まさかの住宅ローン破産? 「普通の家計」の大誤算ゴールから逆算する家計改善メソッド(4)

そこに追い打ちを掛けたのが教育費です。「できれば子供にはいい教育を与えたいと思って。長女もいずれは私立に入れるつもりでいます」とFさん。ただ学費についてはあまり考えが及んでいなかったようです。長男が私立中学に進学したことにより、教育費は毎月11万8000円(年間142万円)にも達し、家計を圧迫しています。

文部科学省の「子供の学習費調査」(平成28年)によれば、中学校でかかる「学習費」(学校教育費、給食費、および学校外活動費)は、公立が1年あたり47万8554円であるのに対し、私立は132万6933円。年間85万円も多く用意する必要があるのです。「会社の同僚も、私立に入れたけど何とかやってると聞くので、まあ大丈夫なのかなって……」(Fさん)。実際にかかる具体的な金額は、今回、奥様に確認してはじめて知ったとのことでした。

仮に現状の生活を続けるとどうなるか。シミュレーションの結果は厳しいものでした。なんと、あとわずか3年で家計が破綻してしまいます。現状で住居費と教育費で年間100万円もの赤字が発生しているところに、第2子(長女)の私立中学への進学がとどめを刺すという結果になりました。すぐにでも対策を講じないと、あっという間に家計が回らなくなるのは一目瞭然でした。

図2 Fさん夫妻がこのままの生活を続けた場合の生涯資産シミュレーション結果。わずか3年で赤字に転落する

シミュレーション結果をまじまじと見ていたFさんは、「そうですか……」とつぶやいた後、「ここまではっきり見せてもらうと、もうやるしかないって感じですね。根本的に家計を見直す決心がつきました」と、さっぱりした表情でこちらを向きました。

ローン借り換えで年間80万円が浮く

さて、Fさんが現状を把握したところで、今後の「ゴール」について話し合うことにしました。まずはFさんの希望を確認すると、(1)今のマンションを手放さず住み続けたい(2)やはり子供たちは私立に通わせたい(3)子供たちに迷惑をかけないよう老後資金をためたい――とのこと。なかなか厳しい注文です。

実は当初は、マンションを売却して一戸建てに住み替えてもらい、管理費などのランニングコストを下げる方法や、学費については奨学金を借りてもらうなどの手も考えていました。ですが、これらのやり方ではFさんの希望はかないません。別の方法を考える必要がありました。

現状で、Fさんの家計は年間100万円近い赤字を出しています。まずは、この赤字をなんとかしなければいけません。数年後には長女の私立中学校への進学もあり、子供の私立在学中の赤字額は年125万~175万円に達すると見込まれます。その上で貯蓄するとなると、さらなる見直しが必要です。そこで、「最低でも年間150万円分の支出を削減する」「それ以上削減できた分は運用し、老後資金の足しにする」の2つをゴールと定めました。

図3 住宅ローン借り換えサービス「モゲチェック・プラザ」のサイト。煩雑な手続きを代行してくれる

厳しい条件ですが、「勝算」はありました。まず、Fさんの住宅ローンを確認すると、「変動金利は不安だったので、固定金利で借りました。金利は3.1%だったかな?」とのこと。10年ほど前は、まだ金利が高かったのです。そこで住宅ローンの借り換えによって、支払金額を大きく下げることにしました。

Fさんも何度かローンの借り換えを考えたそうですが、「どの銀行を選んだらいいのかわからないし、手続きも煩雑そうで、つい先延ばしにしてしまって」と話します。これは私も同感で、FPといえどすべての住宅ローンに通じているわけではありません。そんな中、最近は住宅ローンの借り換えを専門に取り扱う会社が出てきました。そこで当社はその中の一つ、「モゲチェック・プラザ」という住宅ローンの借り換えサービスを手掛けるMFS(東京・新宿)と連携。詳細な手続きは先方にお願いするようにしています。

事前にモゲチェック・プラザのサイトでシミュレートしてみたところ、固定金利1.2%という条件で借り換えられそうだとわかりました。この条件で借り換えたとすると、月の支払いは6万6000円ほど減って約9万8000円に(管理費などを含めた住居関連費は13万5000円)。年間79万円もの支払いを減らせることとなり、これで一気に目標額の約6割を達成できる見通しがつきました。

「メタボ」な食費、通信費、保険も削る

さて残り70万円をどうするか。着目したのは、食費、通信費、保険費用の3支出です。まず食費をみてみると、月額10万円と4人家族としてはかなり多め。「外に出かけるのが好きなもので、ついつい週末は外食が中心になっちゃいまして」とFさんは話します。外食費は1回当たり5000円ほど。これが毎週末ですから、月平均で2万円も費やしていたようです。このほか、奥様が「できるだけ体にいいものを」と、いわゆる高級スーパーで買い物をすることが多く、食材にかけるコストが高くついているらしいこともわかりました。

そこで、外食は月に1回程度に減らし、食材も週末に安売りスーパーでまとめ買いするといった工夫で月2万5000円を削減してもらうことにしました。「食費が高めだとはうすうす気づいていましたので、これを機に節約するよう妻と話します」とFさん。

次いで通信費です。お子様を含め、家族4人がスマートフォン(スマホ)を使っており、月の通信費は3万5000円に達していました。「やっぱり使うなら、安心の大手通信キャリアがいい」とFさんは話しますが、ここは大きな見直しどころ。最近は「格安SIM」を手掛ける事業者が数多く参入し、通信コストは大きく下がっています。「品質に不安がなあ……」と渋るFさんですが、背に腹は代えられないと格安SIMへの切り替えを約束。通信費を月額1万4000円程度に収め、月2万1000円を削減できる見通しがつきました。

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ビジネスパーソンの住まいと暮らし
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