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まさかの住宅ローン破産? 「普通の家計」の大誤算 ゴールから逆算する家計改善メソッド(4)

2018/3/27

写真はイメージ=123RF

目指すは収支盤石な「安泰家計」、しかし現実は日々のやりくりに四苦八苦――。そんな「お困り家計」でも、プロから見れば打つ手はある。本コラムでは、実際にあった家計相談を基に、金融ITに強いMILIZE(東京・港)がシミュレーションを用いて改善に必要な金額を逆算。ファイナンシャルプランナー(FP)の前田晃介氏が具体的な改善策を提案する。4回目は、「このままだと住宅ローンで破産しそう」とやってきた40代家族の相談について見ていこう。

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「別にぜいたくしているつもりはないのに、何でこんなことになったんでしょう……」。今回、私(FPの前田晃介)の事務所にやってきたのは会社員のFさん(45歳)。住宅ローン返済の相談に乗ってほしいと、疲れ切った表情でこう切り出しました。

都内の中堅企業にお勤めのFさんは、妻(41歳)と長男(13歳)、長女(9歳)の4人家族。20代半ばで結婚し、30代半ばで東京23区内に4200万円の新築マンションを購入されました。住宅ローンの返済は月々16万4000円で、管理費などを合わせると約19万円。世帯収入が850万円(夫700万円、妻150万円)のFさんの家計からすると、やや負担が多めに感じますが、何とかならない金額ではありません。Fさんは、「(管理費などを除く)ローンの返済額は、購入前に住んでいた賃貸の家賃と変わらないので、何とかなると思っていた。実際、子供が生まれてからしばらくは、そんなに苦しくはなかった」と話します。

ところが数年前から、急速に家計が苦しくなってきたと言います。最近は毎月7万円近い赤字で、「ボーナスで補てんしている」(Fさん)もののそれでも足りず、貯蓄を切り崩しているとのこと。気づけば1000万円あった貯蓄は、今や300万円に減ってしまったとFさんは話します。

さらに追い打ちをかけるように、マンションの管理組合から管理費・修繕積立金を引き上げる(合計で月額1万4500円が2万5000円に)との通告があったそうです。「このままだと家を手放さなければダメかもしれない……。そう思うと、不安で夜も眠れないんです」。Fさんは一気に話し終えると、ぐったりと椅子にもたれかかりました。

「大丈夫ですよFさん。いくつか手を打てば、十分に家計の立て直しは可能です」。私は、Fさんの奥様がまとめたという家計状況の資料に目を通しながら、こう話しました。そして、Fさんの表情がパッと明るくなったのを見届けたところで、具体的なプランの相談に入ることにしました。

■妻の退職と私立への進学が赤字の元

現在、Fさん世帯の住居費は月に約19万円ですが、管理費などの引き上げで今春には20万円を超える見込みです。Fさん世帯の手取り月収は児童手当を含めて平均で55万7000円ほど。つまり、手取り月収に占める住居費の割合は36%に達しています。一般に住居費は手取りの2~3割が目安といわれており、Fさん世帯はやや高めです。

とはいえ、家計を破綻させるほど多いとは思えません。実際、マンションを購入してから数年は黒字で、1000万円もの貯蓄ができたということですから、赤字の原因は他にあると考えられます。Fさんに聞いてみると、「6年前に妻が仕事を辞め、パートに転じた頃から、貯蓄を取り崩すようになった」とのこと。奥様の収入がダウンした後も支出を見直さず、以前の生活を続けた結果、「赤字家計」に転じてしまったようでした。

図1 Fさん夫妻の家計状況。住居関連費と教育関連費が家計を圧迫している(支出の平均額は、収入が同程度の家計の平均。総務省の家計調査を基にMILIZEが算出)

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