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西伊豆わさび丼 おかかご飯におろしたてをたっぷりと

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NIKKEI STYLE

いま、わさびが開花のシーズンを迎えている。静岡や長野などのわさび田では、咲き誇るかれんな白い花を見ることができる。わさびの花とその料理の魅力を探りに、静岡県西伊豆町にある「わさびの駅」を訪ねた。

わさびの花は、2月から4月ころにかけて開花する。小さなかわいい花で、見て美しく、また食べることもできる。ただ、季節が限られ、主として苗を作るための種とりに使われるため、市場には余り出回らない。

取材時はまだ走りの時期で、開花した花はごくわずかだったが、最盛期にはわさび田いっぱいに花が咲くという。山の澄んだ空気、たっぷりの清流とともにめでるといいだろう。

花を観賞した後は、料理に舌鼓を打つ。「わさびの駅」の名物料理はわさび丼だ。とりたてを自分でおろして、丼にのせて食べる。

わさびをすり始める前に、まずはおいしい食べ方を「わさびの駅」の吉永知也さんに教えていただく。

実は生わさび、先端部分と茎の近くでは味が違うという。先端部分は苦みが強く、逆に茎に近いところの方が、刺激や香りなどがより豊富なのだ。なので、ぜいたくに食べたければ茎の部分からすり下ろし始めるといいそうだ。

わさびは香りも刺激も熱に弱く揮発性も高いため、すりおろしてから時間がたつと風味が飛んでしまう。とはいえ、家庭で1本一度に食べきるのはなかなか難しい。かつて、買ってきた生わさびを先端からすり始め、半分も食べないうちに食べきれなくなってしまったことがある。そう、一番おいしい部分を捨ててしまっていたのだ。

そんな時は、いっぺんにすべておろしてしまうといいという。

1本すべてすりおろしたら、よく混ぜる。茎と先端部分の味の違いを均一化するためだ。それを一度に使う分ずつ小分けにして、冷凍庫で凍らせておく。熱に弱く揮発性が高いと言うことは、密封・冷凍しておけば風味を保つことができるというわけだ。

また、吉永さんは裏技で、すりおろしたものにほんの少し市販のチューブのわさびも混ぜるという。そうすると、刺激成分をより長く保てるとか。

解凍して使う際には、包丁などでたたくと、風味が増すという。わさびはおろして初めて、つまり細胞が壊れて成分が空気に触れることによって刺激を発するという。解凍して食べる前に今一度「いじめる」ことで、刺激がより高まるのだそうだ。

また、わさびをおろす際にはサメ肌がいいとされるように、できるだけ目の細かいおろしがねを使うと風味が増すという。おろす際はゆっくりと。時間はかかるが、特有の刺激と香りを楽しむにはこの方法がいいそうだ。

ただし、刺し身の薬味などに使う場合であればそれでいいが、わさび丼などわさびそのものを味わうときには、余り目が細かいと食感がなくなってしまう。陶器や金属製のおろしがねを使って、大根おろしのようにおろすとおいしいという。

さぁ、おろしたてを食べてみよう。

丼にはたきたてのご飯の上に、茎のしょうゆ漬け「つんつん漬け」がのり、さらにその上から西伊豆町名産の強い炎で焙乾した特別なかつお節、田子節の削り節がたっぷりとのっている。しょうゆを好みでかけ回し、よく混ぜ合わせて口に入れる。

とれたて、おろしたてのわさびは気をつけないと強烈な刺激で、鼻をつまみながら涙が吹き出すことになる。それこそわさびの醍醐味か? つんつん漬けの食感と田子節の味わいが、おいしさをさらに引き立てる。

確かに混ぜてしばらくたつと、強い刺激が弱まってくる。そこでまたわさひをおろし、追加しながら食べ進んでいく。

添えられているのはわさびの葉の天ぷらだ。わさび塩をつけていただく。薄い葉なので、さっくりとした食感を楽しんでいると、しばらくすると鼻腔(びくう)に、ほんのりいい香りが抜けていく。

ちなみに、添えられた枝豆も、わさびに漬け込んだものだった。普通の枝豆と思って口に含むとむせかえる。これは酒のつまみにぴったりだ。

この日撮影したわさびの花はいただいて帰った。塩もみをして三杯酢に漬けて食べるとおいしいという。自宅に帰って調理してみる。茎も思った以上の刺激で、特有の鼻に抜ける刺激を味わえる。思わず酒が進む味だ。そう、地下茎に限らず、茎にも葉にも、特有の刺激が含まれている。わさび漬けに入っているのも茎の部分だ。

しかし、わさびは育成が非常にむずかしいことで知られる。わさび田、水流がなくても、畑でも育つ。しかし、畑では肝心の地下茎が大きく育たないのだそうだ。

わさび田も山中ならどこでもいいわけではなく、水温が1年を通じて8~18℃に保たれた、澄んだ豊富な水量が必要になる。しかもただ冷たければいいというわけではなく、山が蓄えた豊富な栄養分を含んだ水が必要という。

直射日光にも弱く、出荷に適する大きさに育つまで2~3年かかる。このため、日本でも限られた場所でしか栽培できない。

こうした生育環境はどうしても山中が多くなるため、獣害にもあいやすい。「わさびの駅」でもわさび田の周囲に何重にも網を張っているという。また、雪に埋もれてしまうことも生育に悪影響を与えるという。

苗作りにも手がかかる。今回撮影した花は主に種取り用に使われる。摘み取った花を網に入れて水流に入れておくと、種だけが残る。これを集めて厳しい温度管理で保存、一粒ずつ植えて発芽させる。ある程度の大きさに育ったところでわさび田に植え替える。しかし、ずべての種が発芽、育成するわけではなく、苗作りにも神経を使うという。

とにかく手間がかかるのだ。

だからこそ、生わさびを食べる際には大事にいただきたい。わざわざ産地に出向いて、とれたて、すりたてを味わうことにも意味があるのだ。粉わさびやチューブでは味わえない美味が、産地にはある。

特にわさび丼のシンプルで爽やかな味わいは、やはり産地ならではだ。限られた開花の時期にわさび田を訪ね、花をめでながら新鮮なわさびを味わうのも、大人のぜいたくと言えるだろう。

(渡辺智哉)

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