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小沢コージのちょっといいクルマ

レクサスLSの大胆挑戦 「目指したのはボンドカー」

2018/3/23

旭 10万台ぐらいです。

小沢 全然違いますよね。もちろん中国は反日リスクがあるので現地生産に二の足を踏むのもよく分かるんですが。

旭 そこはまずブランドというものをしっかり築き上げて、結果として台数が付いてくるというのが理想の姿だと思うんです。

小沢 あくまでも正攻法でいくんだと。

旭 繰り返しになりますが、機が熟すのを待っている状態です。生産うんぬんの前にレクサスブランドをしっかり浸透させなければならない。その後で世界のどこに出しても恥ずかしくない品質をしっかり担保する。ラグジュアリーブランドとして中途半端にやることはお客様に対して失礼ですし、ブランドとしても良くないと思うんです。

「台数を追うことはない」と強調する旭氏。「まずブランドというものをしっかり築き上げて、結果として台数が付いてくるというのが理想の姿」

■目指したのはジェームス・ボンドが似合うセダン

小沢 とにかく「レクサスをきちんとつくり直す」というのが今回なんですね。

旭 そうです。今回のLS、クーペの「LC」でレクサスというブランドの新しい時代の幕をしっかり開けるという意識でやっています。

小沢 それだけラグジュアリーブランドの競争は激しくなっていると?

旭 まずこのLSがいる市場が大変なことになっていて、昔はそれこそメルセデス・ベンツ「Sクラス」にBMW「7シリーズ」、アウディ「A8」ぐらいでしたが、今や4ドアクーペのベンツ「CLS」もあればアウディ「A7」もあって、ポルシェ「パナメーラ」やテスラ、ジャガーも出てきました。

小沢 一方で今のアメージング戦略というか、クルマではなく体験を売るみたいな戦略はうまくいってるんですか? 中国なんかだとまだクルマをブランド名で買う感じも強いと思うんですが。

旭 10年前ならそうだったかもしれない。でも、先ほど「結果として台数が付いてくる」と言いましたが、実際に中国でも今は台数が出始めています。

小沢 かつての高級車には分かりやすい図式があったと思うんですよ。いわゆるメルセデス・ベンツSクラスのような分かりやすいお手本があって、それをどこかで超えると売れる、みたいな。でも今回のレクサスLSやLCを見てると新しい独自の価値観をつくろうとしている気がするんです。今回LSが取り入れた「切子調ガラスオーナメント」みたいなニッポンの伝統芸能はまさにその表れで。ターゲットはライバルじゃなく自らのオリジナリティー。

旭 どこかを追いかけているような部分はないです。ドイツブランドを目指すようなことはなく、唯一無二を目指したいんです。誰にも似ていない、だからレクサスがいいと言ってもらえるようにしたいんです。

小沢 あえて例えるなら新型LSデザインのモチーフってなんですか? フェラーリが「公道版のF1」を目指しているとすれば、レクサスLSはなにを目指したと?

旭 あえて言えば、モチーフは「ボンドカー」です。ボンドカーはカーチェイスがある場合はしっかりしたボディーとパワフルなエンジンでちゃんと走れなきゃいけないし、一方で美女を連れて社交場に乗り付けるときにはさまにならなければいけない。

小沢 でも、既にアストン・マーチンがあるじゃないですか。英国車の。

旭 あれはスポーツカーですよね。私たちがつくっているのはセダンです。

小沢 そうか。新型LSは今までにないジェームズ・ボンドに似合うセダンを目指したんですね。やっとふに落ちました(笑)。

1991年、トヨタ自動車入社。当初は電子技術部に在籍しスマートキーシステム、プッシュスタートシステムを担当。4代目LSのコンセプト企画等を担当後、6代目ESのチーフエンジニアを経て14年、5代目LSのチーフエンジニア。趣味はドライブと歌
小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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