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昔話の郷愁に浸れる古民家の宿10選

NIKKEIプラス1

2018/3/11 NIKKEIプラス1

美山 FUTON&Breakfast
日本の伝統的な古民家や町家を改修した宿が注目されている。
大自然に抱かれのんびり過ごすもよし、街で歴史と伝統を感じるも一興。
1棟借り切り暮らすように泊まれるお薦めの宿を聞いた。

■食事は地元産食材 東日本も整備進む

 一般的に古民家は大量生産の建材を使わず、伝統的工法で建てられた築50年以上の家。風格ある姿は自然と調和し、町の暮らしに溶け込む。宿は1棟借り切って家族や友人とくつろげると人気だ。床暖房を入れるなどして快適にした。食事は自炊や地域の飲食店を利用するほか、近くの住民宅で郷土料理を一緒に囲むプランもある。

 古民家を「歴史的資源」として観光振興やまちづくりに活用する取り組みも全国で進んでいる。町家や古民家が多く残る西日本で先行するが「東日本もこれから増えるだろう」(工学院大学の後藤治教授)。

 17年6月開業の千葉県大多喜町の「まるがやつ」は築200年の直径30センチの大黒柱が大屋根を支える。かまどでご飯を炊いたり、地元の人が食事を作りに来てくれたり。秋田県五城目町の「シェアビレッジ町村」では築130年超の古民家を活用。「年貢」と呼ぶ年会費3000円を払い”村民”になると宿泊できる。

1位 美山 FUTON&Breakfast 540ポイント
囲炉裏囲み仲間でワイワイ(京都府南丹市)

 丹波山地の「かやぶきの里」で知られる美山町で、かやぶき職人の西尾晴夫さんが「かやぶきを五感で味わってほしい」と築150年の自宅を改装し2011年に開業。年間2000人が訪れる。

 屋根はススキを使った入母屋(いりもや)造り。居間の大きな囲炉裏は食事やだんらんの場に。屋根裏部屋では、ハシゴを上がってかやに触れ、間近に構造を見ることも。「昔話のような農村風景。仲間でワイワイ泊まりたい」(山野井友紀さん)

 英国などの宿泊施設B&Bのように寝所と朝食だけを提供。朝食は地元の野菜や卵などを使ってスタッフが調理。夕食は事前の申し込みで地元の野菜や鶏肉を使ったバーベキューセット(有料)などを自炊するか、近隣の飲食店や出前を利用する。

 春先には囲炉裏でアマゴを焼いて食べる体験やガイド付きサイクリングツアー(各有料)も。夏は由良川の川遊びが人気。「川の水はエメラルドグリーンで美しい」(川上幸生さん)。「春は桜、冬は星空。日本の四季を感じる」(牧野雄作さん)。

(1)1~8人(2)5人まで朝食付きで5万9900円~、6人以上は1人1万1900円~(3)JR園部駅から車で約40分。送迎あり(4)http://www.miyamafandb.com/

2位 篠山城下町ホテル NIPPONIA 510ポイント
城下町の街並み全体がホテル(兵庫県篠山市)

 城跡や城下町の街並みが残る篠山市街地を1つのホテルとみなし、築100年超を含む4つの古民家を改修した。ダイニングのあるONAE棟で受付し、各棟へ移動する。

 NOZI棟は国の伝統的建造物群保存地区にあり、武家屋敷や間口が狭く奥行きが深い妻入商家に並ぶ。2室借り、気兼ねなく過ごす客も多く、「空き家活用の示唆に富む」(岩佐十良さん)。千本格子からもれる室内の明かりが当時をしのばせ、「最低限の改修にとどめ、経年劣化の美しさも残している」(井上幸一さん)。

 丹波篠山牛など地元食材によるフレンチなど朝夕食、温泉入浴券付き。「快適な滞在が楽しめる」(大上智司さん)。

(1)1~6人(2)1人2万4840円~(2人利用時)(3)JR篠山口より車で約15分(4)https://www.sasayamastay.jp/

3位 桃源郷 祖谷(いや)の山里 500ポイント
高低差390メートルの落合集落(徳島県三好市)

 徳島県西部の秘境・祖谷にある8軒の宿。高低差390メートルの急斜面に石垣や耕作地、民家が広がる落合集落は、05年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された。「景色がずばぬけてよい」(木下斉さん)。「床暖房やIHの台所で、ストレスなく過ごせる」(牧野さん)。

 好条件が重なれば「雲海が発生する可能性も。早起きして至福のコーヒーを楽しみたい」(富本一幸さん)。有料で集落の人の家を訪ね、郷土料理を食べるプランもあり、地元の岩豆腐やこんにゃく、じゃがいもを使った「でこまわし」などが味わえる。「本物の秘境に泊まりたい人におすすめ」(石原智さん)だ。

(1)天一方1~6人(2)1人1万3000円~(2人利用時)(3)JR大歩危駅から車で約1時間(4)http://www.tougenkyo-iya.jp/

でこまわし

4位 篪庵(ちいおり) 450ポイント
キッチンや風呂は最新式(徳島県三好市)

 米国人で東洋文化研究者のアレックス・カー氏が1973年に購入した築300年の古民家。名は中国の竹笛からとった。標高は600メートル超。ヒノキ風呂や床暖房もある。「水回りは最新式で新旧バランスがよい。山を独り占めするぜいたく感がある」(山野井さん)。

 歴史を感じさせる柱や床の黒色が基調。「異国情緒さえ漂う」(大上さん)。ふすまには書をたしなむカー氏の文字があり「日常生活の煩わしさを完全に忘れさせてくれる」(川上さん)。食事は自炊か事前予約で郷土料理の出前(有料)を利用。

(1)1~7人(2)1人1万5000円(2人利用時)~(3)JR大歩危駅から車で約50分(4)http://chiiori.org/

5位 古民家の宿 集落丸山 350ポイント
薪ストーブや五右衛門風呂(兵庫県篠山市)

 集落全12戸のうち7戸が空き家となった里山の古民家2戸を改修、住民が民間団体と一緒に開業した。1戸には薪ストーブ、もう1戸には五右衛門風呂があり「昔ながらの生活体験ができる」(石原さん)。

 「実家に帰ったような懐かしさ。癒やされる」(井上さん)。旬の野菜を使う朝食付き。「家族旅行にもお薦め」(牧野さん)だ。近くにそば屋や地元産食材を生かしたフレンチレストランがあり、飲食目当てに訪れる人も多い。「古民家の宿泊施設転用が限界集落を活性化させた好例」(後藤治さん)。

(1)1~5人(2)基本料4万3200円に1人あたり5400円(3)JR篠山口駅から車で約20分(4)http://maruyama-v.jp/

6位 小値賀(おぢか)島 古民家ステイ 310ポイント
近隣住民宅で夕食(長崎県小値賀町)
親家

 島民らが寄付した空き家6軒を改修。ゆったりと時が流れる「島という特別な感覚と古民家の開放的な空間がマッチ」(木下さん)。3月は海藻のアオサやアスパラ、5月は魚のイサキが旬。夕食は地元野菜や魚で自炊か住民宅で食事する交流プラン(有料)もある。

 「手つかずの美しい離島で何もせずのんびり過ごす休日に」(高木浩子さん)。30代の女性同士や夏場は家族連れも多い。「床から一段掘り下げてソファを埋め込んだ快適なリビングがある棟もある」(岩佐さん)。

(1)親家は2~6人(2)1人1万9440円~(2人利用時)(3)小値賀港ターミナルから送迎(4)http://ojikajima.jp/

7位 葵 KYOTO STAY 鴨川邸 300ポイント
鴨川一望のテラス(京都市下京区)

 築100年の芸妓(げいこ)の住まいだった京町家を改装した。鴨川を一望できるテラスや2階の寝室にある大きな窓が印象的。「飲食店が立ち並ぶ便利な場所。美術品や朝鮮王朝時代の伝統家具などもすばらしい」(岩佐さん)。「和モダンのインテリアが調和した大人のための宿」(高木さん)だ。柱や家具が往事をしのばせる。朝食と夕食は京都の街中で楽しむ。「伝統の息吹を感じつつ、カジュアルな滞在を楽しみたい人にお薦め」(大上さん)。

(1)1~5人(2)1人2万5000円~(2人利用時)(3)阪急河原町駅から徒歩約10分(4)http://www.kyoto-stay.jp/

8位 七十七(なずな) 姉小路邸 260ポイント
ガラス張り床の茶室(京都市中京区)

 築100年の町家を改装。「おくどさん」と呼ぶかまどがある。「館内随所に設けられた和紙を通した明かりが、旅の疲れを癒やしてくれる」(高木さん)

 建物中央にガラス張りの床の茶室を設置。空中で茶をたてているような不思議な空間だ。「近未来的な体験など宿の中でも遊べる」(山野井さん)。坪庭を楽しめる信楽焼の露天風呂がある。「露天風呂は京都滞在の中でも珍しい体験になるだろう」(富本さん)。朝食付き。

(1)1~5人(2)1人2万5000円~(2人利用時)(3)市営地下鉄東西線二条城前駅より徒歩約8分(4)https://www.nijo-nazuna.jp/

9位 内子の宿「織」「久」 240ポイント
外国人を意識した設備(愛媛県内子町)

 ハゼノキの果皮から得る油脂の木蝋(もくろう)生産で栄えた内子町には、白壁の商家や伝統的な町家、豪商屋敷などが残る。重要伝統的建造物群保存地区の一角にあった複数の古民家を改修。梁(はり)はむき出しのまま台所や居間を作り替え、ベッドを置き外国人も利用しやすくした。「機能的で清潔」(富本さん)。織には庭に面した開放感ある風呂や「ハンモックのある居間など遊び心がある」(山野井さん)。朝食付き。

(1)織は1~8人、久は1~6人(2)基本料5万4000円と1人あたり2700円(3)JR内子駅から徒歩約15分(4)http://www.uchi-cocoro.com/

10位 祇園金瓢(きんぴょう) 235ポイント
祇園・町家・造り酒屋体験(京都市東山区)

 創業200年以上という造り酒屋の、昭和末期まで祇園にあった母屋を改修。「祇園、町家、造り酒屋を一度で体験できる」(河村晃平さん)。酒蔵の廃材を再利用。「古材の迫力ある室内と祇園独特の空気感が味わえる」(井上さん)。壁際には酒造りの道具を並べるなどした土間がある。無料で「日本酒風呂が味わえるのは造り酒屋ならでは」(高木さん)。アクセスが良く連泊して京都観光の拠点とする宿泊客も多い。素泊まりで利用。

(1)2~5人(2)1人2万2000円~(2人利用時)(3)市営地下鉄東西線三条京阪駅から徒歩約5分(4)http://www.kinpyo.jp/

◇  ◇  ◇

 ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。施設名と所在地。(1)宿泊人数(2)価格(3)行き方(4)ホームページ・連絡先。写真は1、2、5位は瀬口蔵弘撮影、他は施設提供。

 調査の方法 古民家や町家の宿に詳しい専門家らに取材しリストを作成。1棟借りができる施設27カ所から、里山や街歩き、地元の人との交流などもでき、初めて利用する人に薦めたい宿に順位付けを依頼。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。

▽石原智(いこーよ民泊アドバイザー)▽井上幸一(一般社団法人全国古民家再生協会事務局長)▽岩佐十良(自遊人編集長)▽大上智司(i.JTBるるぶトラベル販売部マネージャー)▽川上幸生(コミンカニスト)▽河村晃平(ロコパートナーズ「Relux」国際事業部)▽木下斉(一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事)▽後藤治(工学院大学教授)▽高木浩子(ブッキング・ドットコム・ジャパン西日本地区統括部長)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽牧野雄作(一休.com「バケーションレンタル」マネージャー)▽山野井友紀(日本政策投資銀行副調査役)

[NIKKEIプラス1 2018年3月10日付]

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