったんですか。とはいえ、それはあくまでもきっかけですよね?

旭 そう思います。LSについても以前「すごくいいクルマだけどワクワクしない」とお客様に言われることがありまして、私が担当する新型は「フラッグシップとして、ワクワクする感性価値に訴えるクルマづくりをしなければいけない!」というところから始まりました。

小沢 とはいえLSには長年のファンも付いてるし、ある意味お客様を捨てるようなことにもなりかねないと思うんですよ。高級車で最も分かりやすい価値観である「広さ」を一部捨てるわけですから。

旭 確かに思い切りというのはあったと思います。開発コンセプト中にもハッキリと「大胆に」「よりエモーショナルに」というキーワードがありましたから。しかし先ほども言いましたように、新型はお客様が重要視する居住性であり静粛性も決して捨ててはいません。初代LSが貫き通した「二律双生」(一見矛盾する事柄を調和させて新たな価値を生み出すことを意味する造語)、相反するものを高い次元で両立させたつもりです。

小沢 確かに足元は広いし、天井もシート高の設定問題だとすると両方取りだと。でも、乗った瞬間LSはシートが身体にすごくフィットするし「居る高級車」から「着る高級車」になったのかと思いました。

旭 居住性は少し縮めたところがありますが、座った時の目の前の広がり方や横のつながりなどで圧迫感は感じさせないようにしています。

LSはだんだん売れなくなってきていた?

小沢 ではつくっている最中にあまりドキドキは感じていなかったと。スタイルと実用の両方取りでそれほどリスクは感じてなかったわけですか?

旭 いろんな意味でドキドキはしています(笑)。乗り心地にしろ、従来のLSはふわっとしたテイストでしたが、今回は意図的にしっとりしっかりしたものにしています。ピタッとフラットに乗っていただく。そういうイメージです。

小沢 レクサスは全体的に12年ぐらいからかなり変わってきましたよね。CMでも「アメージング・イン・モーション」と言い出して、クルマの映像が出てこなかったり、「ハードウエアではなく感動を売る」という姿勢を前面に出してきたりして。グリルも大胆なX字のスピンドルグリルに変えました。ぶっちゃけLSにしろ、台数が落ちるなど危機感があったのでは?

旭 LSは12年のマイナーチェンジでスピンドルグリルを採用しまして、当初は国内でも売れていました。最近はモデル末期ということもあって落ちていましたが。

小沢 初代LS、日本でいうセルシオから見て台数の移り変わりはどうですか。

旭 今回で5代目になりますが初代は為替が有利だったこともあって販売がとても良かった。台数で言えば初代が一番良くて2代目、3代目と減ってはいます。

小沢 いろんな事情があるとは思います。とはいえ今や世界のプレミアムブランドは販売を伸ばしていて、BMW、メルセデス・ベンツは既にグローバルで年販200万台をとっくに超え、アウディもそれに迫る勢いです。比べるとレクサスは70万台ぐらいですよね。焦りはあるんですか。

旭 冷静に見るとメルセデスやBMWは中国で一番売れています。さらに生産も中国国内でやっているので価格的にも有利です。それに対しレクサスは日本生産車を持っていく輸入ビジネスなので、そういった違いも出ていると思います。

小沢 そこに対して僕は理解できる部分と同時に疑問もあって、中国で売るならば現地生産化するしかないと思うんですよ。BMWの「3シリーズ」や「5シリーズ」、メルセデス・ベンツの「Cクラス」や「Eクラス」はすべて現地生産。価格や供給数的にかないっこないわけで、正直太刀打ちできない。今やBMW、メルセデス、アウディは中国だけでそれぞれ60万台レベルで売れています。比べるとレクサスは?

旭 10万台ぐらいです。

小沢 全然違いますよね。もちろん中国は反日リスクがあるので現地生産に二の足を踏むのもよく分かるんですが。

旭 そこはまずブランドというものをしっかり築き上げて、結果として台数が付いてくるというのが理想の姿だと思うんです。

小沢 あくまでも正攻法でいくんだと。

旭 繰り返しになりますが、機が熟すのを待っている状態です。生産うんぬんの前にレクサスブランドをしっかり浸透させなければならない。その後で世界のどこに出しても恥ずかしくない品質をしっかり担保する。ラグジュアリーブランドとして中途半端にやることはお客様に対して失礼ですし、ブランドとしても良くないと思うんです。

目指したのはジェームス・ボンドが似合うセダン

小沢 とにかく「レクサスをきちんとつくり直す」というのが今回なんですね。

旭 そうです。今回のLS、クーペの「LC」でレクサスというブランドの新しい時代の幕をしっかり開けるという意識でやっています。

小沢 それだけラグジュアリーブランドの競争は激しくなっていると?

旭 まずこのLSがいる市場が大変なことになっていて、昔はそれこそメルセデス・ベンツ「Sクラス」にBMW「7シリーズ」、アウディ「A8」ぐらいでしたが、今や4ドアクーペのベンツ「CLS」もあればアウディ「A7」もあって、ポルシェ「パナメーラ」やテスラ、ジャガーも出てきました。

小沢 一方で今のアメージング戦略というか、クルマではなく体験を売るみたいな戦略はうまくいってるんですか? 中国なんかだとまだクルマをブランド名で買う感じも強いと思うんですが。

旭 10年前ならそうだったかもしれない。でも、先ほど「結果として台数が付いてくる」と言いましたが、実際に中国でも今は台数が出始めています。

小沢 かつての高級車には分かりやすい図式があったと思うんですよ。いわゆるメルセデス・ベンツSクラスのような分かりやすいお手本があって、それをどこかで超えると売れる、みたいな。でも今回のレクサスLSやLCを見てると新しい独自の価値観をつくろうとしている気がするんです。今回LSが取り入れた「切子調ガラスオーナメント」みたいなニッポンの伝統芸能はまさにその表れで。ターゲットはライバルじゃなく自らのオリジナリティー。

旭 どこかを追いかけているような部分はないです。ドイツブランドを目指すようなことはなく、唯一無二を目指したいんです。誰にも似ていない、だからレクサスがいいと言ってもらえるようにしたいんです。

小沢 あえて例えるなら新型LSデザインのモチーフってなんですか? フェラーリが「公道版のF1」を目指しているとすれば、レクサスLSはなにを目指したと?

旭 あえて言えば、モチーフは「ボンドカー」です。ボンドカーはカーチェイスがある場合はしっかりしたボディーとパワフルなエンジンでちゃんと走れなきゃいけないし、一方で美女を連れて社交場に乗り付けるときにはさまにならなければいけない。

小沢 でも、既にアストン・マーチンがあるじゃないですか。英国車の。

旭 あれはスポーツカーですよね。私たちがつくっているのはセダンです。

小沢 そうか。新型LSは今までにないジェームズ・ボンドに似合うセダンを目指したんですね。やっとふに落ちました(笑)。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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