つみたてNISA、値上がりしても売らない方がいい?
知って得するお金のギモン
2018年1月から「つみたてNISA」がスタートしたことから、働く女性の間でも投資デビュー熱が高くなっているよう。今回は、投資ビギナーが注意したいことをお伝えします。
最近よく相談を受けるのは「いつ売ったらいいですか?」という質問です。つみたてNISAは非課税期間が最長20年で、投資信託の購入ができるのは2037年まで。「最後まで積み立てを継続すべきか、それとも途中で売ってもいいのかが知りたい」とのこと。
私の答えはずばり、「自由にしてもいい」です。こう言うと皆さんびっくりしますが、答えも対応策もひとつではないことを知ってほしいから、あえて「自由に」と答えます。
月々の積み立てが負担なくできるなら、可能な限り投資を継続する。とはいっても20年は長い期間で、お金の面で想定外のことが起こることも。
それが収入ダウンなら、積立額を減らして継続すればいいですし、大きな出費で預貯金だけでは賄い切れないなら、つみたてNISA口座で保有中の投信の一部、または全部を売る選択をしてもいいのです。
また、値上がりして利益が出ているときに売りたいと思ったら、「売ってもいい」です。
よく目にする「長期投資」とは、「長期間売らずに投資すべき」という意味ではなく、「長期のスタンスで投資に臨みましょう」ということ。
特に女性は、「長期投資が大事だから、まだ売ってはいけない」と、自ら「長期投資呪縛(じゅばく)」にとらわれている人が少なくありません。では「長期って何年だと思いますか?」と尋ねてみると、ハッとした顔で「何年か考えたことはありません……」と言います。投資はもっと自由にしていいのですよ。呪縛から解放されましょう。
ただし、一時的な景気悪化などで値下がりしているときは売り時ではありません。株価が下落したときは、元に戻るまでじっと待つのが得策ですよ。
アクティブ型投信=ハイリターンではない!
多くの人が勘違いしていることがあるので、それについて解説しましょう。「アクティブ型投信はインデックス型投信よりも手数料が高い分、大きなリターンが狙える」と思っている人が少なくないのですが、実は正しくありません。
インデックス型投信とは、日経平均株価などの株価指数(市場平均のことです)と同じような値動きをするもので、手数料が安いのが特徴です。
対してアクティブ型投信は、市場平均を上回る運用を「目指す」もので、投資先の企業リサーチに人件費などもかかることから、手数料は高めです。また、「市場平均を上回る運用を目指している」だけで、「約束」はしていません。ここが肝心!
残念なことにアクティブ型投信の大半は、インデックス型投信よりも運用成績が悪いのが実状です。手数料が高いことが、高いリターンを狙えるわけではないことを知っておきましょう。
アクティブ型投信のなかには、運用成績も良く、投資方針が一時的な流行のテーマではないものも一部あります。ただし、数千本のアクティブ型投信のなかからそれを見つけるのは、ビギナーには難しいでしょう。
そういう意味では、最初は手数料が安く、ニュースを見ていれば値動きが分かるインデックス型投信からスタートするのがおすすめ。少しずつ知識や経験を積んで、掘り出しもののアクティブ型投信を見つけるのが次のステップです。
今月の回答者
ファイナンシャルプランナー。株式会社生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカー勤務を経て、1996年にFPに転身。現在は、特定の金融商品を販売しない独立系FP会社生活設計塾クルーのメンバーとしてコンサルティング業務を行うほか、雑誌等の原稿執筆、講演などを手がける。近著は「サラリーマンのための『手取り』が増えるワザ65」(ダイヤモンド社)。
[日経ウーマン 2018年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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