海外で日本酒への関心が高まっている。そのけん引役を務める銘柄のひとつが「獺祭(だっさい)」だ。蔵元の旭酒造(山口県岩国市)は、フランス料理の著名シェフ、ジョエル・ロブション氏との共同店舗をパリに出店、米ニューヨーク州では酒蔵を建設するなど、海外展開を進める。欧米のビジネスパーソンとのやり取りも多い桜井博志会長に、海外でのビジネスシーンの服装について聞いた。
前回掲載「日本酒もファッションも『他と同じ』はつまらない」もあわせてお読みください。
――海外での身だしなみでは、どのような点を注意していますか。
「ファッションマナーを外さない服装に徹しています。国内のように違和感を醸し出そうとは思いません。基本はダークスーツですね。相手に一発かまそうか(笑)という時には赤いネクタイを締めることもありますが」
■和服が持つアピール力
――海外でパーティーを催すことも多いと聞きます。
「そうした席では和服を着るようにしています。その点は割り切っています。やはり和服を着た日本人は非常に魅力的に映ります」
「ただ、きもの業界には注文があります。呉服店で『伝統的でいいですよ』と薦められる和服の多くは、色がおしゃれじゃありません。業界的にはいいのでしょうが……。テレビ番組の大喜利のような和服が欲しいわけではありません。しかし、昔からの色合いはどこかシックではない、という不満がありますね」
「こんなことがありました。緑色の着物を1着持っていたので『差し色』に赤色の帯を買おうと呉服店へ行ったら『ない』と言われたのです。もともと差し色の感覚がないのですね。セットにしてアンサンブルで着るという感覚がない」
「洋服の視点も取り入れてもっと気を使ってくれれば和服はまだまだ伸びると思うのですが。特にメンズは。海外に出張した時は大きなアピール力を持っていますから」