割安中古マンション買う前に 「隠れ借金」こう見抜く修繕積立金不足で数百万円の追加負担も

もっとも、この「隠れ借金」も、滞納者が少なく金額があまり大きくなければ問題にはなりません。ただし、築年数の古いマンションでは、長い年月の間に滞納額が100万~1000万円単位で積み上がっているケースもあります。

こうした「隠れ借金」マンションを買ってしまうと、入居後に管理費や修繕積立金の値上げを求められることがあります。具体的には、「修繕積立金を月に1万~2万円ほど値上げする」「追加で全戸から200万円を出してもらう」など、少なくない金額を入居者に求めるケースが頻発しているようです。事実、国土交通省の「平成20年度マンション総合調査」によれば、修繕積立金が足りず、一時金を徴収したり金融機関から借り入れを行ったりしたマンションは、全体の約21%に達しているとのことです。

「隠れ借金」は簡単に分かる

こうした「隠れ借金」マンションを事前に見抜くにはどうしたらいいのでしょうか。実は、どなたでも簡単にチェックする方法があります。不動産事業者が購入希望者にお渡しする「重要事項に係る調査報告書」には、「管理組合の借入金の有無」「管理費・修繕積立金等の滞納額」が明記されています。この項目を見て、過大な借入金や滞納額があれば「隠れ借金」マンションですから、購入は見送った方が無難でしょう。

重要事項に係る調査報告書の一例。ここからマンションの「隠れ借金」を見抜ける

さらにもう一つ、「隠れ借金」の有無をチェックしておくべき項目があります。「営繕積立金積立総額」です。これはマンションの大規模改修のために積み立ててあるお金の総額で、この金額が不足しているかどうかをチェックするのです。

「そんなこと言われても、素人には不足しているかどうかなんて分からないよ」と思われるかもしれませんが、そのマンションの平均的な居室の広さ(平方メートル)と戸数がわかれば、どなたでも簡単に判断できます。

(広さ)×(戸数)×(200~250円)×12×(前回の大規模修繕からの年数)<(営繕積立金積立総額)

実はマンションの修繕費は、国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によって標準的な金額が示されています。建物の階数や床面積によって異なりますが、一般には「1平方メートル当たり200~250円/月」が目安。上記の計算式の意味するところは、「マンション全体で、1年に積み立てておくべき修繕積立金の金額」が、「前回の大規模修繕を終えて以降、きちんとたまっているか」を示したものなのです。

例えば居室面積が平均60平方メートル、50戸の中古マンションがあったとします。5年前に大規模修繕を実施し、現在の営繕積立金積立総額が2000万円だとした場合、このマンションは「隠れ借金」マンションの可能性が高いと思われます。

たまっているべき営繕積立金積立総額は、上記の式に当てはめると、

60平方メートル×50戸×(200~250円)×12カ月×5年=3600万~4500万円

ですから、少なくとも3500万~4000万円は欲しいところ。次の大規模修繕で資金が不足し、追加で修繕金を求められる可能性がありそうです。なお、マンションの階数や床面積によって必要となる修繕積立金の平均値は変わってきます。より詳細には、下に示した表の「事例の3分の2が包含される幅」で示された金額を使って計算するとよいでしょう。

専有床面積当たりの修繕積立金の目安(国交省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」より)

この式を応用すると、月々の修繕積立金が妥当かどうかも分かります。購入したいマンションの居室の広さに、200~250円を掛けた数字が目安となります。例えば60平方メートルの居室なら、月1万2000~1万5000円程度。これ以上に安い場合は、将来、修繕積立金が値上げされる可能性もあると思っていた方がいいでしょう。

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