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住んでみたら「事故物件」 家賃は下げてもらえる? 弁護士 志賀剛一

2018/3/15

写真はイメージ=PIXTA
Case:28 賃貸マンションを借りました。あれこれ探す時間はなかったのですが、駅近のよい物件が見つかったのですぐに契約し、住み始めました。ところが、事故物件を検索できるサイトをたまたま目にしたところ、数年前に同じマンションの別の部屋で自殺があったと書いてありました。もちろん、契約時に不動産業者からは何の説明も受けていません。引っ越すのは面倒くさいので賃料を下げてほしいのですが、可能でしょうか。

■法的な定義がない「事故物件」

春爛漫(らんまん)の季節、進学や就職、転居を伴う人事異動など、新たな住まいで生活をスタートする人も多いかと思います。その住まいで過去に亡くなった人がいたら、確かにあまり気持ちのいいものではありません。

自殺や他殺で死者が出たり、孤独死で居住者が死亡したりするなど、目には見えないものの一般人が心理的に嫌悪感を抱く不具合、つまり心理的瑕疵(かし)がある物件を、一般に「事故物件」と呼んでいます。瑕疵とは「キズ」を意味します。ただ、事故物件にも心理的瑕疵にも法的な定義があるわけではありません。

最近は「大島てる」と呼ばれるサイトがあります。そのサイトは全国の地図上に事故物件を表示し、事件・事故の詳細が書き込まれています。ただし、このサイトは誰でも書き込みが可能であり、掲載情報がすべて真実とは限らないので注意が必要です。

■告知義務、過去の判例をもとに個別判断

アパートやマンションなどは、借り主がそこで平穏な生活を営む目的で部屋を借りるわけですから、貸室に心理的瑕疵が存在する場合には貸室が本来あるべき属性を備えていないことになります。このため、貸主と仲介業者にはそれを借り主に告知する義務が発生すると考えられています。

ところが、心理的瑕疵に関する告知義務の内容については法律で細かく定められているわけではありません。また、国土交通省など監督官庁によるガイドラインも存在せず、過去の判例をベースに個別に判断していくほかありません。

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