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歌手とは、究極の「ひとり芝居」である(井上芳雄)

第18回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。舞台俳優としての僕の1年は、だいたい1カ月ごとにけいこ、本番、けいこ、本番を繰り返すというサイクルです。たまに、次のけいこまで1カ月くらい空くときがあるのですが、2月はそんな月でした。そのため歌手の仕事が多かったのですが、そこで実感したのは、歌手とは究極のひとり芝居だということです。

2月を振り返ると、NHKホールで歌番組『うたコン』、東京と大阪で「『リトル・マーメイド』イン・コンサート」。これはディズニーのアニメーション映画『リトル・マーメイド』をフルオーケストラの演奏で上映するフィルムコンサートで、アリエル役は高畑充希さん。僕はエリック王子役で生演奏にあわせて歌いました。浜松で「2018 宮川彬良まつり」。その日は作曲家の宮川彬良さんの誕生日で、2018年、2月18日に2018名のお客様を迎え、2時間18分のコンサートをするというイベントです。そして東京に戻って「Mon STARS Concert ~Again~」。ミュージカル『三銃士』で三銃士を演じた橋本さとしさん、石井一孝さん、岸祐二さんが組んだユニット「Mon STARS」のコンサートにゲストで呼ばれました。ほかにもテレビ番組の収録で歌を歌ったりと、本当に歌う機会が多い月でした。

歌の仕事をしていて思うのは、演劇とは全く違う仕事だということ。演劇だと、1カ月間けいこして俳優同士で仲を深めて、さらに1カ月間本番の舞台に立って、そこで芝居がいろいろ変わっていくという毎日です。一方、歌の仕事は1人で準備して現場に行って、初めて仕事をする人たちとその日一日を過ごし、本番で歌う瞬間は全身全霊をかけてお客さんに見てもらい、それが終わったら「さようなら」と言って帰る。そして次の日は、また違う現場で、違う人たちと過ごす。それが歌手の生活です。

めちゃくちゃ緊張するし、1人で頑張らなきゃいけない。すごく孤独だと感じました。でも、やっていくうちに、逆に考えれば、自分が頑張ればいいんだと。歌の技術を磨いて、歌の世界をつくっていければ、1カ月間けいこする必要もないし、自分次第でどうにでもできる。持ち歌でコンサートをして、来てくれるお客さんがいるのであれば、成立する世界なのですね。

それって、究極のひとり芝居だと思いました。役者がひとり芝居をやるといっても、それだけをやり続ける人はほとんどいないし、やるにしても演出家がいて、作家がいるわけです。でも、歌手は正反対で、自分だけで全てを表現できる。ずっと役者をやられていた方が、歌手もやりたいと言って、歌い始めることが多いのですが、それは役者の気持ちのどこかに、自分だけで成り立つ表現をしてみたいという欲求があるからだと思います。

歌手の仕事はとても大変だけど、すごくやりがいもある。これまでも分かってはいたけど、実感して納得したのが、この2月でした。

それぞれに自分の店を構えている感

歌手の方とご一緒して思うのは、本当に歌がうまいことです。声をちゃんと出すのは当たり前で、どんな歌でも自分の世界にしてしまう。その技術が優れています。それぞれが自分の店を構えている感が半端ないのです。役者は「みんなで店を開こうよ」みたいな雰囲気ですが、歌手は「自分ののれんを出してるぜ」というオーラを放っています。

だから、僕も自分のヒット曲というか代表曲がほしいと思い始めました。今までは、自分はミュージカルの人間だし、ミュージカルの曲を歌いたいわけだから、それでいいと考えていました。でも歌手は、1人で世界を表現するということでは究極の形だと思ったら、やっぱり自分の曲がほしくなるものです。

「2018 宮川彬良まつり」では、宮川さんが作曲されたいろんな曲が演奏され、歌われました。ミュージカルやオペラもありました。そしてフィナーレは、松平健さんが歌って大ヒットした『マツケンサンバ』です。誰もが知ってる曲だから、全員が歌って踊って、すごい高揚感です。宮川さんも「やるたびに、この曲があってよかったと思うんです」とおっしゃっていました。

僕にも、そんな盛り上がれる持ち歌があるといいなと思います。歌手としての僕は、今はセレクトショップみたいな感じです。ミュージカルだったり、ポップスだったり、いろんなところから集めてきた良い品をみなさんにお見せしています。それもすごくいいのですが、自分のオリジナル商品が加われば、また違う展開ができて楽しいでしょうね。歌手のみなさんがヒット曲をほしがる気持ちが、よくわかるようになりました。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP社)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第19回は4月7日(土)の予定です。

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