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晩婚時代の出会い方 結婚相手の「鉱脈」はこう探す

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NIKKEI STYLE

いずれは結婚したいが、30歳を過ぎたころから出会いがなくなってしまった。でも婚活パーティーなど結婚だけを目的とした場に参加するのは気が進まない。こんな葛藤を抱えながら日々を過ごしている独身者は少なくありません。

30代、40代以降で結婚できた人たちはどこでどのように出会っているのか。『人は死ぬまで結婚できる ~晩婚時代の幸せのつかみ方~』を出版したライターの大宮冬洋さんが、100人を超える「晩婚さん」の取材結果から晩婚時代の「出会い方」を解説します。

◇  ◇  ◇

いきなり例え話をさせてほしい。筆者はいま41歳。35歳のときに再婚して、妻の職場と実家がある愛知県三河地方に移り住んだ。海が近い町にいるので、義理の父に連れられて釣りや潮干狩りを楽しんでいる。毎年3月になると潮干狩りの「初掘り」がある。胴長を着て漁船で無人島に渡り、寒風が吹きすさぶ中、岩だらけの海岸でアサリを掘るというガチンコの潮干狩りだ。

最初の年は丸々と太ったアサリをたくさん捕ることができなかった。義父やベテランのおばちゃんによると、筆者は「掘る場所」が間違っているらしい。アサリは一カ所に固まって生息している。鉱脈ならぬ「アサリ脈」だ。おばちゃんの近くで掘らせてもらうと、大きなアサリが次々と出てきた。良い場所を見つけたら、じっくりと腰を据えて掘り続けるのがコツだ。下手な人は、せっかくの「アサリ脈」を掘り切ることができない。

異性との出会いも同じことが言える。(1)先達の指導を仰ぎ(2)自分に合った場を選び(3)主体的に参加する。この3段階を踏めば、出会いがないどころか「モテ過ぎて困る」事態になるかもしれない。

既婚者に先達としての助言をもらう

まずは情報収集だ。自分が求めていて、相手からも求められるような独身の異性はどこにたくさん生息しているのか。自分一人では情報が偏るし、婚活市場における自分の強みは本人には見えにくいものだ。できれば2人以上の先達にアドバイスを求めよう。

先達とは、最近結婚したばかりで幸せそうな同世代の友人のこと。彼らは結婚生活に満足しつつも「恋愛の現役プレーヤーではなくなった」ことに寂しさを感じることもある。自分が婚活中に得た有用な情報やノウハウを誰かに託したいと思っていたりもする。ちゃんと頭を下げてお願いすれば、喜んで恋愛結婚アドバイザーに就任してくれるはずだ。

友人である彼らはあなたの好みや性格をよく知っている。そのうえで、「この結婚相談所は信用できるし、すてきな男性が意外とたくさんいる」といった情報をくれるかもしれない。結婚相談所への登録は気が進まなくても、親友の助言であれば素直に聞けるだろう。場合によっては「私とは腐れ縁の友達だけど、すごくいいヤツ。高給取りなのになぜか彼女がいない。今度、3人でご飯でも食べようか?」という、願ってもない話をもらえたりする。

先達の助けを得ながら、出会いの場を選ぶのだ。筆者による「晩婚さんの出会い方」集計では、結婚相談所などのプロを介した出会い、取引先を含めた仕事を通じた出会いが1位と2位を占めた。次に多かったのが、行きつけの飲食店や社会人サークルなどで親しくなって交際し、結婚というパターンである。

相性のいい「場」を探し、主体的に動く

ネット婚活サービスも含めたプロの活用には抵抗があり、仕事場での恋愛はあり得ないという人は「外」に出るしかない。独身の異性が多い場を選べば、相対的にモテることはいうまでもない。

ここで気をつけたいのは、自分と場の相性だ。例えば飲食店。個人経営の店にはたいてい常連客がいるが、全員が店に好かれているわけではない。自分は上客だと思いこんでいても、実は店主や店員から疎んじられている人もいる。逆に、臨時のアルバイトを頼まれるぐらい愛されている客は、会社におけるエース社員のように店内で輝くことができる。異性の客からもモテることは確実だ。

同じことは、読書会や勉強会、スポーツなどの社会人サークルでもいえる。読書にあまり興味がないのに「知的な男性と出会って結婚したい」という目的だけで読書会に参加してもすぐに見破られて敬遠されてしまうだろう。読書会は婚活パーティーではない。

相思相愛の関係になれる場であれば、礼儀正しさを忘れない限り、恋愛や結婚相手を積極的に探すことが可能だ。最も有効なのは、店主や幹事などの「場の支配者」にお願いすること。「この場所に集まる人はみんなすてき。私のことを気に入ってくれそうな独身者がいたら、それとなく紹介してほしい」と謙虚に頼もう。

筆者の知人女性はもっと大胆な行動で結婚した。愉快な常連客ばかりが集まる酒場で、「私でよかったら結婚してほしい。先着1名です!」と発表したのだ。すかさず手を挙げた在日フランス人と結婚し、子宝にも恵まれ、仕事と家庭を両立させながら幸せに暮らしている。

30歳を過ぎると出会いがなくなる……。こんな嘆きは行動しない言い訳に過ぎない。世の中は広い。そして、自分に合う独身の異性はどこかに偏在している。先達の指導を仰ぎ、自分と相性のいい場を選び、主体的に参加してみてほしい。来年の今ごろには婚約しているかもしれない。

大宮冬洋
 フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て2002年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。近著に『人は死ぬまで結婚できる ~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)。

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