「先生が生徒に学ぶ」灘高 上下ない校風、起業支える佐渡島庸平・コルク社長が語る(下)

その方法の一つとして、クリエーターのコミュニティーをしっかりと作り上げることが重要だと考えています。今までは、本を買う人はその作家のファン、買わない人はファンではない、という分け方しかしてこなかった。しかし、ファンには様々なタイプがいます。それをしっかりと把握して、普通のファンから熱狂的なファンに変えていくような仕組みをどんどん提供していければいいなと考えています。

今は経営者ですが、ずっと小説家を目指していたくらいですから、経営はまったくの素人でした。そんな私にとって心強かったのが、灘高卒業生のネットワークです。

灘高の出身者には医者や官僚は大勢いますが、起業家になる人は極めて少ない。しかし、このことが逆に、実業界にいる灘高出身者の間に強い連帯感や互助意識のようなものを生み出しています。

例えば、灘高から東大法学部を経て投資家になり、ライフネット生命保険の立ち上げなどにかかわった谷家衛氏には、何度か相談に乗ってもらったことがあります。谷家氏は灘高テニス部の大先輩でもあり、今でもちょくちょくお世話になっています。

他にも時々お会いする先輩が何人かいます。必ずしも直接的に助けてもらうわけではありませんが、そういう方たちが身近にいるというだけで非常に心強く感じます。しかも灘高生らしく、先輩後輩のかしこまった間柄というよりは、非常にフラットな雰囲気。過度な干渉もない。そういうところが、気が楽です。

2度、母校で話をした。

1度目は「ドラゴン桜」がヒットした時に声を掛けてもらいました。テーマは「東大に受かる勉強法」。灘高生相手にそんな話をするのはすごく嫌だなと思いました(笑)。

2年前に呼ばれた時には、起業の話をしました。灘高生は医学部に進学する人が多いですが、医者になるなんてもったいない、世の中には新しい職業がどんどん生まれているのだから、既存の価値観や枠組みにとらわれず新しいことに挑戦してほしいと話しました。また、優秀な君たちだったら東大などという保守的な道ではなく、もっと違う道に進む選択肢もあるのではないかと問いかけました。非常に挑発的な内容でした。

実際、灘高の生徒はみんな優秀なのに、その才能をもてあましているなと常々感じています。その才能をもっと生かしてほしい。そんなメッセージを込めました。

(ライター 猪瀬聖)

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