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要介護になるリスク8倍!? 増える運転免許の自主返納

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NIKKEI STYLE

ドライバーを卒業する高齢者が急増しています。75歳以上で運転免許証を自主返納した人は2017年に約25万人。前年から1.5倍に増えました。運転をやめる高齢者の増加は交通安全に効果があるのでしょうか。

まずは返納増加の背景にある交通事故のデータを見てみましょう。75歳以上の免許保有者は540万人と過去10年で1.9倍に増えました。これに伴い死亡事故に占める75歳以上の割合も10年前の8%から足元では13%に上がっています。警察や自治体が免許の返納を呼びかけるのは、ドライバーに占める高齢者の存在感が高まっているためだと言えます。

免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は75歳以上が75歳未満の2倍以上で、これだけ見ると高齢者の運転は危険に見えます。ただし高齢者の運転が一概に危険かどうかは議論のあるテーマです。

まず免許を持っている人がいつも運転しているとは限りません。筑波大の市川政雄教授が運転距離のデータを基に計算すると、事故率は80代男性でも20代前半と同程度でした。

さらに高齢者はドライバー自身が死傷する割合が高い一方、相手を死傷させるリスクは他の年代と同じくらいで高くないことも分かりました。市川氏は「世間で思われているほど高齢ドライバーが危険なのではない」と話しています。

このため高齢者に一律返納を呼びかけることに疑問を持つ専門家もいます。山梨大の伊藤安海准教授は「『自分の運転は危ないかも』という健全な意識を持つドライバーから運転をやめてしまう恐れがある」と指摘しています。本当に危険なのは能力が衰えているのに自信過剰なドライバーですが、そのような人たちが返納に応じる可能性は低いというのです。

運転をやめることが健康を損なうリスクも指摘されています。国立長寿医療研究センターによる65歳以上への調査結果では運転をやめた人が要介護状態になる危険性は運転を続けている人の約8倍に達しました。

このため個人のレベルで「いつ運転をやめるか」は実に難しい問いです。そこでまず専門家がすすめるのは運転能力の把握です。高齢者の免許更新時には講習が課されているほか、ドライブレコーダーで能力を測るサービスも生まれています。伊藤氏は「個々の能力に応じて訓練をすれば、運転寿命を延ばすことも可能だ」と話しています。

日本の高齢者の交通事故死は歩行中に47%が発生しており、米国(16%)やドイツ(27%)に比べて高い傾向にあります。公共交通の整備に合わせ、安全な歩道を造るなど高齢者が安心して免許を返納できる環境整備も欠かせません。

伊藤安海・山梨大准教授「高齢者事故の8割は技術で改善」

高齢ドライバーの安心と安全のために何が必要でしょうか。運転能力や支援技術に詳しい山梨大の伊藤安海准教授に聞きました。

――高齢者の運転免許の自主返納が増えています。

「高齢者にとって自動車は生活を支援する福祉機器の1つだと考えている。体が少々不自由でも頭がしっかりしていれば運転してどこにでも行けるからだ。自動車にはバスから電車への乗り換えのような不便さもない。車にできるかぎり長く乗り続けられるような支援をしていくべきだ」

「運転が危なくないうちにやめるのはマイナスが大きいと思う。運転をやめると認知症が一気に進むケースもある。山梨県で高齢者の運転支援の社会実験を始めて10年になるが、能力の高い人からやめてしまう傾向があるのに気づいた。自己分析がしっかりできるのは能力が高い証しだ。免許の返納を高齢者に一律で啓発すると、そういう人の運転をやめさせることにつながってしまう。特に地方は高齢者の足となる若いドライバーが不足している。能力の高い高齢ドライバーは貴重な戦力でもある」

――とはいえ、高齢者が引き起こす事故は心配です。

「『心配だから運転をやめましょう』ではなく、『心配ならしっかりした運転能力の診断を』という道筋が大切だ。一口に運転能力といっても、身体機能や情報処理、空間認知などさまざまな能力がある。人によってどの能力が低下しているかにも違いがある。能力の実態を把握できれば、本人の努力と車のアシスト機能によって運転寿命を延ばすことも可能だ」

――自助努力で大切な点は。

「運転のトレーニングは早く始めることが大切だ。実験で分かったのは、72歳より前はトレーニングの効果がある程度出る。さらに72歳を超えても、訓練を継続する人は能力を維持できる。今後は女性の高齢ドライバーが急増するので、男性との運転特性の違いを把握していくのも大切だろう」

――車のアシスト機能にはどんな展望がありますか。

「高齢者はとっさの情報処理や空間認識が苦手なケースが多いが、こうした弱点は人工知能(AI)が得意とする分野だ。危険を察知すると一歩手前で車を止める、車庫入れを支援する、といった支援機能は日進月歩だ。加齢による能力の低下はAIで支えやすい領域で、高齢ドライバーの事故の8割は技術で改善できると考えている。逆に若者の無謀とか経験不足のほうがAIで補いにくいのではないか」

(高橋元気)

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