割安中古マンション買う前に 「隠れ借金」こう見抜く修繕積立金不足で数百万円の追加負担も

これ以外に、大規模修繕の工事履歴もチェックしておきましょう。マンションは一般に、長期修繕計画に従って12年から15年に一度の周期で大規模修繕を行います。防水工事や外壁補修、廊下などの共用部分の補修など、マンションの資産価値に大きな影響を及ぼす大事な工事です。この工事が行われていなかったり、工事間隔が不自然に空いている場合、修繕積立金不足の疑いがあります。マンションの資産価値も当然下がりますので、購入を避けた方が無難でしょう。大規模修繕の工事履歴も、不動産事業者から事前に入手できます。

「1984年以前」「55平米以下」は買うと損

2つ目の「1984年」と、3つ目の「55平方メートル」は、物件選びで最大400万円の損得を左右するキーワードです。そう、住宅ローン控除の適用を受けられるか否かの境界線が、築年月と居室面積それぞれに存在するのです。

住宅ローン控除とは、毎年の住宅ローンの借入残高に合わせて、一定の金額が所得税から控除されるというお得な制度。10年で最大で400万円(長期優良住宅などは500万円)もの税金が戻ってきます。例えば4000万円クラスの物件であれば1割にも相当する金額です。低価格が売りのリノベマンションを購入するに当たり、絶対に無視できない制度と言えます。

しかし、このお得な住宅ローン控除、利用するには一定の基準を満たしている必要があるのです。具体的には、(1)新耐震基準で建てられたマンションであること(2)内法(うちのり)で室内面積が50平方メートル以上あること――の2点です。

(1)は建築基準法の変更に伴うもので、1981年6月以降に建築許可が出ていれば新耐震基準のマンションとなっています。ただし、いつのタイミングで建築確認が出ているかは「台帳記載事項証明書」という専門的な書類を確認する必要があり、分かりにくいのが難点です。

そこで目安となるのが「1984年以降に完成」したマンションか否かです。通常、マンションは建築許可が出てから2年以内に完成します。ですので、1983年6月以降であればほぼ条件を満たすのですが、工期の遅れがないとも限りません。ですので、「1984年以降に完成したマンション」を探せば、まず間違いなく新耐震基準を満たしていると考えられます。リノベマンションは築年数が古いものが大半ですから、物件探しの際には「1984年以降」というキーワードをぜひ覚えていただきたいと思います。

(2)の「内法で室内面積が50平方メートル以上あること」は、一見すると「なんだ、部屋の広さならチラシを見ればわかるじゃないか」と思われるかもしれません。ただ、冒頭にある「内法で」という条件がくせ者です。

内法とは、壁の内側の部分の面積のこと。一方、マンションのチラシやパンフレットでは「壁芯(へきしん)面積」と呼ばれる、隣の部屋との間にある壁の中心線を基準として測った面積を使います。ですので、チラシを見て「おっ、50平方メートルなら住宅ローン控除が使えるな」と思っていると、内法では50平方メートルを切っており適用対象外、というケースもあり得るのです。

住宅ローン控除を適用するには、壁芯面積が55平方メートル以上の物件を選ぼう(写真提供:ハウスマート)

内法面積は「登記簿謄本」という書類を確認する必要があり、インターネット上の物件情報やチラシなどでは簡単に把握できません。そこで簡易的な確認方法として使えるのが、「壁芯面積が55平方メートル以上」です。この基準をクリアしていれば内法面積は間違いなく50平方メートル以上ありますので、住宅ローン控除の対象となります。

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リノベマンションの多くは、デベロッパーが中古マンションを仕入れてリノベーションし、購入希望者を探すケースが一般的です。ですが最近は、自ら手つかずの古いマンションに手を入れてリノベーションする方も増えてきました。居室の広さや使う素材にもよりますが、一般には500万円ほどかければ満足のいく仕上がりになるようです。

そんな中、少し気になっているのは、やや「個性的すぎる」リノベマンションが増えていることです。そのマンションに一生暮らし続ける覚悟があるのであればいいのですが、将来売りに出す可能性があるのなら、あまりにも行き過ぎたリノベーションは避けた方が賢明では……と思うこともしばしば。

例えば天井むき出しで、打ちっぱなしコンクリートで室内を仕上げたり、2~3LDKだった間取りを大きなワンルームにしたりといったリノベーションは、確かに写真映えはします。ただこうした物件を売るとなると、一気にニーズが絞られてしまうもの。自分としては価値のあるリノベーションも、売りに出したときに、そのまま販売価格に上乗せできるわけではありません。自分の好みを生かしながらも、多くの人に好まれるようなリノベーション内容に留めておくのが得策かと思います。

針山昌幸
ハウスマート代表取締役CEO。2009年に大手不動産会社に入社。不動産業界の非効率さに疑問を感じ、楽天に転職。2014年にハウスマートを創業し代表取締役CEOに就任。ITを活用して不動産営業の効率を5倍に高め、仲介手数料を半額に据えた中古マンション仲介サービス「カウル」(https://kawlu.com/)の運営などを手掛ける。著書に『中古マンション本当にかしこい買い方・選び方』(日本実業出版社)がある。

(マネー研究所 川崎慎介)

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