はびこる「危険な上司」 タイプ別の対処法教えます見波利幸著 「上司が壊す職場」

特徴的なのが、上司が危険なタイプである場合、実際に上司本人から話を聞いても、「部下がメンタル不調を抱えているのは、自分の側にも問題がある」と認識している人がほとんどいない点です。
つまり、「一部の例外」を除いて、上司が意識的に部下にプレッシャーをかけているわけではなく、その人なりの「自然な言動」によって部下を追い込んでしまっている、という状態が続いているのです。
(1章 7割は上司が原因 28ページ)

部下を育てる使命感、管理職に不可欠

こうした上司がはびこる会社には、どんな特徴があるのでしょうか。著者は、昇進のシステムが固定化されたり、自分の昇進以外に関心がない人たちが多かったり、経営トップが人に対して「誠実」でなかったりする、と述べます。一方、社員が「なぜ、この仕事をするのか」という目的意識をはっきり自覚している会社では、危険な上司は少なく、社員もやりがいを見失わないせいか、メンタル問題が少ないそうです。

管理職の役割は「部下が、本当に大切なものをしっかり見つめられるように育てること」、経営層の役割は「管理職が、部下をしっかり育てられるようにすること」だと思います。企業にとって、社員は「管理」の対象ではなく、育てる対象なのです。
(おわりに 212ページ)

本書には、著者がカウンセリングで関わった多くの会社の事例がふんだんに盛り込まれています。「いつもパンパンのリュックに汚れた靴で平気」「風邪なのにマスクをせず、大きなせきをする」といったタイプごとの特徴を見抜く目も、経験を積んだカウンセラーらしいところです。社員の立場で本書を読めば、危険な上司をいち早く見抜き、対処する心構えが分かります。管理職の年代なら自分自身の部下への接し方を改めて考える材料になるでしょう。

(雨宮百子)

◆編集者からひとこと 長沢香絵

「デスクを見れば、だいたいわかるんですよ。机が乱雑でグチャグチャの管理職は要注意ですね、一方で、完璧に整理されてクリップ1つも落ちていないようなデスクの上司も注意が必要です」――。

著者の見波氏に、こんな話を聞いたところから企画はスタートしました。6万部を突破した前著「心が折れる職場」の後を受け、今回は「心を折る上司」の4タイプの傾向にスポットライトを当てています。

「上司は選べない」とよくいわれます。だからこそ、危ない上司から自分の心と体を守るため、その傾向と効果的な対処法を知っておくことが大切です。今の上司に疑問を感じている方、この春の人事異動で新たな上司と出会う方、あるいは会社を知っておきたい新入社員の方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

「若手リーダーに贈る教科書」は原則隔週土曜日に掲載します。

上司が壊す職場 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 見波利幸
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

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