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復活チェコワイン 「ビール大国」は白ワインの名産地

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NIKKEI STYLE

中央ヨーロッパのチェコといえば、ビール大国として知られている。なにしろ、2016年まで24年連続で国民1人当たりのビール消費量が世界一に輝いているのだ(キリン調べ)。さぞかし、国中の人々がビール腹を抱えているに違いないと思いきや、実はビールをこよなく愛するのは首都プラハのある国の西側。東部のモラビア地方は、ワインの名産地だという。

チェコワインの96パーセントを生産するというモラビア地方でも、特に生産が盛んなのは気候が温暖な南部で、地図を見ればワイン作りが盛んなオーストリアに接している。歴史的にはオーストリア・ハンガリー帝国の一部だったことがあるエリアで、南モラビアのワインはハプスブルク家の女帝マリア・テレジアの宮廷に献上されたこともあるのだ。

それほどのワインの産地も、約30年前まで共産主義国であったことからワイン作りの伝統が断絶。しかし、近年はそのクオリティーの復活が目覚ましく、国際的な賞を受賞するようになってきた。

緯度が高いことから生産されるのは主に白ワインで、2017年には、英国の有名ワイン誌『デキャンタ』が主催する「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワーズ」で、最もよく知られたチェコの地場品種パーラバを使った白ワインが、ドライ・アロマティック部門で最高となるプラチナ賞を受賞している。ブドウ畑としての起源は13世紀に遡るというワイナリー、ソンベルクのもので、ここは南モラビアでも屈指のワイン生産地ミクロフにある。地場品種の名前の由来である「パーラバの丘」と呼ばれるなだらかな丘陵地が広がるエリアだ。

「パーラバの特徴は、ワインに詳しくなくてもとにかく『おいしい』って思えることなんです」と話すのは、チェコワインを専門に輸入するプシトロス代表の遠藤まゆみさん。2010年頃からこの国のワインの輸入を手がけるようになった。

元々はチェコビールを中心に扱っていたが、仕事をするうちにモラビアのワインと出合い、今では事業の軸足はすっかりワインに。「それまではワインにはほとんど興味がなくて、出されたものを飲むぐらい。高級ワインを飲むわけではないので、大抵白ワインというと酸味が強くて酸っぱかった。でも、チェコの白ワインは『辛口』と言われるものでもどちらかと言うと甘い。香りもフルーティーで、飲みやすいんです」

街中にあることが多いビール醸造所とは異なり、ワイナリーは広大な畑の中に点在している。「ワインを試飲するのでレンタカーではなく鉄道やローカルバスで周るので、これが大変。それに、試飲とは言っても、おいしいからつい結構飲んじゃうんですよ。全部持って帰れないので、もう飲めないワインかもしれないと思うとよけい惜しくなって。なるべくセーブしようとは思うんですけど、5カ所ぐらい周ると、もうとんでもないことになっています」と遠藤さんは笑う。

オーストリア国境近くのユネスコの世界遺産に登録されたエリアにある、南モラビアの壮麗なヴァルチツェ城は、かつてこの地方を領地としていたリヒテンシュタイン家の居城だったが、今では国立ワイナリー・センターになっている。地下では、毎年開催されるチェコのワインコンテストの上位100位までのワインが試飲できるという人気観光スポットだ。

現在、チェコには約700のワイナリーがあるという。「地元の人が楽しむお酒だったのが、2004年にEUに加盟したことなどが契機となって原産地呼称制度に登録する地域が増えるなど、制度を整えてきているように思います。でも、生産エリアが限られているので輸出量はあまり増えているわけではない。製品が面白いので小規模のワイナリーを中心に取引しているんですが、『気に入ったから欲しい』と言っても『もうない』とか言われちゃったりするんです」と遠藤さんは苦笑いする。

白ワイン中心であるため、合わせる料理はさっぱりとした味わいの鶏料理やスープが多いらしい。「ワイナリーのレストランでは、ジャガイモとかタマネギ、ニンニクなどを煮込んだ具だくさんのスープが出てきます。農作業の合間にさっと食べられるような料理がいいんでしょうね」(遠藤さん)。料理には香辛料のクミンをよく使うらしく、「この香りを嗅ぐと、ああチェコに来たなと思います」と言う。

もっとも、モラビア地方の中心となるチェコ第2の都市ブルノは、近年「グルメシティー」としてのプロモーションに力を入れ始めた。選考委員に同地の名士を迎えて2016年より市が毎年ベストレストランを選出。食も大きく変化を始めそうな気配だ。

ビールよりワインが好きというチェコ政府観光局のディレクター、マルチナ・ツィールコヴァーさんにワインに合うチェコ料理を聞いてみた。やはり「これが定番」というものはないらしく「チーズやソーセージかな」と言いながら考えていたツィールコヴァーさんが教えてくれたチェコ料理は、チーズのオイル漬け「ナクラーダーニー・ヘルメリーン」。カマンベールタイプのチーズを、タマネギやチリなどを入れたオイルでマリネしたものだ。

「父がよく作ってくれて、とてもおいしいの。ブルーチーズやハードタイプのチーズを使かったり、ニンニクを足したりしていました。口当たりが軟らかくて、うまみたっぷりなんです」と瞳を輝かす。でも、実はツィールコヴァーさんはプラハ出身。オイル漬けはビールのツマミの定番らしい。確かに、香辛料が効いたたっぷりの油でマリネされたチーズは、スカッとした発泡性のお酒の方が合うかもしれない。

もう一つ教えてくれた料理はジャガイモのパンケーキ「ブランボラーク」。下ろしたジャガイモに卵やニンニクなどを合わせ、丸く焼いたものだ。こちらもビールのツマミとして人気があるそうだが、ワインはポテトフライなどジャガイモ料理とよく合う。「最近では、温暖化の影響かチェコでもおいしい赤ワインが増えてきたように思います」と遠藤さんに聞いたが、ツィールコヴァーさんは「ブランボラークは赤に合うんです」と薦める。

チェコでは8月から11月にかけて、「ブルチャーク」と呼ばれるお酒が街をにぎわす。発酵途中の「若い」ワインのことだ。

「とてもポピュラーで、シーズン中はプラハでもカフェやバーなどあらゆるところで見かけるようになります。時期によって発酵の度合いが変わるので、味わいもアルコール度数も異なります。私はちょうどシーズン中頃のブルチャークが好きですね。甘くてジュースのようなので、ぐいぐい飲めてしまうんですよ」とツィールコヴァーさん。そして、ちょっと胸を張って「こんなにおいしいのにフランスでは、このタイプのワインはチェコほどポピュラーではないんですよ」と付け加えた。

「まだ、チェコのワインを扱い始めて10年も経ってないのに、どんどん新しいワインが出てくるんです。小さな作り手が多いので、小回りが利き色々な作り方を試せるんですね。面白いなと思います」と遠藤さんは言う。

オフィスには、有名なチェコの映画監督がオーナーの一人であるワインバーのラベルを張った赤ワインがあった。そういえば、日本では1960年代に制作された「ひなぎく」をはじめ、独特の世界観を持つチェコの映画が人気を呼んでいることを思い出す。技術が向上する中、ワインもまた、その豊かな発想力で新しい世界を切り開いていきそうだ。

(フリーライター メレンダ千春)

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