すでに特定の資産を十分に保有している人は、資産を分散するのが王道だ。値動きの傾向が異なる資産を組み合わせると、資産全体では価格変動率を小さくできる。

 日本株と相性がいいのは債券だ。00年からのITバブル崩壊や、08年以降のリーマン危機時の日本株と債券の値動きは逆方向(マイナスの相関)で、債券価格の上昇が株価下落のクッションになった。

 ところが国内債券は日銀のマイナス金利導入以後、リターンがほとんど期待できない状態。日銀は国債の大量購入により力ずくで金利を低位に張り付けており、何らかのショックでタガが外れたときの価格下落(金利上昇)リスクも怖い。

 代替候補は米国債をはじめとする先進国債券で運用し、為替変動リスクをヘッジ(回避)した投信だ。値動きはITバブル崩壊やリーマン危機時にも日本株とはマイナスの相関だった。為替ヘッジ付きだから円高抵抗力もある。

 ただ、米長期金利は足元で約3%で、為替ヘッジには内外金利差を反映して約2%のコストがかかる。米長期金利が今後大きく上昇(価格が下落)すれば、利益は吹き飛んでしまう。

 これに対して竹中氏は「米国の賃金上昇率などはリーマン危機前に比べて低く、米長期金利の上限はせいぜい4%。海外債券は金利のピーク(価格の底)に向けて少しずつ買い、持ち高を増やしていけばよい」とアドバイスする。

 図Bは日本株とヘッジ付き外債を併せて保有した場合の07年初からの値動きだ。日経平均は09年2月まで56%下落したが、ヘッジ付き外債を3割組み入れたケースでは下落率が38%にとどまった。

 悩ましいのは米国株など海外資産を保有しているケースだ。米国株が大きく下がるときは「リスクオフの円高」が付き物。リーマン危機時に米国株(S&P500)の高値からの最大下落率は52%だったが、株安に円高のダブルパンチで円ベースでは6割超下げた。

金価格連動ファンドを活用

 竹中氏が勧めるのはFX(外国為替証拠金)取引を用いた為替ヘッジ。ドル売り・円買いの持ち高を少しずつ増やし、中長期的にもし「1ドル=90円程度の円高になったらヘッジを解消すればいい」という。ただしFX取引のドル売りでも金利差分のコストはかかるので、保険料として割り切る必要がある。

 独立系運用コンサルタントの吉井崇裕氏が提案する円高対策は金価格連動投信(ヘッジ付き)の活用だ。ドル安になると金価格は上昇する傾向があるためで、「資産の1割程度組み入れておけばよい」という。

 想定する運用期間が10年に満たない人などは、資産分散や為替ヘッジをお任せできる低リスクのバランス型投信も選択肢になる。その場合には、個々のファンドの資産配分や為替ヘッジの比率はチェックしておきたい。最後に、資産防衛の手段となりそうな投信の候補を表Cに挙げたので参考にしてほしい。

(QUICK資産運用研究所長 北沢千秋)

[日本経済新聞朝刊2018年3月10日付]

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