サッカーの日本代表監督として、ワールドカップ(W杯)に2回出場した岡田武史氏。2014年からは愛媛県今治市に本拠を置くサッカークラブ「FC今治」のオーナーとなり奔走している。以前は「面白くて、強いサッカーをすればいいんだろう」と考えていたが、クラブの経営に携わるうちに地元経済の活性化が不可欠であることに気付いたという。経営に目覚めた「岡ちゃん」にビジョンを語ってもらった。
◇ ◇ ◇
当初求めたのは「メソッド」実践の場
正直言って、今治に来た当初はサッカーの事だけを考えていました。別に今治でなくても、日本人が世界で勝つための型「岡田メソッド[注1]」を、16歳までの若い選手に落とし込めるチームをどこかで作りたいと思っていたのです。
[注1]日本人(アジア人)が世界で勝つための革新的なサッカーの確立を目指し、岡田氏が考案した。具体的には、インテリジェンスにより相手に予測をされないプレーをする。ボールの周りで常に数で優位を作り、敵が集まってきたら敵のいないところに早く展開する。そうした集団的な戦いを90分間続ける。そのためのトレーニングプログラムやコーチ理論も含む。
たまたま、仕事を手伝っていた先輩がサッカーが好きでアマチュアチームを今治で所有していました。それで、やりたいのなら株式を51%取得してくれということで、FC今治のオーナーになり、今治市に移住しました。2014年のことです。
ところが、今治市に住んで街を歩いてみたら、中心街にあったデパートの跡地が更地になっていたり、駐車場になっていたりしました。そして、港に通じる商店街には誰ひとり歩いていない。その時感じたのが、FC今治がたとえ成功しても「立っている場所」がなくなってしまう、ということでした。