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要介護になるリスク8倍!? 増える運転免許の自主返納

2018/3/13

警察や自治体が運転免許の返納を呼びかけているが……。(2018年3月、東京都練馬区)

ドライバーを卒業する高齢者が急増しています。75歳以上で運転免許証を自主返納した人は2017年に約25万人。前年から1.5倍に増えました。運転をやめる高齢者の増加は交通安全に効果があるのでしょうか。

まずは返納増加の背景にある交通事故のデータを見てみましょう。75歳以上の免許保有者は540万人と過去10年で1.9倍に増えました。これに伴い死亡事故に占める75歳以上の割合も10年前の8%から足元では13%に上がっています。警察や自治体が免許の返納を呼びかけるのは、ドライバーに占める高齢者の存在感が高まっているためだと言えます。

免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は75歳以上が75歳未満の2倍以上で、これだけ見ると高齢者の運転は危険に見えます。ただし高齢者の運転が一概に危険かどうかは議論のあるテーマです。

まず免許を持っている人がいつも運転しているとは限りません。筑波大の市川政雄教授が運転距離のデータを基に計算すると、事故率は80代男性でも20代前半と同程度でした。

さらに高齢者はドライバー自身が死傷する割合が高い一方、相手を死傷させるリスクは他の年代と同じくらいで高くないことも分かりました。市川氏は「世間で思われているほど高齢ドライバーが危険なのではない」と話しています。

このため高齢者に一律返納を呼びかけることに疑問を持つ専門家もいます。山梨大の伊藤安海准教授は「『自分の運転は危ないかも』という健全な意識を持つドライバーから運転をやめてしまう恐れがある」と指摘しています。本当に危険なのは能力が衰えているのに自信過剰なドライバーですが、そのような人たちが返納に応じる可能性は低いというのです。

運転をやめることが健康を損なうリスクも指摘されています。国立長寿医療研究センターによる65歳以上への調査結果では運転をやめた人が要介護状態になる危険性は運転を続けている人の約8倍に達しました。

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