グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

食を旅する

田川ホルモン鍋、焼かない鉄板焼き 炭鉱の歴史を映す

2018/3/13

炭鉱で働く人たちのスタミナ源として愛された田川ホルモン鍋

 脂のたっぷりと付いたホルモンを大量の野菜とともに煮込む。酒のつまみに、ご飯のともに……。福岡県田川市のホルモン鍋は鉄板で調理する個性的なホルモン鍋だ。

 福岡県のホルモン鍋というと、博多風のもつ鍋が広く知られている。土鍋に張ったスープでもつや野菜を煮込む調理法は、今や全国区と言っていい人気料理だ。これに対し、田川ホルモン鍋は鉄板を使って作るホルモン鍋だ。

 筑豊に位置する田川市は、かつて炭鉱で栄えた町。この一風変わったホルモン鍋にも実は炭鉱の歴史が映されている。

 近代日本の工業化を語る際に、炭鉱と製鉄所の歴史は外せないエピソードだろう。筑豊のカロリーの高い、より高温で燃焼する石炭が、八幡の製鉄を支えた。遠賀川沿いに広がる各地の炭鉱は増産を続け、多くの労働者が炭鉱町に集まるようになる。

 外から人がたくさんやってくれば、食にも大きな影響が出て来る。しかも高温多湿の厳しい環境で働く人たちが多いとなれば、農耕で暮らしていた時代とは食べる物も変わって当然だ。

 ホルモンは朝鮮半島出身の人たちがもたらした食文化という。安くて栄養価が高いだけに、ホルモン鍋は炭鉱で働く多くの人たちに広がっていくことになる。

たれに漬け込んだホルモンをたれごと鉄板に

 田川ホルモン鍋は「鍋」という文字が付いているものの、鉄板焼きの延長線上にある料理だ。なので、食べるのも基本は焼肉店。中央部が微妙にくぼんだ個性的な鉄板で調理する。

 鉄板は厚く、非常に重たい。しっかり熱を蓄えてくれるものだ。鉄板が十分に温まったら、そこに焼き肉のたれに漬け込んだ牛ホルモンをたれごと投入する。じゅわっと大きな音とともに盛大に煙が上がる。この時点での見た目は間違いなく鉄板焼きだ。

 しかしホルモンの上に大量の野菜が盛られるとちょっと様相が変わってくる。タマネギやキャベツ、モヤシ、ニラなどといった野菜が豆腐とともに、これでもかと鉄板に盛られ、ホルモンを覆い尽くす。

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL