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投資にかかる税金 株式と債券は損益通算がOKに 先物は対象外、損失は繰り越して節税を

2018/3/17

写真はイメージ=PIXTA

株式や投資信託などで資産運用をする人にとって気になるのが運用益にかかる税金。利益をあげても課税の仕組みを知らないと本来支払わなくてもいい税金まで負担することになるからです。節税のカギを握るのが「金融所得一体課税」。どんな仕組みで、今後どうなるのでしょうか。

一体課税とは、金融商品ごとに細かく分かれていた課税方式を統一する税制改正の流れをいいます。一体課税が進めば、運用益と運用損を相殺できる「損益通算」の範囲が拡大し、税負担を軽減できる利点があります。中央大学商学部教授の酒井克彦さんは「さまざまな金融商品に対して中立的で簡素な税制が求められる」と指摘します。

■旧税制、投資の妨げに

金融商品の課税方式はもともと極めてわかりにくく、使いにくい仕組みでした。

例えば株式の売却益への課税は2003年分から、他の所得と分離して低率で課税し、確定申告により売却損と通算する申告分離課税に原則一本化されました。ところが同じ有価証券でも公社債は、売却益が生じても15年までは原則非課税で、株式の売却損と通算できませんでした。

株式の売却損は、株式の配当金とすらかつては通算できませんでした。損失が出たときに他の運用益と通算ができず、節税の余地がないという税制が、株式投資を妨げる要因の一つとされました。

日本の個人金融資産は約1800兆円ありますが、預貯金が全体の半分を占め、株式などの投資商品は15%にとどまります。貯蓄から投資へと個人マネーの流れを変え、経済を活性化するためには税制改正が必要でした。

そこで政府はここ十数年かけて金融税制を改善してきました。現在では株式と債券は課税方式が申告分離課税に統一され、利益と損失を通算できるようになっています。

株式や債券は証券会社が税額の計算・納付をする「源泉徴収ありの特定口座」で取引する人が多いでしょう。口座内で売却益や配当が生じると、そのたびに利益の20%(復興税を除く)が源泉徴収(天引き)されます。売却損が出た場合は、他の売却益や配当などと損益通算し、納めすぎた源泉税が還付されます。

口座内で通算しきれずに残った売却損は、確定申告すれば、他の証券会社にある口座で生じた利益と通算でき、税額の還付を受けられます。

それでもなお損失が残った場合は、最長3年間繰り越すことができます。例えば18年に生じた損失は19年~21年に繰り越し、各年の運用益から差し引いて節税できます。損失を繰り越すには毎年、申告する必要があります。

■預金利子、一体化難しく

いまも他の金融商品と損益通算ができないのが、株価指数先物やFX(外国為替証拠金取引)などのデリバティブ取引です。その範囲内では雑所得として損益通算ができますが、株式などとは通算できません。預貯金についても源泉分離課税といって利子が支払われた段階で20%が徴収され、課税は終わります。

金融庁や関連業界は毎年のように預貯金などにまで損益通算の範囲を拡大するよう財務省に要望しています。しかし預貯金は膨大な口座数があり、「現在は任意のマイナンバーの付番が義務付けられ、システムが整備されるまでは実現は困難」(税理士の藤曲武美さん)とみられます。

[日本経済新聞朝刊2018年3月10日付]

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